第27話 涼夜かな 🌌



クーラー消し三方の窓開け放つ

涼風のどつと吹きこむ小家かな


汗ばまぬ肌のさらりと慕はしき

久方の毛布やさしきベッドかな


あかあかと眼裏よぎる走馬燈

ただ今と過去と未来や星涼し


ひたひたと街の騒寄せ明易し

網戸越し枝葉のゆらぎ常夜燈


長袖のガーゼパジャマの涼夜かな

香ばしき麦茶を飲みて寝に就ける


枕辺に星降る音を聴いてをり

目醒めれば丑三つ時や月涼し


ひゆうと風ふくらんで来る夏の果

しゆくしゆくと虫を育くむ外の闇


薄闇にかざすてのひら夏の夜半

くるぶしを撫でゆく風や秋近し


前倒し季節を思ふ夜の秋

希望的地球の未来夏芝居


もうつぎの夏の心配苦労性

起き出して連作紡ぐ夏の暁




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