第130話 ネットショッピング?始めます
「皆さんこんにちはQドラ権です!」
『お、なんだなんだ?』
『配信乙』
『今日は何かな?』
ワラワラとリスナーがアクセスして来る。
「開拓者ギルドから販売許可が出ました!異世界技術を使った武器やら小物類を通販いたします!」
ドンドンパフパフというSEが入る。
『通販?』
「はい。開拓者ギルドを通してですが、異世界技術を使って制作したものをお売りします」
最寄りの開拓者ギルドに取りに行かないとダメだけど、開拓者ギルドの配達代行は、民間の宅配便を使うより早くて確実なんだよね。
『モノを見せて!』
リクエストがあったので、スペースから一振りの斧を取り出す。
「異世界のドワーフの鍛治師が打った一品に、自分が火属性を付与しました!」
『待って!どう見てもヒートホークです。本当にありがとうございます!』
「はい。ご指摘の通り
ばばん!とヒートホークの柄に印されたバンザイの刻印をズームアップする。
『おぉ公式公認か!』
コメント欄がざわつく。
因みに話を持ちかけてきたのはバンザイの公式さんの方だったりする。
まぁ、表向きはこちらが申請してドラゴンの素材を融通した結果となっている。まぁ、ドラゴンの素材を集めて納めたのは本当なんだけどね。(先方には大変喜ばれた。)
「でもって、現在はグフフのヒートサーベルとドームのヒート剣を製作してます」
「おぉ」とコメント欄が反応する。初代はもう45年近く前の作品だけど、後継作品はいまだにリリースされているし、初代も数年前にリメイクされている作品だ。食い付きが違う。
『で、威力の方はどうなの?』
ツッコミが入った以上お見せするしかない。
スペースからワイルドボアの肉の塊を取り出す。
「異世界産のワイルドボアの肉10キロです」
『おぉ・・・』
またしてもざわつくコメント欄。まぁ、10キロの肉塊とかあんまり見たこと無いよね。
「紅桃!肉持って」
「あいよ」
近くに控えていた紅桃がボア肉を抱える。
紅桃の腕の筋肉が盛り上がりそれなりに重いことが伺える。
「まずは普通の剣です」
スペースから取り出しますはショートソード。ただ、ファンタジーというか西洋風というか切れ味に特化したものではない。
「えいっ!」
ボア肉に向かって袈裟切りに斬りつける。
ザク
肉が裂ける音と共に肉に亀裂が入る。まぁこの剣も日本製だから切れ味はある程度保証されてる。
「ではヒートホークです」
ヒートホークを手にとり柄の端っこにある赤い魔石を捻る。
ブーン
ヒートホークの刃がオレンジ色に染まる。
「はっ!」
掛け声と共にヒートホークを振り下ろす。
ジュウ
肉が焼ける音と共に肉が綺麗に切り落とされる。
『切れ味も凄いが、切り口が美味しく焼けてるのは不味くないか?』
『火魔法のもたらす状態異常の火傷の効果が乗りそうだ』
状態異常の火傷というのは治癒魔法かポーションで治療しない限り継続的にダメージが入るというもの。火傷の症状は三段階までありヒートホークの威力は火属性に耐性が無い限り充分と言える。
「いまなら1本50万円で!」
『社長。もう少しお安くなりませんか?』
誰が社長か!でも待ってましたのツッコミである。
「解りました。今回に限り1本25万円で如何でしょう!」
『わぁ安い。社長!ありがとう』
どこかのTVショッピングで聞いたことのあるやり取りだ。
「誰が社長ですか!」
ツッコミ返す。
『まぁいいや。で人工とはいえ魔法剣やろ?どうやって取り引きするの?』
「開拓者ギルドを通して取り引きします。まだ末成年なので!」
『それは開拓者ギルドに依頼してくれってことかい?』
「そうなります。ただ、スカウトしたドワーフが2人で、今のところ月産で8本打てるかどうかなので、受注を受けたとしても時間がかかります。それでも良いという方にお売りします」
こればかりはしょうがない。ドワーフたちの基礎レベルやスキルレベルも上げなきゃだしね。
『火属性以外の属性剣を作る予定は?』
「水が出る剣とか風が吹く槍とか必要ですか?」
『あ、作ったんだ・・・』
「まぁ、一応はですね」
結果は武器というよりコストの高い生活道具だったので要研究となったのだった。
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