第38話

幼馴染の裕也からラインが来た。「今度、5月15日にルルス千葉対高田野球団の試合があるんだけど、来ない?」


裕也はルルス千葉所属の2番バッター打率300と調子がいい。

「行くよ」と僕は一言返信をした。


今、裕也は今年のドラフトにかかるために必死でアピールしている。

高校時代、甲子園に出場した、1回戦負けであったが甲子園に出場しただけですごい。

高校時代は長打力がなく打率も300そこそこであった。

高校では打率は普通に4割打者がいる。プロでは注目もされていない選手であったが、社会人野球に入って、打率を上げてきて、長打力も備わっている。

もしかしたら、今年のドラフトに下位指名されるかもしれない。やる気に満ちた裕也の姿に僕は、応援してあげたい気持ちになった。


5月15日、僕は、1塁側の客席でルルス千葉を応援している。

1回表、相手ピッチャー相手にいきなり裕也がセンター前ヒットを放った。

僕はスタンドから「よっしゃー」と声援を送った。

その後、3番、4番とヒットを打って、満塁で5番が犠牲フライを打って1点を取り返した。この回はこの1点だけとなった。

5回まで、両チームとも点数が入らず、1対0とまだまだ逆転される可能性がある点差であった。6回の裏、先頭バッターが初球ホームランを放ち、1対1と同点に追いつかれてしまった。そこから、ピッチャーは立て直して、3者凡退に抑えたあと、7回表、9番からの攻撃で、フォアボール、ヒットと結果を残し、打順は2番の裕也の打席となった。

ここで、点を取れば勝利に近づく、裕也はバッターボックスに立ち、バットを構えた。ノーアウトランナー1,2塁、相手ピッチャーはスライダーが得意で、ストレートとチェンジアップと織り交ぜてくる。

2球目のアウトローのスライダーを流し打ちでライト方向のフェンスに直撃した。その間に、2塁ランナーはホームまで帰ってきて、タイムリーヒットとなり、1点をとった。2対1、ノーアウト2,3塁となる。


俺は興奮して、「ナイスバッティング」と声援を送った。


次の3番打者はホームランも打つことができるバッターであった。相手のインコースのストレートをうまくたたんでレフトのスタンドにボールを運んだ

。これで、5対1となった。これで、勝負は決まり後の2イニングはルルス千葉のリリーフ陣が0点に抑えた。

今日のmvpはホームランを打った。3番打者であろうが、決勝打を放った裕也も大事な場面で打てることを見せた。


僕はラインで「ナイスヒット」とメッセージを送った。


夜の10時、試合が終わって30分後に裕也が駐車場にやってきた。

僕の車に乗って家まで送る手筈である。


「いや、今日の試合良かったね、打率もあがったし」と僕は言った。「

いや、友達に見られると緊張したけど、大事な場面で打ててよかったよ」と裕也は言った。「今度、都市対抗野球にもしかしたら出れるかもしれない、その時は応援よろしく」

「プロにアピールする場として最高の舞台だね」

車は裕也の家についた。


「また今度、遊ぼう」と僕らは言うと別れて行った。

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