修学旅行1日目〜ウマブラ〜
「...ふぅ。」
白木が入れてくれたお茶を飲みながら一息ついていると、自分の鞄が目に入り、あることを思い出した。
「あ、そういや、スイッチ持ってきたんだが、なんかやるか?」
「ほんと?!良いねっ!やろやろー」
昨日の夜のこともあった中であったが、白木は変わらずどことなく距離が近かった。
「...お、おう。どれがいいか..」
「うーん、そうだね..二人で出来るゲームなら..」
勢いそのまま、白木が背中に密着しており、白木は甘えるように、彼の肩に顎を乗せながら、スイッチの画面を見て、一緒にセレクションしていた、
(...近いっ!良い匂いっ!..可愛いっ!!)
涼しい顔をなんとか保っていたものの、かなり危ぶまれるものだった。
すると、白木は目星のゲームが見つかったようだった。
「...あっ!ウマブラやろーよ。」
「あー、そうだな。」
正直、そのゲームは彼が前世から相当やり込んでいたゲームであり、正直フェアでは無いため少し躊躇した。
「やった、じゃあ、どうせなら何か罰ゲームが欲しいなー」
しかし、彼の想定は杞憂に終わりそうで、白木はどこか自信満々にすでに勝気でいるようだった。
「へぇ、勝つ前提か..」
「うん!僕ウマブラで負けたことないからねっ!!」
どうやら白木もかなりやるそうで、それは彼の強さを裏付けていた。
「ほぅ、その勝負、乗った。」
「じゃあ、罰ゲームは、負けた方が勝った方の願いを一つ叶える事でっ!」
「シェンロンかよ...」
「ふふっ、できる限りでいいよっ!」
「わかった・・ーー」
白木はヨッシィーを選択し、俺は使い慣れた格ゲーのキャラを選択した。
「・・じゃあ、3先でやるか。・・ーー」
3先で勝負した結果、2−1で彼が勝った。結構やりこんでいたゲームであったものの、かなり接戦で、次も勝てる保証は少なくともなかった位、白木はかなりの歴戦猛者だった。
「うわー負けこしちゃった...初めて負けたかも..」
「次やったら、勝てるかわからん..」
「ふふっ、称賛だと受け止めとくよ。」
「いや、本当だって.」
正直、今回のマッチアアップは運も絡んだ勝利だったため、まだまだ白木の強さの底が見えなかった。
「..じゃあ、罰ゲームをしないとだね...」
良い試合をした後の、心地の良い余韻に浸っていると、白木は思い出したかのようにモジモジとしながら、罰ゲームをどうするかと聞いてきた。
「..あー」
久しぶりに好敵手と戦ったため、そのことを失念していた。
「...そうだな。」ちらっ
何か一つお願いを叶えるとかだったなと、思い出しつつ、なぜか身を捩らせている白木を一瞥した。
「っ!....」
すると、こちらの視線に気付いたのか、肩をビクッとさせ、目が合いそうになるとフイッと顔を逸らしていた。
(ちょっと、傷つくな..)
嫌に思っているような意図はないのはわかっているが、いざ顔を逸らされると、嫌に傷つくものだった。
「....あんま無いな。」
とはいえ、特に思い当たる願いはなかった。
「え..でも、その罰ゲームだから...」
白木の真面目な性格ゆえか、言わば成すといったように、たとえ勝者の言葉といえども、それは帳消しにはならなそうだった。
「....うむ...そうだな...」
「..じゃあ、もう一戦やろうぜ。」
しばらく考えていると、これだけで終わらせるのも勝ち逃げのようでずるいと思い、そう思い立った。
「ぁ...うんっ!!」
その後、結局、寝落ちするまでウマブラで戦った。
正確には覚えていないが累計で44勝32敗で、なんとか勝ち越したがもう100戦やったら、マジで負け越しかねなかった。
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