第36話 服部さんの展覧会
1か月後約束していた、井端さんの友達の服部さんという画家の展覧会を北条さんと一緒に観にいった。
動物の絵が描かれていた油絵であった。個性的な絵をしていて、動物の迫力に圧倒した。
井端さんが動物の絵を描いてコンクールで準優勝したけど、それとまた違った鮮やかさで、立体的である。
一枚一枚、絵を見ながら、回っていった。
北条さんが一番気に入った絵はキリンの絵らしい。
「こんな細かな特徴を描いたキリンの絵は初めて見た。野生身あふれる絵だわ」と北条さんは服部さんの絵を絶賛していた。
服部の絵は、大胆な色使いはしているけど、そこに繊細さがあり、見ているものをくぎ付けにする物を持っている。
「僕は、ライオンの絵が好きかな、同じ種類のいろをたくさん使い分けていて、たてがみがよく描かれているよ」と僕は言った。
来場者も結構来ていて、人気があった。動物の絵は好きな人が多いのかもしれない。
服部さんの才能に僕らはくぎ付けになっていた。井端さんはたぶん、服部さんに近づこうと絵を頑張っているのかもしれない。
井端さんの花の絵は綺麗だし、僕も買いたいと思う絵である。まずはコンクールで受賞することが目標なのかもしれない。
画家は需要があれば、絵の価値は上がっていくし、時代背景なども評価に入ってくる。
画家の世界っていうのは、売れるまでが大変なんだなと思った。
僕達は最後まで見終わって、北条さんと感想を述べあった。
「ほんとに動物が好きなんだなと伝わってきた」と僕は言った。
「動物の表情が描けていて、色の鮮やかさが素晴らしかった。」と北条さんは言った。
「またこんど、美術館で行って絵画見に行きたいね」
「今度見に行きましょう、画家の個性が描かれていて面白かった。」
展覧会の出口に、服部さんと井端さんがいた。は服部さんをネットで写真をみたから顔を知っている。
「こんにちは、絵画すごかったですよ、動物の個性が描かれていて、色鮮やかな絵がよかったです」と北条さんが服部さんに言った。
意外と北条さんは勇気がある人だ。
「ほんとですか、ありがとうございます。いや、結構こだわってきたので、そういってもらえてうれしいです」と服部さんは謙虚に答えた。
「この絵画の量を、何年も熱量を落とさず作りあげたのはすごいよ」と井端さんも言った。「井端さんも頑張っているじゃないか、この前コンクールで準優勝だったんだろ」
「いや、まだまだ差が開いていると実感したね」
「いずれ、僕を超えてくるのを期待しているよ」
良き仲間であり、互いに認めているのかもしれない。技量なんて関係ない、熱量だと言っているようだ。
「僕達、井端さんの友達で仲良くさせてもらっています」と僕は言うと、
「ああ、聞いているよ。『仲のいいカップルがよく俺の家に来る』ってね。」
北条さんは少し頬を赤くしていた。
「また今度、展覧会にきてよ、またやるからさ」と服部さんは言った。
「また、来ます」と僕らは答えた。
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