第44話 小学校砦に行こう
朝が来た!寝床は第三砦の周辺にある民家に寝袋を持ち込んでの就寝なので快適でした。
「朝食で~す」
スペースからサンドイッチやおにぎりを取りだしコーヒーや味噌汁と共に配給。
配給が終わると港に戻る。そこで陸揚げされた日持ちする食糧やレトルト食品をスペースに詰め込み、再び第三砦に向かう。車とかは使えないので徒歩だ。
「攻略組は?」
「5分前に最後のパーティーが出たよ。先頭は今ごろ小学校砦かね?」
待機組らしい革のライダースーツを着た男の人が答えてくれる。
「ありがとうございます。デ、荷物はどこに置けば?」
「あぁ、スペース持ちさんか。それなら、ここで待機だ。小学校砦が落ちれば、そこが最前線だからね。ここで店を開くのは意味がない」
昨日の砦の攻略が素早く完了したことで方針を変えたのだろうけど、もっと早く伝達してくれてもいいのに・・・
「じゃあ、周辺で適当に採集してきます」
「あいよ」
了承を得たので、疾風、チビ、ペンタントちゃんを召還して近所の散策を始める。
回復ポーションはいくつあっても無駄にはならないからね。
それから昼過ぎまで散策を続け、第三砦まで戻って来る。そしてスキルでせっせと回復ポーションと中級の回復ポーションと毒薬、麻痺ポーションを作る。
気付いたら回復ポーション作成というスキルがポーション作成というスキルに変化していた。どうやら複数のポーションを複数回作るのがスキル変化の条件だったようだ。
これにより回復ポーションだけでなく、ポーションと名の付くもはスキルで作れるようになった。
具体的には、今材料がある、回復、中級回復、麻痺、毒、麻痺消し、毒消しのポーションが道具無しでも作れるようになった。
ただ今のところ、ポーションの品質を上げるなら、材料を乳鉢で粉砕、攪拌、精製した方がいいんだけどね。
「一部の先発隊が帰って来たぞ!」
門の方から声がする。どうやら消耗品を使い果たしたパーティーが帰還してきたらしい。
回復役がいないから、ポーションに頼るしかない。しかし回復をスキルに頼っていた分、ポーションを消費する量を見誤ったのだろうと推測する。
「回復ポーションを20本くれ。ゴブリンがうじゃうじゃいやがる」
虎髭のライダースーツを着たおじさんが、回復ポーションを頭にぶっかけながら叫ぶ。
「かぁ!ヘアトニックより効くぜ!補給が終わったら出るぞ」
虎髭のライダースーツを着たおじさんが応急キットの包帯を頭に巻きながら叫ぶ。
「回復ポーションを持って最前線に出向いた方がいいかな?」
第三砦でレイドの処理をしているギルド職員に声をかける。
「それはありがたい提案ですが、よろしいのですか?」
ギルド職員さんは真面目な顔をして聞いてくる。
契約的には自分は後方支援であり、前線には出なくてもいいのだ。
「まぁ、砦に入る訳ではないので」
砦を攻略中にその周辺にモンスターが湧くことは稀だ。なら、輸送が出来てポーションが作れて戦闘職を三人従えている自分が適任だろう。
「回復ポーションと回復草。あと弁当を優先して運んでください」
「了解しました」
その場で輸送するもののリストを貰い待機しているスペース持ちとの話し合い。
コンテナに複数の物を詰め込み、コンテナをテイムしたモンスターの所有物にするとテイムモンスターのスペースに詰め込めるという発見はここでも非常に便利に働いた。
モンスターのスペースは本来はモンスターの居住空間だからそれなりに広いんだよね。
「よし。小学校砦に向かうよ!」
疾風たちに声をかけて、小学校砦に向けて出発する。
途中、小学校砦から第三砦に戻ってくるパーティーにも声をかけて、ポーションの補充するだけのパーティーには来た道を戻ってもらう。
ポーションを補充をするだけなら自分が渡すだけでいいからね。
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