第56話 本願寺広島別院ダンジョン
広島市中区寺町。戦国時代の中国地方一帯を支配していた毛利元就の孫である毛利輝元が庇護した浄土真宗の寺院を毛利輝元が山口に移封されたあとに広島にやってきた福島政則が本願寺派の寺院を纏めて転移させて作った町である。
本願寺広島別院ダンジョンはそんな寺町の中心にあるダンジョンで、寺院系の特徴である不死系モンスターでなく六道・・・地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天をモチーフにした階層のあるダンジョンがある。
「第1~3階層は地獄界。敵はスケルトンやゾンビといった亡者系。ボスはジャイアントゾンビ。第4~6階層は餓鬼界。敵はゴブリンといった鬼や亡者系でボスはオーガ」
本願寺広島別院ダンジョンの開拓者ギルドの受付にあるパンフレット兼階層マップで階層の情報を頭に入れる。
「第7~9階層は畜生界。敵はゴボルト、ケット・シー、オーク。ボスはオークチーフ。第10~12階層は修羅界。敵はゴブリンファイターにホブゴブリンウォーリァ。ボスはオーガファイター」
『第10階層から敵のランクが上がるのか』
「ですね。故に階層は16しかないのに中級レベル認定されてます」
『へぇそうなんだ』
そうなんてす。
「第13~15階層は人間界。敵は戦士、僧侶、騎士、侍、魔法使い、盗賊の中から6人のパーティー。そして最終階層の第16階層は神。モンスターは仏教界四天王のうち1体との戦い」
『なるほど。第12階層からが本番と・・・』
まぁ、それほどまでに紅桃は鬼札なのだ。鬼だけど・・・
ということでダンジョンをサクサクと攻略して行く。そうそう。途中、畜生界で植物育成のスキルをもつモンスターを探したよ。テイムモンスターのスレで、テイムモンスターが持っている戦闘に役に立たないスキルの一覧のなかに存在しているのが判っていたからね。
なんでこんなスキルがあるのかって?植物モンスターである走る草を育成する事が可能だからだ。これで薬師は各種ポーションが作り易くなる。ちなみ普通の植物も促成栽培が可能だったりするので、農家さんに植物育成のスキル持ちモンスターをレンタルして稼ぐテイマーさんもいる。
数時間探した結果、テイムしたモンスターの中から一人の女のオークを選び出しデュロックと名付ける。
「今後ともよろしくお願いします」
オーク・・・豚顔の獣人で、雄はあんこ型、雌はソップ型の力士を想像する体型。
その体型を生かした戦士系が多いが頭は余り良くないのか、魔法使いはいない。ただ信心深く戦士系以外だと僧侶系が多い。
不器用なので専ら鈍器を好んで使う。
デュロックに暴君竜の杖を装備させ、チビと入れ替えしばらく育成することにする。
ここで活躍したのは紅桃だ。紅桃が優しく殴れば大抵のモンスターが瀕死状態になり、あとはレベル1のオークでも当てれば倒せる。楽々レベリングだ。
ただ、急速なレベルアップの影響か、デュロックの体に一向に肉というか脂肪が付かない。
どちらかというかマッシブである。しかし胸の脂肪はしっかりついている・・・何故でしょうかね?
『オークなのにマッシブ!新しい!!』
新しい・・・いや、最近のオークはマッシブなのも多いよ?豚要素が残っているの顔の一部だとかもある。デュロックも顔
の一部・・・鼻と牙と耳。それとつぶらな瞳がオークしているだけであとは人間と変わらないんだよね。
「レベルが20になるまで修羅界で鍛えて、人間界に向かいましょうか?」
「「御意」」
「にゃあ!」
「いいよ!」
全員一致ということで再びレベリングに精をだす。
予定通りデュロックをレベル20にまで上げてボス部屋を突破して階層を降りる。
「おぉ・・・本当に人だ」
心ちゃんが口笛をふく。
現れたのは皮鎧に身を包んだショートソードを構えた人間。
もっとも顔がのっぺら坊なので人間というよりはマネキンだね。
「うぉおぉ~」
紅桃が一気に間合いを詰め腹をワンパン。体がくの字に曲がったところで背中に一撃。地面をワンバウンドして塵に返る。
『紅桃の姐さん強い・・・』
『このダンジョンも最下層以外なんとかなりそう』
うん。コメント欄のいう通りだと思う。
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