最強の霊刀使いと最強の剣士たち 〜加減を知らない最強のスパルタ教育〜
梢 葉月
第0話
西暦20☓☓年。日本有数の学園都市、成城市の夜景を、ホログラフィックとネオンが彩っている。
終電を過ぎた市内には人通りもほとんどなく、ましてや上を見上げるものなどは皆無。
それを見下ろすように、地上35mの高層ビルの屋上で一人の少年が佇んでいた。
軍服の上に袖なし外套を横にずらして羽織り、腰には刀が差してある。
ビル街を吹き抜ける風に飛ばされぬよう、頭に被った軍帽を手で押さえながら、感情を見せない銀色の瞳で周囲を俯瞰した。
「こちら『夕凪』。目標の建物に到着した」
『司令部、了解。建物内部では現在幹部及び構成員合わせ30名が11階の大部屋に集められている』
『おつおつ〜。そのビルを中心に半径30mは断絶状態にさせておいたから、好き放題やっちゃっていいよ〜』
「…えっとさ、『
『連勤してるこっちの身にもなってよ〜。自然体じゃないとオペレーターとして十全を発揮できないんだからさ』
「あ、それはお疲れ様です…」
夕凪が屋上からビル内に侵入する。
『私の退社時間短縮のためにも、さっさと終わらせてね〜』
「…了解」
刀の鍔に手を掛け、階段を降りる。降りた先の廊下には末端の構成員と思われる2名が扉の前で屯していた。
「お疲れ様です」
「ん、おう――」
夕凪の挨拶に挨拶を交わそうとした相手を左逆袈裟斬りで斬りつけると、返す刀で隣にいた構成員も切り捨てた。
「ここ、ですよね」
血を払い、重厚な扉の前に立つ。
『そそ、扉を開けたら30対1の大立ち回りだよ』
「すぐ終わらせます」
扉の蝶番部分を正確に斬り、片方を蹴り飛ばして開幕の狼煙を上げる。
「っ!何だ!?」
「流石に多いな…」
彼がそう呟くと、体中から銀色の霊力が溢れ始めた。
「――”
夕凪が刀を鞘に納める。その刹那、夕凪を中心として放射状に銀色の斬撃が駆け抜けた。
「怯むな!相手は一人だ。囲んで袋叩きにしろ!」
幹部と思われる人物がそう指示を出すと、彼らは混乱しながらもまとまりを見せ始めた。
(10人くらいは巻き込めたか)
あと20人、と心の中で呟き、鞘の中で加速させた刀身を振るい3人を斬り伏せる。
対する相手方もこういった荒事の素人ではない。ヤのつく方々御用達のドスこと
密集した状態のためリーチの短い匕首のほうが取り回しが良く有利に動けるはずだが、夕凪にはその有利を補って余りあるほどの隔絶した技量の差があった。
「これで、さい、ごっ」
最後の構成員の頭を叩き斬る。
「いやあ、お見事お見事。ウチの下っ端30人を伸すとはやるじゃないか」
「…あなたは確か…『百人斬り』の
夕凪が耳にしていた情報では、彼はこの広域指定暴力団『堂上組』のなかでも指折りの幹部のはずだ。
人を殺すことをためらわず、組を裏切った下っ端は容赦なく斬り殺すことで実力を誇示してきた男。
確か契約神は――
「俺の風の斬撃と、似たような攻撃を使うみたいだな」
「風…」
日本神話における風邪を司る神、『
「どこの手の奴か知らないが、お前の組には相応の報いを受けてもらわないとな」
ドスではなく、立派な打刀を構えて須藤が完全な間合いの外から振りかぶる。
「”
黒い霊力が斬撃となって夕凪を襲う。
「…」
それを――躱す。
躱す。躱す。躱す。
「ぐっ…ハァ…ちょこまかと!」
斬撃の規模に対して、使用する霊力が多すぎる。そして釜瀬の霊力量が決して多いものではないこと。
それら夕凪は一瞬で見抜いていた。
契約した神の力は、霊力を消費してしか使用できない。
霊力の過剰消費は、身体機能に影響をもたらす。
疲労が蓄積し大きく隙ができたその瞬間を、夕凪は見逃さなかった。
抜き身の刀を再び鞘に。
銀色の霊力が薄く吹き出す。
「――”
納刀と同時に、釜瀬からは夕凪の姿が残像としてしか捉えられなかっただろう。
気づけば彼は地震の背後を取り、最期に銀色の斬撃が胸に煌めくのを見た。
「がッ――!」
「…」
倒れ伏した釜瀬を振り返ることなく、直ぐに連絡を取る。
「『白日』、標的は来たか」
『そろそろ到着する感じだね。一瞬だけ『断絶』を解くから、それが合図』
「分かった。すぐに移動する」
凄惨な現場となった大部屋をあとにし、すぐに夕凪はまた屋上に戻っていく。
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