第95話 野盗を引き渡す
野盗のお宝を雑にスペースに放り込んで廃村を後にする。
1人余分なのがいるので時間がかかるかかる。ようやく街道に出てそこからはバギーで移動。あっという間に先行隊に追いつく。
「車両が欲しいな・・・」
田中さんがひとりごちる。
「扉が大きくなればワンチャン・・・」
そう。今のところ横幅が扉の幅を下回らないと物資の移動は出来ない。なので小型のフォークリフトや重機。バギーが精々なのだ。
もっとも、分解して組み立てればいいんじゃないか?って意見が出て現在調整中らしいんだけど、こっちの道に対応した自動車ってなるとね・・・
で、なんとか日が暮れる前には王都ロシマに到着する。
王都ロシマ。ここも城は近くの川とそこから水を引いた水堀に囲まれた都市だった。
まぁ、居住区が堀の外にも広がっているから、防衛拠点としての機能は弱い。
まぁ、ここまで攻めてこられたらどのみちアウトかもしれないけどね・・・
「ウジナの冒険者ギルドに所属している者だが、野盗の集団がいたんで退治した。処理をお願いする」
田中さんが門番に話を持ちかける。
「野盗だと?」
「はい」
そう言って田中さんは禿げを門番に突き出す。
「は、貴様は
門番の驚いた声を聞きながら、この世界にもデススコーピオンがいるんだって思う。蠍というと猛毒のイメージがあるけど、実際に人が死ぬような毒をもつ種類は少ない。まぁモンスターの蠍は例外なく猛毒持ちだけどね・・・
「ちょっと待っていてくれ。上の者を呼んでくる」
門番は急いでどこかへ走っていく。やがて一人の老人を連れて戻ってくる。
「ふぃ疲れたぞい」
懐からハンカチを取り出し顔の汗を拭きながら老人はこちらを見る。
「おぉ、確かに手配書に記されてた死蠍のアルバじゃの!」
禿げを見ながらうんうんと頷く老人。
「儂はロシマ警備隊のハンクス少佐じゃ。お主らがアルバを捕まえた冒険者で相違ないかの?」
にこにこ笑いながら尋ねてくるので田中さんがそうだと答える。
「それから、彼らのアジトから押収したものがあります」
「ほう?ではほんのちょい時間をくれんかの?」
老人に連れられ、とある漆喰の壁の二階建ての建物に案内される。
「では押収品を見せて貰えるかの?」
ハンクス少佐はテーブルを指指すので、袋を経由して武器や防具。宝飾品を取り出し、最後に手紙を取り出す。
「どうやら余所の貴族の命令で私掠行為を行っていたようです」
「私掠?王都近くで?それは豪胆な・・・」
ハンクス少佐は出された手紙を眺めて呟く。
まぁ普通は国境沿いでの盗賊働きに対して出すよね。その行為はうちでは犯罪では有りませんというの担保するものだし。
「まぁ手紙だからイヤミぐらいにしか使えない」
「どうして?」
「手紙のな。花押印が違うのだよ」
どうやら花押印・・・つまり文書に書かれているサインが違うらしい。凄いな。他国の貴族のサインの真偽が判定出来るのか。何者だ?
「次に武器や防具。宝飾品だが、これはギルド公開にしてもらう」
ハンクス少佐がいうギルド公開とは、野盗被害にあった盗品の数々を公開し、買い戻しを希望する人間に優先的に売却するというものだ。
盗まれたモノの中には遺族にとっては大切な遺品だったり家にとって大切な家宝だったりがあるらしい。まぁ、名乗り出がない場合はこっちで処分していいらしい。貨幣や宝石は持ち主が判別出来ないので発見した者が勝手にしていいらしい。
取り敢えず警備隊の人たちによってリストアップされて、冒険者ギルドに引き渡された。
ギルド公開は明日から1カ月行われるらしい。
さて死の蠍団だが、下っぱ15人が犯罪奴隷として1人金貨10枚。幹部4人が金貨20枚で売れた。そしてリーダーのアルバは市中引き回しのうえ打ち首獄門。獄門というのは首を切られたあと一定期間刑場近くで晒される刑罰だ。なお賞金首で刑の執行後金貨50枚が払われるらしい。
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