第2話


 おはようございます。

 いい朝だね。

 私には伝えたいことがあります。

 伝えたい?いや、叫びたいのです。


「やらかしたぁぁぁぁあぁぁあ!!!!!」


 なにが起きたか、わからない人もいると思うんだ。

 けどね、私のせいじゃない。すべてはベットが悪い!

 昨日ベット新しく買ったの。親の奢りで。

 そのベットがさ。快適な環境にしますって書いてあってさ…思わず説明書読んだね。


 詳しいことは私の頭じゃ理解出来ないけど…体温を自動的に測って暖めたり、涼しくしたり。

 おまけにふっかふか。寝心地いいね。

 ウン10万だとか。私の親お金持ちなんだよね。


 …………さて、感のいい人なら分かったと思う。

つまりは────


「寝過ぎたぁぁあぁああ!!!!遅刻しそうぅぅう!!」


 私は食パンは焼かないようが好きだから常に玄関に置いてある食パンを手に取り、口に咥えた。


 …………なんで常に置いてあるのかって?

 そりゃもちろん、よく寝過ぎるから遅刻しないように置いてたんだよね。


 仕方ないよね。ベットが悪い。うん。

 入学式まで残り15分。5分前には着いていてくださいと言われたので5分引いて残り10分。


 そして家から学校までは歩きで20分。

 つまり2分の1まで縮めなければいけないのだ。

 全力疾走!食パンを口に咥えて!!


 定番ネタの食パンを口に咥えて急いで走ってる少女とつけ麺、ラーメン、僕イケメン。な人とばったり☆はしたくない!!


 玄関を急いで飛び出し、宅配ボックスの鍵を開けておく。

 VR機材は入学式をやっている時間に来るって言っていたから宅配ボックスに入れてもらうようお願いしたのだ。


 親って、おかしいよね。娘の一人暮らしの為だけに一戸建て一括で買ったよ。


 妹と姉もいるけどね。姉も一人暮らししててさ、姉も一戸建て買ってもらっている。

 この流れは妹も一戸建て買ってもらうんだろうなぁ……


 学校に行くのは気が乗らない。姉も同じ学校に通っているのだ。

 しかも、聞いた話だと生徒会長だとか。


 けど向こうから話しかけて来ない限り姉の妹だとは気付かれないはず。


 私の髪色は銀髪で瞳は赤。


 ひいばあちゃんが外国の人で同じ見た目だったんだって。つまりひいおばあちゃんに似たってわけだね。


 それは嬉しいんだけどさ。姉も妹も親もおばあちゃんたちも優しくしてくれるし。

 いい家族を持ったよなぁ。


 っと。学校に着いたみたい。結構人がいるけど間に合ったかな?

 遅れたら姉に怒られるんだけど…間に合ったみたいだね。よかった。

 ここが今日から私が通う学校。

 鳥の囀り学校だ。


 …………なんでこんな学校名なんだろうね。

 聞いてみようかな。


 さてと…これからはなっがーい話だね。


 決められた席につき、校長先生のありがたくてありがたくない話を聞いたあと、質問はあるか聞いてくる。


 そこで私はすかさず手をあげる。

 ───やったね!当てられた!


「鳥の囀り学校の学校名の由来はなんでしょうか」


「初代校長が、『鳥の囀りって素敵だよなぁ』と感じたことで学校名が変更になりました。今では元の学校名が何だったのかはわかりません」


 思わず笑いそうになっちゃった。

 ノリ軽すぎない?ねぇ?

 初代校長にそんな権力あったの?


 学校名変えるって案外大変だと思うんだけど…しかもその言い方的に元の学校名がなんだったのかは記録に残ってないってことかなぁ。


 いや、考えろ。

 こんなお気楽な初代校長なことだ。記録も『もういいかー』って笑いながら捨てている可能性もある。初代校長のことはよく知らないけどね。あっはっは!!


 ………っと。そんなこんながあって。帰ろうとしているのですが。

 問題があるのです。

 こそこそ噂されてます。

 目の前の生徒達の話をこっそり聞かせてもらった。


「あの銀髪の子すげぇな。校長先生に質問してたぞ…!」


「すげぇよな…すっげぇ綺麗な銀髪だった…あの子がいるところはすぐに見つけられる気がする」


「銀髪なんて基本的な髪の色の黒と真逆だろ?余裕で見つけられるに決まってんだろ」


『はっはっは!』


 と、言った風に噂されてる。

 おーい!そこの男子!すぐ見つけられる気がするーって、言ったわりには見つけられてないぞー!!!


 …………さて、私にはさっさと帰らなきゃいけないたいせつなたいせつな用事があるんだけど。


 女子に囲まれています。

 助けてください。みんな羨望の眼差しをしています。

 私にどうしろと。


『髪の毛のケア方法を教えてください!』


 ジャンピング土下座された。

 まさか土下座されるとは思わなかった………


 けど、私が教えてあげれることはないんだよね。

 普通のシャンプー使って、リンス使ってるだけだもん。

 トリートメント?そんなのめんどくさいのでやっていませんけど。


 めんどくさいのは嫌いです。なぜならめんどくさいからです。


「普通にシャンプーして、リンス使ってるだけだけど…ごめんね、髪の毛とか気を使ってないから教えてあげられることはないんだ」


『じゃあなんでそんなに髪が綺麗なんだ…?』


 そんなこと私がしりたいよぉぉおおぉおお!!

 誰か助けてーーー!!!!!!



 ………ん?本当に救世主きた?


「………おい、そこでなにをしている」


 ……………………………姉だー!!!!!!!!!


「うわぁぁあぁぁあぁあ!!!」


「なんだその驚きようは!?姉が妹のところに来るのは駄目なのか?駄目なのか?!駄目なら駄目と言ってくれ!家に行くから!」


「そういう問題じゃなぁぁあぁあいい!!」


 本当にそういう問題じゃない。

 私は目立たずに、平穏に、波風立てず学校生活を楽しみたかったのだ。

 …………友達が出来るかはわからないけどねっ!

 目指せ、ぼっち回避!

 えいえいおー!!


「じゃあどういう問題なのだぁあ!?」


「とりあえず叫ぶのやめて」


 本当にやめて。頭に響く。


「とは言われてもな…璃瑠が初めに叫んだんだろう」


「いや、そうなんだけどね?お姉」


「ともかくだ。今度遊びに行くからなー!今日は無理だけど」


「理由を述べよ」


「ゲームのリリース日」


 ……………ん?もしかしてストファン?


「それって……」


「………あぁ、ストーリー・オブ・ファンタジア・オンラインだ」


 同じだったぁぁぁあぁぁあ!!!??


「その反応…もしや!?」


「私もだ、お姉」


「よかったなぁ…!高倍率な抽選に当たるとは…!」


「あはは、でしょー?でもそれはお姉もじゃないの?」


「私は違うぞ?β版体験者だからレポート出して完成版のソフトもらった」


 βか…すげぇ…


「っと、じゃーねー!」


「またなー」


 今は家に全力疾走!はしれーはしれーわたしー!


 よしよし…宅配ボックスに入ってた…!

 設定を音速で済ましてっと。

 説明書は神速で読んで…いざ、キャラクタークリエイト!

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