第16話 年末は平穏に

 

 あいつと会う事を来年二月まで先送りした事で精神的に余裕が出来た所為か、勉強とバイトに頑張れた。

 

 そして十二月一日金曜から土日を挟んで来週水曜日まで二学期末考査が始まった。考査が終われば祐也の家に行って翌日の考査科目の勉強をした。


 土曜も日曜も翌週分の考査科目の勉強をした。祐也とは小学校の頃からずっとこうして一緒に勉強している。だから余程でない限り、結果に大きな差は出て来ない。


 まだ、一年の二学期末考査だからそんなに力入れなくてもいいと思うけど、祐也は手を抜かない主義だ。


 そして水曜日考査が終わるとこの日まではバイトを入れていない為、祐也の家に行って、お昼は私が簡単な料理を作って二人で食べた。


 食器を片付け終わっても祐也のお母さんが返ってくるまで、まだ四時間もある。

「祐也、期末考査も終わったね。どうしようか」

「ああ、結果が返ってくるまでは、少し頭のクールダウンだな」

「じゃあ、どうする?」


「そうだな。外で遊ぶって季節じゃないし。…する?でも大丈夫な時期じゃないよね」

「うん、でも残っているでしょ」



 ふふふっ、久しぶり。考査の勉強中は全然出来なかったから新鮮だ。お父さんが金丸真司に私を売ろうとしてから、もう我慢しなくなった。


 まだお互い余裕なんか無くて精一杯って感じだけど、それでも祐也と一つになっていると幸せな感じがする。


 俺は、全然分からなくてとにかく、なんとなくこれでいいのかなって感じだ。余裕ないというか、上手く出来ているか分からない。


でも美琴は嬉しそうな声を出しているんで大丈夫なんじゃないかと思っている。人に聞く事でもないし、今度WEBで調べてみようかな。



 一回目が終わってちょっと寝ちゃってもう一回したら午後五時を過ぎていた。

「美琴、そろそろ起きるか?」

「そうだね」


 俺達はその後、リビングでテレビを見ているとお母さんが返って来た。

「ただいま。美琴ちゃん居るの?」

「お帰りお母さん」

「お帰りなさい。お母さん」

「ふふふっ、嬉しい事言ってくれるわね美琴ちゃん」


 美琴が顔を少し赤くして嬉しそうにしている。俺もなんとなく嬉しかった。いずれこうなるだろうから。


 次の木、金は普通に授業が有った。ほとんどが考査の答え合わせだ。あっちこっちから、うーんとかやったぜとか聞こえてくる。俺もケアレスが少しある。


 放課後は直ぐにファミレスでバイト。終わったら美琴の家まで送るという平穏を過ごしている。


 土日は考査ウィーク休んだ代りの午前十時から午後二時までシフトに入る。これは、美琴は家からファミレスに行き、俺は電車乗って二駅目で降りるという訳だ。



 土日のこの時間は混む。今日も入ってすぐに思い切り忙しくなった。薬丸マネージャやバイトの人もテキパキと働いて気持ちいい。あっという間に時間が経ち、午後二時に終わって美琴と一緒にまかないを食べる。


 まかないと言っても今は自分で作る。よっぽど高額な料理でもない限り好きに選べるのがいい。


 俺はハンバーグのセット、美琴はエビドリアを選んだので、俺が作った。中間考査の時の代りのシフトの時は厨房の先輩が作ってくれたが、流石に四か月目になると自分で作れる。


 薬丸マネージャも一息入れているのか、珍しく一緒に食べている。

「二人共慣れたか」

「「はい」」

「そうか、何か分からない事や困った事無いか?」

「今の所、先輩達が丁寧に教えてくれるので、特無いです」

「そうか、それは良かった。二人とも他の人達からも良くやってくれているって評判もいい。これからも頑張ってくれ」

「はい、ありがとうございます」


 薬丸マネージャは、簡単にサンドイッチをコーヒーで流し込むと直ぐにホールに行った。忙しいんだ。



 そして、答案用紙返却日の火曜日。二人で登校すると昇降口を入って中央階段横の掲示板に学年毎順位表が張り出されていた。二人で見に行くと


「あっ、祐也、五位だよ。私は…とえーっ、八位だ。なんでぇ?」

「よう、二人ともいい位置だな」

 

 声の方を振り向くと上野小五郎と小山内琴吹が立っていた。

「上野と小山内か」

「葛城、五位とは凄いな。俺は十位だよ」

「私は九位よ。やられたわね。でも葛城君も友坂さんといつも一緒だから、毎日一緒に勉強しているんでしょ。いいなぁ」

「えへへ、まぁね」

「あら、友坂さん。言うわね。今度は負けないわ。と言っても後は三月か」


「小山内、今度は一緒に勉強するか?」

「まぁ、友坂さんが良いって言えばね」

「わ、私は良いわよ」

「おぅ、正妻の余裕か?」

「あははっ、上野君まだ早いって」

「まだって事はいずれかだろ。羨ましい限りだよ。でも幼稚園の時から一緒で結婚したら凄いものだな」


「あっ、早く教室行かないと」

「おっと、そうだな。葛城、友坂さんまたな」

「私も行くね。二人共またね」

「「うん、また」」


「なんか、久しぶりね。二人と話したの」

「そうだな。二学期に入ってこっちが色々有ったからな」



 その後は、何も無く平穏に時間が過ぎて行った。月曜日から木曜日までバイトして金は放課後、土、日は二人で朝から一杯遊んだ。


 バイトのお金もほとんど使わない為始める前からすると凄く貯まった気がするけど、家に頼れない以上、大学卒業するまではバイトしないといけない。ずっと今の所からは、分からないけど。


 そして終業式前の日曜日。そうクリスマスイブの日は、バイトのお金を少し使って、祐也と一緒に映画見て、食事して二人でお互いのクリスマスプレゼントを買って、ふふっ、ちょっと外でいい事して家に帰った。


 小さい頃から周りの人と比べると少ないお小遣いだったので自由に使えるお金があるってこういう事なんだなって思った。


 そして冬休みに入った。バイトの時間は変更しないで朝と昼は冬休みの宿題をやった。お陰で年末までには終わった。


 お正月三が日は二人共シフト入れていないから思い切り遊ぶんだ。


――――



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