<予告>オーレン=マフィス 編

 これからどうしようか、と考えた時、ちょうどタイミング良く、私のお腹がぐぅと鳴った。


(そう言えば、朝食もまだだったわ。

 女将さんのお店にでも行こうかしら)


 ――酒場へ向かった私は、酔っ払いたちに絡まれたところを一人の魔法使いに助けられる。

 ――冷たい目をした金髪の彼は、【オーレン=マフィス】と名乗った。


「ねぇ、ちょっと待ってよ!

 さっきから、どうしてそんなに早く歩くの?

 付いて行けないわ」


「……時間がないんだ。

 もっと早く歩けないのか」


「歩けないから言ってるのよ!

 女性と歩く時は、歩調を合わせて歩くのが礼儀ってものでしょ」


「勘違いするな。

 俺達は、利害関係が一致したから、同行しているだけだ。

 馴れ合うつもりは、毛頭ない」


「馴れ合いって……。

 私は、ただ礼儀の問題を言ってるだけじゃない」


「お前がその五月蝿い口を閉じて歩く、と言うなら……。

 いくらでも歩調を合わせてやるさ」


「……な、何よそれ!

 コミュニケーションも取るなって言うの?」


 先程から全くこちらを振り向こうともしないオーレン。

 それが突然、歩みを止めたかと思うと、初めて後を振り返った。


「俺に関わるな。……と、言っているんだ。

 ……自分の身が可愛いならな」


 ――人間嫌いの冷たい魔法使い。

 ――でも、それには何か理由がありそうで……


「お前は、 〝愛〟が何かを知っているとでも言うのか?」


「知ってるわ。

 少なくとも、恋愛だけが愛じゃないもの」


「お前に注がれる愛が偽りのものだと、どうして疑えない?」


「そんなの……そんなの、考えた事もない」


「ほぅ。

 よっぽど恵まれた育ち方をしたらしい」


「あなたは、信じられないの?

 恵まれない育ち方をしたって言うの?」


「…………」


「目に見えるもの全てが真実とは限らない」


「……どうゆう、意味?」


「そのままの意味さ」


 ――オーレンの心の闇に触れる度、私は、彼のことが気になっていく。

 ――そして、突然、苦しみ出したオーレンを見て、私は、彼の秘密を知ってしまう。


「うっ……!」


「……オーレン?」


「来るなっ、……俺に、近づくんじゃない!」


「どうしたの、苦しいの?

 どこか怪我でも……」


「来るなーーーっ!!」


「っ?!」


「……頼むから…………見ないでくれっ!!」



 ⇒To Be Continued... 

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