シキウタヨシ

どこでもない場所で



もしもわたしが


ひとり立ち枯れても


誰も悲しまない


ひとりだもの


産まれたのも


死ぬときも


実も成らなければ


花も咲かなかった


さびしい木がわたしです


日陰に産まれた


変わり者


誰もがわたしを


避けていった


あるいは乱暴に


枝葉を手折ったものもいた


全て過ぎたこと


あるのは


ひゅうひゅうなく風と


光さえ届けない雲ばかりです



/了

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シキウタヨシ @skutys

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ