第118話 王都ダンジョン第10階層最奥解禁
「クリュウさんちょっとイイですか?」
王都ギルドでクエストボードを眺めていた自分に受付嬢が声を掛けてきた。
「なんでしょう?」
「立ち話も何なんで、応接室においで下さい」
そういって少し奥まったところに案内される。
「初めまして。王都冒険者ギルドの査定部の
眼鏡を掛けた茶髪茶目、お団子頭のキャリアウーマンっぽい女性が頭を下げる。
「クリュウさん。あなた、F級冒険者なのに王都ダンジョンの最下層まで潜ってますよね?」
「あぁ!自分たちのパーティーは、最近冒険者登録をしたのでランクは低いのですが、レベルは高いのです」
まぁ、F級の冒険者が第10階層のドロップ品をギルドに納めている時点で疑われるのは仕方ないと、以前から考えていた言い訳を使う。
「あぁ、なる程ですね。ならE級・・・いやD級に昇格でもいいかな?」
庵治さんはうんうん頷く。ちなみに冒険者のランクはギルドへの貢献度なので本人とかパーティーの平均レベルとかは関係ない。
まぁ、冒険者ギルドでのランクでこちらにメリットがあるとしたら、買い物の割引とかドロップ品の割り増し買取とか施設の優先利用だったと日本と大して変わりがない。
「いいんですか?」
「ギルド権限でD級昇格までは好きに上げられます。まぁ、第10階層が探索出来る冒険者はギルドとしても優遇してドロップ品をたくさん納めて貰ったほうがありがたいのよ」
庵治さんがぶっちゃける。
「ちなみに第10階層で活動する冒険者のギルドランクは?」
「C級ですね。まぁB級以上は義務も発生するんでC級で止める人が多いんですけど・・・」
В級冒険者になると扱いは国に所属する下士・・・西洋風に言うなら騎士爵という扱いになるらしい。
まあ、軍隊を経験する事なく下級の士官に取り立てられるということだ。
なおA級だと上士。所謂男爵相当の扱いになり、土地が国から与えられるとか・・・正直要らんよね?
幸いなことにС級からB級になるには試験を受ける必要があるので、試験を受けなければВ級になることはない。官僚になりたく無ければ試験を受けなければいいというC級止めという現象が起こるということらしい。
「目に付かないよう気を付けます」
庵治さんに宣言する。
「こちらも情報として持っておきます。ああ、冒険者証をお預かりしますパーティーの人たちは後日対応しますので・・・」
庵治さんが苦笑いする。
「はいよろしくお願いします。で、今日は昇格の話でしょうか?」
「あぁ、指名依頼です。王都ダンジョン第10階層の最奥の玄室にいる和一怒那の討伐と御守りの回収です」
「入場許可証が貰えると?」
そう。王都ダンジョン第10階層の最奥の玄室に侵入するには許可証が必要なのだ。厳密にいうと玄室の主が出てこれないように封印がされていて、その封印を無効化するアイテムが貰えるというのだ。
「期限は?」
「御守りは一週間以内に納品して下さい。許可証は御守りと同時に返却をお願いします」
どうやらボスを一度倒すとその後は許可証が無くても最奥の玄室には入れるらしい。
「承ります」
「では少々お待ち下さい。手続きと許可証を持ってきます」
庵治さんは頭を下げていく。そしてものの10分もせず帰ってくる。
「では朗報をお待ちしています」
新しくなった冒険者証と薄い鉄のプレートをこちらに渡すと庵治さんは出ていく。
「あぁすみません。ギルドには最奥の玄室の情報はありますか?」
「はい。資料室にありますよ」
受付嬢さんが教えてくれるので資料室に向かう。
目指す資料はすぐに見つかった。
・和一怒那
種族:
得意攻撃:上級魔法
弱点:聖魔法
王都ダンジョン第10階層主。
・バンパイアロード
種族:真祖吸血鬼
得意攻撃:剣術及び聖魔法
弱点:聖魔法
和一怒那の側近。アンデットなのに聖魔法を使うことから
レベルドレインに注意。
・バンパイア
種族:吸血鬼
得意攻撃:剣術
弱点:聖魔法
バンパイアロードの配下。低レベルながらレベルドレインを仕掛けてくるので注意。
う~ん。最奥玄室の属性偏り過ぎてませんか?まあ、こちらとしては都合がいいんですが・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます