事の起こり

 小学四年の6月のことでした。

学芸会で、合唱の練習をしていました。

担任の教師(当時30代の女性)から、みんな大きな声を出すように言われ、私も頑張って大きな声を出してました。そうしたら、その教師からの一言。

「あなたは、声を出さなくてよい。声を出したふりをしなさい」

翌日から、私のあだ名は「口パク」になりました。


 ここまでは、イジメと言えるかどうかのかわいいレベルでした。

学芸会が終わって数日後、その教師は授業中に私を「口パクくん」と呼び始めました。それから、イジメは過激になって行きました。

例えば、最初は机の中に小石や砂が入っている程度でしたが、一、ニ週間の間に、昆虫、カエル、そしてネズミの死骸へと変わっていきました。

無論、その教師はそれを見てます。単に「捨ててきなさい」と言うだけ。私が捨てに教室から出ると、授業が始まります。


 時々、休み時間に私は一年生からの友人のクラスへ逃げ出しました。

私へのイジメが分かっていたのでしょう。そのクラスでは暖かく迎え入れてくれました。休み時間が終わり教室に戻ると、机が教室の片隅に移動していたり、ノートが引き裂かれていたりしましたが、他のクラスへ行けることで私は耐えることができました。


 私の母親は体が弱く、当時は入院していました。私は学校でのイジメのことを両親に伝えることができませんでした。

「口パク」と呼んだ教師も母親のことを知っていたはずです。だからこそ、教師からのイジメを続けられたのでしょう。

私は、誰にも言えず、我慢するしかなかった。

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