三神姉妹の叛逆劇 〜俺っ子女神ですが自分のオリジナルに家族を酷い目にあわされたので叛逆しようと思います〜
豪運山勝山 / レドたん
序章 終わり。そして、始まり
あの日のことは今でも夢に見る
絶対的な力の差を示され、苦汁を飲まされた日
「そん、な……」
「っ、しっかりしろ
「
『貴様の抵抗も最早これまで。諦めて我が身に還るがいい、愚かなる半身よ』
一歩、また一歩と近づく終わり。守りたかった世界も。肩を並べた友も。そして、“家族”を救うことさえ出来ずに――
『終わりだ。統合を開始する』
「待て……よ、
満身創痍。立っているのがやっとのはず。だのに、“妹”の1人・
『ムダな足掻きを……なれば、雑草から刈り取ってくれよう――む?待て。貴様、キサマらっ。なにをしている?!』
それは、最後にして最期の。世界を知り、人を知り。愛情を知った、“
「始源之神!あなたのその絶対にして究極たる力を!」
「奪わせてもらいましょう。そう、この身を贄としてでも」
「ダメ、だめだ――やめて。そんなことをしたら――!!」
わかった。わかってしまった。彼女達が何を、何を成し遂げようとしているのか。世界各地、数多の神々を退けたありとあらゆる存在の創造主。それを討ち果たす為の――
「ヤーダね。こればっかは姉貴が止めてもやり遂げるさ。それが、私ら4人が出した答え。見ててよ、黒姉ぇ。濁闇。輝光ねーちゃん。これが!最後の!奥の手っ!!!」
『させるはずがなかろう』
「おぉっと、気が合うじゃないの。えぇ?黒音おねーさんとしちゃあ、自称長女としてっ!妹達の
身の丈はあろうかという巨大な斧を軽々と振り回す“姉”による死角からの一撃。それでも、まだ足りない――
『――ふん』
「まだ防壁が。このままだと防がれます……っ!」
「黒姉ぇっ!切り替えろっ!!」
「はいよっ、武装変形!戦斧から――大鎌じゃあぁぁっっ!!」
直前で武器の形状が変化したことによるものか。始源神の防壁をすり抜け、一閃。その身に傷を負わせ、体勢を崩すことにも成功させることができた。しかしてそれは同時に、ほぼ限界をむかえていた姉・
『ぐっ……おのれっ。死に急ぐか、粗悪品共。ならば、ならば貴様から食らってくれるっ』
「へっ、いいさ。私を食えるなら食ってみな。でも、先に食われるのはお前の方だバーーーーカッッ!!」
始源之神の意識が黒音に向いていたそのわずかな隙。しかし、それでも。そのわずかな隙こそが命取り
「ここに在るは5つの贄――我らが
「紡ぎし想いは
「時渦巻く螺旋よ。今こそその道を示せ」
「これが私らの切り札!全てを巻き込みソラを駆けろっ。“
手を伸ばそうとした刹那、輝光の背後に現れた黒い渦。それの存在に気づいた時にはすでに、彼女は暗闇の中にいた
「輝光ねーちゃん」
「未夢。お前――」
「いやぁ、ははっ。ごめんね、デタラメな方法やっちゃって。こんな強引な時間遡行とかクロノスさんに怒られちゃうかな。でもこれが考え得る最善。始源之神を止める為には私ら4人の力。それとヤツの持つ力を一部でもねーちゃん達に託す必要があったから――おわっ、ねーちゃん?抱きしめてくれるのは嬉しいけど力強くね?」
「当たり前だバカ。お前は特に俺に似てるとこがあったけど、自己犠牲するとこまで似ないで欲しかった……」
すでに消滅しつつある妹を力一杯抱きしめる。涙を堪えて他に言葉を紡ぐことが出来なかったから
「ねーちゃん。最期に目ぇ見せて」
「目?――泣きかけで良いなら」
「いいから見せてって泣いてるじゃん。あ〜でもやっぱ綺麗な黒だよなぁ――うん。ありがとう、満足した」
「満足すんな。もうしばらく見てろ」
「おーう、無茶振りだなぁ。まぁでも、そうだなぁ。一言だけ、目を見て言わせてもらうよ。ねーちゃん――」
「……バーカ。そんなのとっくに知ってたよ」
「そう。良かった。じゃあ」
そして、目が覚めると。住まいとしている家の自室だった。窓の外も始源之神に蹂躙される前の景色。輝光は過去、カレンダーの日付からしておよそ1年前に戻って来た。代わりに失ったモノはあまりにも大きい。だけど、託されたからには必ず
「任せとけ。お前らの分も含めて、
「あの様子だとあいつは心配ないかもな。姉貴?」
「はぁ〜……決意を新たにするひかるん可愛いすぎかっこよすぎか〜。おねーちゃん嬉しみが激しみすぎて堪らんわ〜。濁闇もそう思わない?」
「平常運転すぎんだろこの姉」
これは、光と闇。そして混沌たる姉妹三人の
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