超強豪校野球部マネージャーの彼女を部員にNTRれた…。失意のどん底に居た僕に手を差し伸べてくれたのは年上美人ナース(白衣の天使)だった
ALC
第一章 バッドエンドからの復活
第1話傷は一瞬にしてかさぶたへ
我が校の野球部が夏の全国大会で優勝したらしい。
僕はそれをテレビで眺めていた。
彼女の嬉しそうな姿が丁度テレビの画面に映し出されている。
僕の彼女は野球部のマネージャーを務めており大会のある地域まで同行していた。
スコアブックを片手に喜んでいる彼女を見て僕も同じ様に喜んでいた。
この時までは…。
野球部が優勝したということで生徒一同は彼らが凱旋帰宅してくるのを学校で待ち侘びていた。
大型のバスが校門を潜り抜けて入ってくると待ち構えていた記者などがフラッシュを焚いて写真を取っている。
僕ら生徒も大いに盛り上がり轟音鳴り響く歓声を上げていた。
しかしながら部員と彼女の様子に少しの違和感を覚えてしまう。
何処か距離が近いような気がしてならなかった。
部員はしばらくの間インタビューなどに答えて校舎の中へと入ってくる。
とある部員に鉢合わせた僕は衝撃の事実を知らされる。
「優勝祝にお前の彼女と寝たわwありがとさん」
そんな言葉に僕の頭の中は真っ白になっていく。
「ちょっと待ってよ…君だけ…だよね?」
僕の動揺する顔が可笑しかったのかその部員は大げさに笑ってみせた。
「んなわけねぇだろ。全員と寝たんじゃねぇか?
大会の途中だって抜いてもらったとか色々噂が飛び交っていたし。
大体、野球部のマネージャーだぞ?
カーストトップの女子がお前なんかで満足するはずねぇだろ。
高嶺の花にたまたま告って了承してもらった分際で調子に乗んなよ?」
鍛え抜かれた身体で凄まれてしまい僕は尻もちを着くようにしてその場で転げてしまう。
部員は僕を嘲笑うようにして教室へと向かい僕は失意のどん底に叩き落される。
何を考えたくなかった。
事実だとしても知りたくない。
彼女の口から事実だと知らされたくない。
頭の中では嫌な想像だけがぐるぐると回っている。
こんな仕打ちはあまりに残酷だ。
彼女も彼らを快く受け入れていたとすれば…。
僕の頭と心のキャパシティは完全にオーバーしてしまう。
何も考えることが出来ずに鞄を持って強制的に帰宅する。
本来ならここから優勝祝的なものが体育館で行われるのだが僕はそれに参加する気にはなれなかった。
早々に帰宅してきた僕の姿を目にした五つ上の姉が異変に気づいたようだった。
「どした?何か辛いことでもあった?」
「姉ちゃん…」
僕は初めて姉に対して泣き言を言うようにして聞かされた話を口にした。
これはまずいと思ったのか姉は僕をそのまま車に乗せて何処かへ連れて行くようだった。
「やばくなる前に病院行こう」
姉は看護師として病院に勤務していた。
大学病院にて務めており専門的な知識も一般人よりは多かった。
姉の車に揺られて数十分が経過した辺りで大学病院へと到着する。
僕と姉はそのまま精神科の先生に診てもらうことになった。
詳しい話をするにはまだ事実を飲み込めなかった。
親しい姉にだから泣き言を言うようにして言えたが他人にはまだ話せそうもない。
それほど大きな心の傷が一瞬にして出来たのだ。
精神科の待合室で姉と隣り合って座っていると一人のナースが僕らの元へとやってくる。
「咲ちゃん。どうしたの?隣りにいるのは弟さん?」
姉の同僚らしい人物に話しかけられていたが僕は俯いて項垂れていることしか出来ないでいた。
「
「え?何?何かあったの?」
「弟がね…ちょっと空き部屋に案内してもらってもいい?」
「わかった。許可取ってくる」
「悪いね」
そうして数分もしない内に僕は空き部屋に案内される。
姉は気を利かせたのか僕と真名と呼ばれるナース二人きりにしてくれた。
「多田真名って言います。
お姉さんとは同期なんです。
精神科のナースなんですけど。
今日はどうされましたか?
って本来だったら先生がすることなんだけど。
生憎今日居るのは男の先生だけだから。
咲ちゃんは女性の私になら話しやすいって思ったんだろうけど。何かあった?」
「………。言いたくないです…」
「そっかそっか。
言いたくないような事があったんだね。
弟くんは高校生だったよね。
私も高校生の頃は嫌なことばかりだったな。
当時の彼氏に浮気されたり。
性的な目的しか無いのに絡んでくる男子が居たり。
バイト先では面倒な男性社員に絡まれたり。
高校生ぐらいだと嫌なこと沢山あるよね。
むしろ大人より多いかもね。
社会人になると面倒もあるけど…面倒だったら逃げても良いって思えるようになるよ。
自分を傷つけるのは一番良くないことだし自分を甘やかして守ることが一番大切なことだって気付くんだ。
自分を傷つける存在には関わらなくていいし。
色んな人が居てこの社会とか世界が出来ているんだけど。
自分の居場所は自分で決めて良いんだよ。
自分が生きやすい場所で生きるのが一番だから。って話過ぎたね。
お姉ちゃん呼ぼうか?」
多田真名の言葉がすぅっと耳から心や頭に届いていく。
それが何処か心地よくて思わず俯いていた顔を上げていた。
眼の前のナースはえらく美人だと言うことに気付く。
僕が今まで出会ってきた人の中で明らかに一番美人だと思っていた。
それなのに話しやすい印象を抱くのは何故だろうか。
僕が傷ついている患者で彼女がナースだからだろうか。
そんなことを軽く感じながら思わず口を開いていた。
「彼女を寝取られて…しかも複数人に…」
思わず漏れ出た言葉に彼女はウンウンと頷くと険しい表情を浮かべた。
「それは…最悪だね…聞いただけの私でも傷付いたよ。
よく我慢してここまで来たね。偉いよ。凄く偉い」
多田真名は僕の頭を優しく撫でると優しく包み込むようにして抱きしめた。
彼女の静かに脈打つ心音を耳にすると何処か安らいでいく気分だった。
「学校にはもう行きたくない?それとも見返したい?」
彼女の後半の言葉の意味が分からないでいた。
「私が手伝うよ」
「復讐ってことですか…?」
「違うよ。そんなこと言ってない。私がその同級生たちを見返す相手になってあげるよ」
「えっと…?」
「咲ちゃんの弟くんなら私は良いよ。これから仲良くしよ?
絶対に傷付いたことなんて忘れさせてあげるから」
「ホントですか…?」
「もちろん。復讐なんて考えないで。
私と一緒にいる姿を見たら。
元恋人も寝取った生徒たちもきっと悔しがるわ。
私は見た目が良いことを自分で知っているから」
「自分で言うんですね…」
「当然。今までどれだけ言い寄られてきたと思う?」
「確かに…その見た目ならそうですね」
「でしょ?だから私がこれから一緒に居るよ。大丈夫。安心して。
もう傷つくことなんて無いから」
「ホントに…?」
「うん。全部私に任せてよ。何も気にしないで大丈夫」
その言葉を完全に信じ込むと僕らは連絡先を交換する。
待合室で待機していた姉に真名は何やら告げていた。
姉は真名に感謝を告げて僕らは会計へと向かう。
車に乗り込むと姉は急に戯けたような表情で口を開く。
「良かったじゃん。
真名みたいな美人と一緒に過ごせるようになって。
高校生男子からしたら憧れの的でしょ?
美人年上ナースと過ごせるなんて普通の高校生からしたら羨ましいはずだよ。
良かったね」
姉の言葉に軽く微笑んで応えると僕の大きな心の傷は一瞬にしてかさぶたぐらいになってくれていた。
今日から僕と年上美人ナースである多田真名との年の差生活は始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。