掌編「偏向学習」
イラストを描いてくれるAIにお願いしてみた。
頼んでみたのは――「AI絵師」だ。
「AIが描く『AI絵師』って、どんなイラストになるんだろう……」
パソコンのモニターをキャンバスに見立てて、絵具をべったりとつけているのだろうか。
それとも多くの文字を筆に乗せて振り回しているとか……?
パソコン、文字、筆……このあたりは出力されるだろうと思う。
だってAI絵師と言えばパソコンだし。
一応、絵師だから、代表的な画材道具は使われるとして……、
さてさて、どんなイラストができあがるのか、楽しみだなあ。
――指示の入力後は一瞬だった。
人様に見せるためには細かいところを修正し、調整する必要があるが、ある程度は一回の出力でおおよそ完成するだろう。
AIが思う「AI絵師」とは、こうなった――
それは、
シルエットだけならサンタクロースに見えるが、昔ながらのほっかむりを頭に被り、口の周りにはマジックで書いたような一周した黒いヒゲ。
膨らんだ大きな袋を担いでおり……中年男性がパソコンのモニターの窓枠(?)に足をかけ、外に出ようとしているイラストだった。
これは……泥棒……?
他人の技術と絵柄を盗んで(拝借して)逃げようとする架空の絵師の姿がそこにあった。
「…………え? 自覚あるの?」
…了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます