第17話 平成ラヂオバラエティーからのお話
「いまさ、横川詣を終えて帰ろうとしたら、開拓者ギルドから出てきたテイマーの女の子と遭遇してさ」
パソコンのラジコのタイムフリーから横川アナの声が流れてくる。
「でね。ピンと来たよ。女子高生でもダンジョンに潜れるなら、還暦近い俺でもテイマーになれば開拓者として活動出来るんじゃねぇかって」
なにか言い出した・・・
「で、さっきショップを眺めてたら、テイマーのスキルオーブがあってね。ちょっと高かったけど即買い」
おぉ・・・バカが居る!
適性ないって言われたらどうする気だ。いや、詳しい人とダンジョンに行けば戦士か盗賊とかなら余裕だろうけど・・・
「そんでね。俺が開拓者になるドキュメント作品を作ろかな?って思った訳」
はぁ?と言うか、あの短時間で行動出来るって凄いな。
「そこで、職業部屋までリスナーさんにエスコートして貰おうかな?って!まあ、記念品ぐらいしかお礼出せないけど」
あ、そうなんだ。
「取りあえずエスコートしてくれる人は番組のホームページからメールよろしく!」
面白そうな話なので、ホームページからメールを送ることにした。
横川アナの開拓者チャレンジの日程が決まって、無事?エスコート要員に選ばれた。
応募して来た開拓者が自分以外に1人。戦士のぷにっとさんだ。
「潜るのは広島駅前の小規模ダンジョン。あそこはパペット系がメインです」
事前に開拓者同士で集まった席でぷにっとさんが提案する。パペットは下級の布のゴーレムでドロップがショボイけど火に弱い上に経験値が美味しいモンスターである。
「確実にジョブを取らせたいから、連れ回して経験値を貯めてたいところだね」
ぷにっとさんはくるくると指で空気をかき混ぜる。
まあ、ダンジョンに入ったあとに基礎練習とか言って連れ回せばあんまり疑われることはないだろう。
「じゃあその日のうちにモンスターテイムまで済ませましょう。パペットはゴーレムなので、アイアンまで育てば長く前線を任せられます」
と提案する。
「あぁ、アイアンゴーレムまで育てば上級の浅い階層のダンジョンまでなら楽に探索出来るからそれがいいかもね」
ぷにっとさんは深く頷く。
「でも簡単にテイム出来るの?」
「うちの疾風は手加減を覚えているので、テイムに時間はかかりません」
「そうか・・・よしそれで行こう」
おおまかな指針を決めて本番に望む事になった。
「はい。天才横川良治です」
ダンジョンドローンを起動させるのと同時に横川アナが自身のお決まりの口上を述べる。
「先日予告した通り、今日は俺が開拓者に覚醒するかどうか確かめに広島駅ダンジョンにやってきました。パチパチパチ!」
「そして今日のゲストさん。リスナーのぷにっとさんとQドラ権ちゃんです。はい拍手!」
流れるように進行していくのは流石プロである。
「ぷにっとです。よろしく」
ぷにっとさんが少し手を挙げる。
「なお、Qドラ権ちゃんは今回の企画の基になったテイマーさんね」
「よろしくお願いします。この子がコボルトの疾風でこっちの子がケット・シーのチビです」
疾風とチビを両脇に抱えてドローンに向かって挨拶する。
「では早速入ダン手続きをして開拓を始めましょう」
という事で第一階層へ降りていく。なお、横川アナの装備はジャージに皮の胸当て。安全靴に木刀。ゴーグルに鉢金という初心者装備。ジャージ以外はどれもまとめて開拓者ギルドで1日五千円でレンタル出来るものだったりする。
「一応、横川さんがソロでもやっていけるよう指導しますので、お付き合いください」
「はいよ!」
ぷにっとさんの説明に気合いを入れる横川アナ。
早速スライムと会敵する。
「てぇい!」
木刀を振りかざし、スライムを叩く。もっともスライムは耐物が高いから職なしではほとんどダメージにならない。
「よし!」
ようやくスライムを倒して、ひとりごちる横川アナにパチパチと拍手を送る。
「まぁ、スライムは塩をかけるとナメクジのように縮み小さくなり簡単に倒せます」
そう言って、腰に吊ったポーチから塩の塊を取り出して渡す。
「えぇ。それ、早く言ってよ!」
まあ何事も体験です。
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