第78話 雑談配信

 平日はいつも通りダンジョンに潜る。ただ、最近配信での異世界の扉についての質問が多いので、開拓者ギルドに投げる。

 結果、ドローンに収録されているインップ村の映像公開をしてもいいよとなった。

 ただ、異世界には一人だけが行けると明言するように言われたよ。

 5人も行けるとなると外国勢が煩いからね。

 ただ、映像を公開したら、J隊から日本国政府、日本政府からアメリカ政府に情報が漏れる可能性はあるらしい。まあ、うちの国は圧力に弱いからね・・・

 ただ、誘拐されても自分なら異次元の扉でどうにでも出来ると判ったからJ隊と国の警戒のレベルは下がったらしい。


「はい。Qドラ権です」


 異次元の扉の中でダンジョンドローンを起動させる。


『お、今日は雑談か?』


『初めてかな?』


『で、なにそこ』


 いつもの常連が書き込みをしてくる。


「異次元の扉の中」


『おお・・・』


『ちょっと待ってコンテナハウスがある』


『広いな!あれは物資の山にフォークリフトか』


『下手な倉庫よりデカい。というか、異次元の扉の中に入れるのか!』


『あれ?流通革命待ったなし?』


 おぉ、中々鋭い考察があるね。


「開拓者の収入以上の収入と税の優遇があればワンチャン?」


『あぁ・・・確かに』


『開拓者を引退・・・するには若いし、何よりQドラは年齢関係ない薬師だからな・・・』


『え?薬師って儲かるの?』


『初期に作れる回復、毒消し、麻痺解除のポーションだけでも十分やって行ける』


『俺も薬師になる!』


『残念だが、薬師は初期スキルかスキルオーブでしか習得出来ない』


『確かテイマーとか薬師魔法少女のようなファンタジーな職は転職部屋では習得出来ないのよね』


『それは残念』


 まぁ誰でも薬師やテイマーになれるならなっているよねって話である。


「それで、あんまりにも異次元の扉と異世界の扉の質問が多いんで、ギルドに相談した結果、少し情報を開示します」


『マジか!』


『拡散?』


「じゃあ、まずこの異次元の扉。人間が入れるスペースだね。これのお陰で夜襲を心配しなくてよくなった。寝るときには異次元の扉に入ればいいからね」


『あぁ、だからコンテナハウスがあるのか』


 コンテナハウスがある理由を説明しなくてもょくなったよ。


「正解。ちなみインターネット環境が整ってます」


 テレビは・・・BGMのようなものであってもなくてもいい。見たい番組はリアタイでなくてもネット配信で見れるからね。


『護衛はいるの?』


「常時いる。カイヤ、オルティー、マシュル」


 トントンと地面を叩くと、自分の影から三人のカラス天狗が湧き出すように出てくる。


『おぉ修験道風のカラス天狗だ。今のスキル・・・忍者か』


 どうやら考察勢が来ているようだ。


「薬で眠らされても影に潜む彼女らがいれば対処は可能ですし、鍵の盗難にも保険はかけているんですよ」


『保険?』


「言いませんよ?言ったら保険にならないから」


『それはそう』


『まあ予想は付くけど、一番有効ではある』


『それは置いておいて、なにが公開されるの?』


「えぇっと・・・これです」


 ダンジョンドローの映像にあるインップ村の映像を流す。


『えぇ・・・マジで屋外やんか』


『待って!エルフ!!櫓の上にエルフ』


 一気にコメント欄が大騒ぎになる。ダンジョンにエルフがいるという情報は世界を見ても例がないから当然だ。


『商売始めた・・・だと?』


 レジャーシートを広げて物々交換や金銭のやり取りを始めたのを見て騒ぎが大きくなる。


「これがエルフ弓です」


 スペースから一本の長弓を取り出してみせる。


『そう言えばQドラは何日か前に弓士に転職してたよね?』


『あぁ!何で不遇職に?って思ったけど、これの布石か!』


「もし仮に異世界でなくフィールドタイプのダンジョンだとしても、野外なら弓士は不遇にはならないかな?って・・・」


『それはそう。特に対空戦になると弓は必要』


 ですよねぇ~。


『弓士に光明?』


『待て・・・ところでQドラ権よ。異世界には何人行けるんだ?』


『はっ!確かに』


「今のところ1人とテイムモンスターだけかな?」


『あぁ、アイテムのレベルアップの可能性か』


『もしくはQドラ権と同じ手法で同じアイテムがドロップする可能性』


『胸熱だな!』


『黄金の国ジパング!(英語)』


『おぁ?海外ニキおったんかいな?』


『彼女は日本のどこに住んでいる?是非とも弟子に!(フランス語)』


『弟子!その考えはなかったな!?』


「ちょっと待って!弟子とかパーティーメンバーとか無理だからね!」


 リスナーの弟子と言う言葉に声が出る。勘弁して欲しい。テイマーはある程度レベルを上げればテイムモンスターでパーティーを組むので基本はソロだ。特にうちは疾風、チビ、紅桃という前衛が揃っていて、ペンタントちゃんという後衛がいる。パーティー枠はないのだ。

 まぁ、クランという・・・待って・・・クランを結成すると異世界に行けるメンバーとかが増えたりするのかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る