第10話 お買い物

 ダンジョンホームセンター大亀は、元は地元のホームセンターだったのだが、ダンジョンが発生してからしばらくして会長の鶴の一声でダンジョンの探索グッズも取り扱うようになり、今や業界最大手のお店になっています。

 またギルドに売るよりは少しお安くなるけど、ダンジョンの素材を売ることも出来るし、素材を提供することでアイテムや装備品を割安で手に入れることも出来る。

 この店は近くに自衛隊ダンジョンがあるため、一階は普通のホームセンターですが、二階はダンジョン関係の商品の専門の売り場になっている。

 エスカレーターで二階に上がると直ぐの場所にあるのはテント。なぜなら上級ダンジョン以上は階層が百階以上あるので、まず一日では踏破出来ない。ダンジョン内では結界を張る事でモンスターからの襲撃は防げますが、悪意がある人間からの襲撃は防げません。そこで開発されたのがこのテントです。結界にプラスして物理障壁、隠蔽の魔法が発動して内の人間を守ってくれます。凄い装備ですがお値段も三桁万円します。まあ、上級ダンジョンに潜れる開拓者だと下層である70階層まで潜ればドロップ品の売却で元が取れます。あと開拓者は購入費用が経費で落ちます。

 なお、消耗品や中堅までの武器や防具は店の奥にあるので、道すがら置いてある高級品は程よく物欲が刺激されます。


 「いつかは村正」お店のレジカウンターの後ろに飾ってある刀の横にあるキャッチコピーです。

 何でも飾ってある村正は市内の上級ダンジョンである原爆ドームダンジョンの100階層でドロップしたアイテムだそうで、お値段は4桁万円の後半。装備出来るのが侍と忍者だけなので聖戦士や聖騎士のエクスカリバーや魔術師の世界樹の杖。戦士のトールハンマーほど高かったりはしません。ちなみに村正の脇差(カテゴリーはショートソード)は3桁万円後半で手に入る上に近接職なら装備出来るので「いつかは村正」は私にとっても密かな目標だったりします。ただダンジョン産の脇差村正は人気が高いので、なかなか店に入荷しないのが難点です。


「えっと・・・」


 鎧コーナーに足を運ぶ。皮鎧と言っても私が探しているのは、見た目は肩、胸、肘に厚いパットを入れたライダースジャケット風の皮鎧です。

 これにジーパンと皮のブーツでダンジョンには潜れます。もう少し予算があるなら、上下が皮のレーシングスーツ風の鎧も視野に入ります。


「こ、これは・・・」


 皮鎧を色々物色していたら、一品物のコーナーにフード付きの皮マントいやケープコートがありました。色は素材であるダンジョンリザードの濃い緑です。

 フードを被るとダンジョンリザードのコスプレになるのもイカしています。ああ、尻尾もあります!買いです!!

 値札をチェック・・・大丈夫。今回の目的である皮鎧に2万程足せば買える。そしてその位の貯金はあります。

 ダンジョンリザードの皮鎧とケープコートを手にレジカウンターまで。コインとギルドカードでお支払い。

 退店する時に万引き防止のスキルの使用阻害の腕輪を返還してスペースに荷物を放り込むと、店を後にする。

 防具を手に入れたのなら、試してみたくなったので、バスに乗って中級ダンジョンがある陸上自衛隊駐屯地に向かう。

 駐屯地ダンジョンは人型モンスターが出現するダンジョンで、階層は20と少ないけど、モンスターは連携してくるので難易度が少し高い。

 武器防具を装備している個体は倒すと確定で武器防具を落とすのも特徴的だ。

 ギルドのロッカールームで皮鎧とケープコートを装備し、ショートソードを腰に佩くと、ギルドカードをゲートで掲示してダンジョンに入る。

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