四、魔力
「さて」
洞天仙会の奈落墜落が必須だと分かった今、
しかし、
まあ、この必勝法が恐ろしいほど高難易度のために意気消沈していたわけだが……倒す方法はちゃんと存在するのである。
「てか、俺の霊力はどうなってんだろ」
これからの修行計画を練る前に、まずは自分の霊力を理解しておかねばならない。
すぐに退場させられるようにへなちょこ設定にしたから、原作通りならば実力は
「よし」
そして、体内の霊根と気の巡りに意識を集中させる。これが自分の霊力を測る方法だ。
この時期の
まあ、理論上の理解であるそれを簡単に実践できてしまうのは、カミサマが授けてくれた"転生者特権"だと受け取っておこう。
「うわぁ……これはひどい」
この身体は、まだ仙術をひとつも会得していない上に、霊力の蓄えもほんの少ししかない。
(こいつ、資質は十分あるのになんでこんな弱いんだ!)
我ながら呆れてしまう。
先程測ったところ、なぜか
霊気の吸収が他の者よりも容易いはずなのに、霊力の蓄えが少ししかないなんて、全然修行してなかったみたいだ。
「本当に怠け者だったんだな……」
「境界を突破できないぞ」という
(まあ、その設定にしたのは俺だけど)
原作の
「ん? なんだこれ?」
ふと、
「は!?」
すると、何かドス黒い謎の力が
(なんだこれは、霊力なのか……?)
しかし、通常の修仙者が持つ霊力にしては、様子がおかしい。
「なっ……」
「これは……魔道の……!?」
なんと、
「こんな設定、
本来の
ここは『桔梗仙郷伝』の世界のはずなのに、どうなっているんだ。
「どうせすぐ死ぬから霊力とか修行段階とか詳しく書かなくてもいいよな」などと怠けてしまったから、こんなバグが!?
「これ、もしかして……」
そして、
その心当たりは、『桔梗仙郷伝』のラスボス・妖魔王の設定にあった。
一、妖魔王はとある理由から自滅する。
二、妖魔王は自滅する際に自分の魔力を凝縮させて、俗世に作った"器"の体内に全て封印した。
三、やがて、"器"に潜む魔力が解放された時に、その"器"が妖魔王として完全復活する。
この三つが妖魔王の秘密であるが、宵珉が必死に復元していた最新話では、この二番までの秘密が明かされる。
本編では"器"となるキャラクターはまだ登場していない。
「カミサマ、ホトケサマ、これはどんなバグですか!? こんなことある!?」
つまりこういうことである。
作者の
「どうなってんだ!
どうやら、
「うう、こんな転生者特権いらないです……」
この魔力が解放されれば、
「な、なんてこった……」
もはや、
主人公・
(死ぬ……! 絶対死ぬ……!)
たとえ、
目の前に断頭台が見える。どんな物語でも、ラスボスは倒される宿命なのだ……!
「死にたくない!」
しかし、死ぬのは嫌だ。なんとしてでも生き延びて、『桔梗仙郷伝』の世界を堪能したい!
幸いこの時点では、
ということは、この世界で【妖魔王の器】すなわち妖魔王が
(俺が妖魔王の器であることがバレない限り、
よし、この魔力は生涯──体内に封印し続け、
「俺は魔道などには陥っていないし、妖魔王でもない! あの魔力は見なかったことにしよう……」
またしても、前世での自分の行いが仇となって返ってきたのか。
これから先、難易度SSS【洞天仙会を乗り越える】に加えて、難易度SSSを限界突破した【妖魔王の器であることを隠し通す】という鬼畜ミッションが付け足されてしまった。
「……よし」
妖魔王のことは一旦忘れて、間近に迫る洞天仙会の生還計画を練ろう。
実際に本編では、
では、二人は秘術をどのようにして身に付けたか。ここで出てくるのが
友である
そして、そんな
「ああ、
困ったことに、秘術は
秘術会得の難易度はその点にあった。
つまりこの先、
「そんなの、無理じゃないか……?」
しかも、それは今日だけの話ではなく、
原作でも
そこから考えるに、この世界においても
(嫌われてるかなぁ……嫌われてるだろうなぁ……)
予測好感度は10%ほど。
外見がドタイプなだけに、嫌われるのはすごく辛い。
(苓舜に嫌悪の視線を向けられたら、生きてけない……っ!)
悲しい現実に落ち込んでいると、「ぎゅるるるる!」と腹の音が鳴る。
「はぁ……とりあえず、ご飯食べるか。腹を満たして気分を上げないと」
位の低い弟子は自分でご飯を作るのが基本だ。また、高位の修行段階に入れば、食事は必要なくなるため、台所は修行中期までの弟子しか使わない。
◇◇◇
「うっす!?」
周りには塩や胡椒といった最低限の調味料しか用意されておらず、肉は見当たらない。
「誰だ、こんなに質素な作りにしたのは……ああ、俺か……」
原作で
しかし、味が薄いだけで不味いわけじゃない。カップ麺ばかりの生活よりも、身体的にはよっぽどマシだ。というか、とても健康的だ。
そして、修仙者としての位が上がったら肉を存分に食べよう……などと欲まみれの願望を抱いたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます