『ワタシ』の在り方
サイデューカ・焔
プロローグ
私は、あと数日の命なのだろう。沢山の管に繋がれたこの姿を見たら、私の母は泣いてしまうだろう。これは、我が子への哀れみであり、私自身が望まなかった自己決定だと組んでの悔しさからだろう。管に繋がれ、無理矢理な延命治療を私も母も拒んでいた。しかし、私が既に繋がれていた時には意思はあれど、喋ることも動くことも出来ず、ただ人生の終わりを定期的にくる痛みから耐えていた。
「うう、また一緒に家に戻ろうよ。お願いだよ。」と、大人にはだらしない程の泣き噦る旦那がいた。旦那は、余命宣告を言い渡された私に代わり、勝手に延命措置を願ったのだ。そんなことは彼に一言も言わなかった。彼は、仮に私が居なくなったらという話題をするとすぐ泣き出すからだ。今日に至り話しておけば良かったと後悔した日々はないだろう。
彼が帰ったことを知らぬまま私は、昔のことを思い出した。
初めて見る、長い長い走馬灯だった。
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