◇Phase 15◇

【本陣】


混沌とした戦場。

呻き声ばかりが聞こえる。

天幕の下で一人佇むドライアン。


レリア:(悪魔D)ご報告申し上げます。ドライアン閣下。

ドライアン:何だ。

レリア:(悪魔D)αアルファからμミューまでの各隊が先程壊滅致しました。残るは我らνニュー……いえ、私と閣下のみです。

ドライアン:そうか。ご苦労。

レリア:(悪魔D)いかがされるおつもりですか? もう勝ち目などありません。あの『厄災』の天使がここに来るのも時間の問題です。……ドライアン閣下。この戦線はもう駄目です! あなた様だけでもお逃げに――

ドライアン:逃げる? どこへ? 何のために? どうして?

レリア:(悪魔D)しかし、閣下さえ生きていればまだ我々は!

ドライアン:静かに。グレモリアの声が聞こえないだろ?

レリア:(悪魔D)閣下! グレモリア様はもう……!

ドライアン:違う。俺はあいつのためにも殺さないと。天使を。カルミア・ラティフォリアを!

レリア:(悪魔D)閣下……。

ドライアン:……もういいぞ。お前もよくやってくれた。

レリア:(悪魔D)――お先に参ります。『魔王』ドライアン・ダラス総督。ご武運を。


悪魔D、自害する。


ドライアン:さて。行こうか。グレモリア。



カルミアと従者の天使Dが立っている。


グレモリア:(天使D)カルミア総司令、ご報告申し上げします。

カルミア:…………。

グレモリア:(天使D)先刻、敵陣営の大部分を殲滅したと各隊より報告がありました。

カルミア:ご苦労。

グレモリア:(天使D)しかし我が陣営の損耗も激しく、とても動ける状態ではありません。やはり増援を待ち、万全の状態で敵本陣を……いえ、例の『魔王』を――

カルミア:不要。

グレモリア:(天使D)は、いえ、しかし!

カルミア:不要。私が――殺す。この手で。

グレモリア:(天使D)お、お一人で行かれるなど無茶です! 失礼ながら、いくらカルミア様といえど、あの悪魔を相手にご無事で済むと――

カルミア:――去ね。


カルミア、剣を振り抜き、鞘に納める。


グレモリア:(天使D)カ、ルミア総司れ……?!


天使D、切断されて倒れる。


カルミア:悪魔を――殺す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る