第37話 迫り来る四神。暗躍するプレイヤー

 とあるプレイヤーと、npcたちの前にクエストが表示される。


「うわ?!」

「こんなの初めてだな。何々?」


『中の四神が【人類国家アランガント】に戦争を仕掛けました。到着まで5分。【人類国家アランガント】にいる人々は、下記のクエストに参加するか、直ちに【人類国家アランガント】から退避して下さい。』

『防衛クエスト:アランガント防衛戦参加要請』


「獣風情が我々に戦争だと?舐めてくれおって!」

「そうだな!なあ!お前たち!」

「おう!俺らこそが生物界の頂点だという事を思い知らせよう!!」

「おーほっほっほ。わらわのペットにしてくれようぞ!爺や」

「は!」


 と、【人類国家アランガント】の人達は、怯えるどころか血気盛んに戦の準備を初め、南門に集まって行く。


「俺らも参加しとくか?」

「せっかくの大規模クエストだしね!」

「うちは動物好きやし、辞めとくわ」

「俺は今は猫と関わりたくねぇよー」


 頭を拾って帰ってきたらデットは参加を辞退。

 他にも白たちを捕まえた張本人のルビアも、今はお金が潤沢のため面倒くさい防衛クエストを辞退。ルビアは、お金のためなら殺し以外はする女だ。


「情けねえな〜」

「四神と戦えるチャンスなんてあんまねえのにな」

「あたしたちはやってやるわ!」

「行くぞ!」

「「おう!!」」


 参加したプレイヤーの頭上に赤のマークが浮かび上がる。

 参加するプレイヤーを見送る、参加しないプレイヤー。そのプレイヤーの前に新たなクエストが表示される。

『防衛クエスト:アランガント防衛戦参加要請を拒否された異界人へ。中の四神が攫われた愛子を救出しにやって来た。囚われ冷遇されていた獣人を救出し、【人類国家アランガント】の背後から援護せよ。』

『緊急クエスト:白虎の愛子。獣人の救出戦の参加要請』


 こちらのクエストに参加したプレイヤーの頭上には、青のマークが付く。

 まだ近くに敵になるかも知れないプレイヤーたちがいる為、無言で目配せをする。頷くと参加したプレイヤーが、人目に付かない裏路地に身を隠す。


「こっちの方が面白そうね」

「そうだな。この国の獣人に対する行いは目に余るからな」

「俺は猫の呪いから解き放たれたいから、こっちに付くぜ。なんかやつも居そうだし」

「やつって?」

「死神かな……」

「?」

「てか、ルビア。てめえが、捕まえた白猫じゃねえか?この探してる猫」

「せやな〜まさか四神の愛子だったとは、懐は膨れたやけど、獣人の信用がガタ落ちわ予定外や〜」


 頭を悩ませているルビア。怯えているデット。


「取り敢えず、様子見よね」

「そうだな」

「うちも賛成や」

「俺らが急いだ所で、まだ敵兵が街中にいるからな」

「じゃあ、四神たちが攻撃を仕掛けてから動くという事で」

「異議はないわ」

「それじゃあ解散〜」


 獣人を従てそうな奴隷商人の建物の近くで身を潜める中、遂に戦争が始まる。始まりは地面が大きく揺れる程の衝撃だった。

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