第33曲 木枯しに抱かれて(1986)

好きな曲を挙げてみる。

「小泉今日子(*1) - 木枯しに抱かれて」(1986)である。


「ザ・ベストテン」(*2)で買い物ゲームというのがあって、それは、できるだけ千円(を超えず)に近い合計金額になるように色々な品物を選んでカゴに入れるというものであったが、キリの良い価格の板チョコだけで見事千円にして見せたのが小泉今日子さんである。これは、狡賢いとか言うよりもむしろ、好きになってしまうエピソードだ。

この文集を読んでくれた人のカクヨム内の文章で、山田詠美(*3)さんの名前を見たのだが、小泉今日子さん、たぶん山田詠美さんを取り上げているのではと思って、本(*4)を見返したら、『無銭優雅』という作品を取り上げていた。僕は、その小説は読んでいないが、或る時期、複数の山田詠美作品を連続して読んだことはある(おそらく、人気があるのは『ぼくは勉強ができない』辺りだと想像するが、僕の記憶に残っているのは『ひざまずいて足をお舐め』)。なぜ興味をもったかと言えば、花村萬月(*5)さんが山田詠美さんの文章は勉強になったと、何処かで評価しているのを読んだからだった。

吉本隆明(*6)が《芸の解体》という言葉を《お笑い》藝の話題で盛んに使っていたと思うのだが、たぶん、アイドルの世界でそれ(解体)をやったのは小泉今日子さんだったのかなあ、とも思う。

こういうこと書くのなら「なんてったってアイドル」(1985)を挙げた方がいいのでは? と思われる人もいるかも知れないが、僕は、「木枯しに抱かれて」が好きなのである。


*1 こいずみ・きょうこ。KYON2(キョンキョン)。女優。アイドル歌手。

*2 TBS系列の音楽番組(?)だった。僕が思うには、エンタテインメント番組。

*3 やまだ・えいみ。ポンちゃん。

*4 『小泉今日子書評集』(小泉今日子、中央公論新社)。帯には《2005年〜2014年『読売新聞』書評欄/10年間に小泉今日子が読んで書いた/おすすめの97冊》とある。

*5 はなむら・まんげつ。小説『真夜中の犬』は、僕のおすすめ。

*6 よしもと・たかあき。西暦2012年に死去。

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