チャリパイEp.4~未来からの刺客~

夏目 漱一郎

第1話機械vs人間

 西暦2100年……


人類は自らが生み出した『史上最大の敵』と戦っていた……


 日進月歩で成長を遂げるコンピューター技術はあらゆる産業の高効率化を追求していき、ついに人類は『自ら考え学習し成長していく』という究極のコンピューターを発明するに至った。


 このコンピューターは『mother』と名付けられ、当初人々の生活に大いに役立っていた。しかし、motherが成長していくにつれ、その力は遂に人間のコントロールの範囲を超えてしまった。


 そして、あらゆる産業の高効率化を達成する為に度重なる計算の上にmotherが最良だと導き出した答えは、という答えに至った!


 motherは、オートメーションの工場でアンドロイドや殺人兵器を量産し、人類を支配下に置いた。しかし、一部の人間はこれに激しく抵抗し、その勢力は次第に大きなものへと変わっていった!


 数千人以上からなるこの『反mother』の勢力は、反乱を始めた最初のチームの名前を引き継ぎ、こう呼ばれていた……



【ネオ・チャーリーズエンゼルパイ】



☆☆☆




西暦2024年東京……


人影もまばらなビルの隙間の路地で突然、何もない空間に球型の大きさ2m程の光の塊が現れた。



ボワン……


その傍を歩いていた通行人の一人が、驚いて指を差す。


「なんだあれは!」


最初眩しい位に輝いていたその光は数十秒程のあいだにだんだんとその光度を下げていき、次第に消えた。するとそこには筋肉隆々の逞しい男がで立っていた。


「なんだ? か?」


『安心して下さい、穿いてますよ♪……って違うわっ! 私の名前は【アンドロイドT8000】……為に転送されて来た』


「どうしてパンツ一丁なんだ?」


『本当はなんだが、大人の事情だ……』



♢♢♢


 新宿歌舞伎町森永探偵事務所……


いつものように事務所に集まりくだらない話題で談笑をしていたチャリパイの四人。


そこへ突然、シチローのスマートフォンがメールの着信を知らせた。


「ん? なんだこれ……」


見覚えの無いメールアドレスだった。少し不審に思いながらもシチローがそのメールを開いてみると、そこには何とも不可解な内容の文面が書かれていた。


『我が最後の希望の光よ! 貴方達は今……気を付けるべし! ネオ・チャーリーズエンゼルパイ』


「ねぇ、これ何だと思う?」


意味の分からないメールの内容に首を傾げながら、シチローは三人にスマートフォンの画面を見せて感想を尋ねた。


「かなりヤバイ……って、ダイエット食品の広告かしら? わたしはんだけど……」


「『最後の希望の光』ってどういう意味かしらね?」


「ネオ・チャーリーズエンゼルパイって書いてあるよ」


この時点では、このメールの一文一文の重要性はチャリパイの四人には全く理解が出来なかった。そしてシチローは、このメールのさらに不可解な部分に気付いた。


「これ、2100になってるよ……スマホぶっ壊れたかな……」


この時既に、motherからの刺客がこちらにむかっている事にシチロー達は、まだ気付いていなかった……

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