第34話 再会

 僕たちは朝から冒険者ギルドに来ていた。

 依頼の掲示板の前でいい依頼を見繕っているが、丁度いいものも無く唸っていた。

 やっぱりダンジョンしかないかと諦めようとした時、僕たちに声をかけてきた人がいた。

「あれ?インフィニティだー。久しぶり」

「え?ローガンさん?」

 この人はローガンさん、Sランク冒険者『グローリア』のリーダーだ。僕たちがBランクに上がった時にお世話になった人達であった。

 

「うわー久しぶり、どうしたの?なんか依頼?」

 僕たちはお久しぶりですと返すと、丁度いい依頼がなくてと事情を説明した。

「だったら僕たちと合同で依頼受けようよ。Aランク以上の難しい依頼なんだけど、僕達魔法使い少なくてどうしようかと思ってたんだ。ギルドには交渉してあげるからさ」

 僕達にとっては願ったり叶ったりである。しかも海の魔物討伐の依頼らしく、船に乗れるようだ。最高の依頼である。

「あ、その代わり、依頼終わったら前みたいに焼肉パーティーしようよ。僕達の家、この街にあるからさ。あの焼きそば?だっけ最高だったし」

 以前の焼肉パーティーがよほど気に入ったようだった。僕は了承する。焼肉は火起こしくらいしか手間がかからないからなんの問題もない。麺もタレもすぐに作れる。

 

「その子たちが焼肉の子?はじめまして、オリバーです。一緒に依頼受けられるなんて嬉しいよ。前回の時リーダーの自慢が凄すぎてうらやましかったんだよね」

 魔法使いのような男性から声をかけられた。何だ焼肉の子って。

 彼は以前いなかった残りのメンバーらしい。肩には綺麗なオーロラバードが乗っていた。

 他に二人、見覚えのないメンバーがいる。

「俺はマット。で、こっちがチャド」

 残りのメンバーが簡潔に教えてくれた。彼らにはファミリアが居ない。

 

 こちらもみんな挨拶すると彼らはシュガーに興味津々だった。

「精霊は姿が決まってないって本当だったな、なんの生き物だそれ。ライアンさんの精霊は完璧猫だったのに」

「姿の決まった動物になるなんてつまらないでしょ?あたしはオンリーワンな精霊なの」

 チャドさんの言葉にシュガーが適当なことを返す。チャドさんはそれで納得したようだ。それにしても、彼らはライアンさんと面識があるらしい。

「Sランクともなれば国からの依頼で動くこともあるからね。前に一緒になったんだよ」

 ジミーさんが教えてくれる。因みにさっきからジミーさんのファミリアのベアトリスは、ティアの所にいる。スライム同士仲がいいらしい。お互い縮んだり伸びたり震えたりと会話しているようだった。

 

 そうこうしている内に、交渉に行っていたローガンさんが戻ってくる。交渉は成功したらしい。

「一応君らはBランクだから僕らの指示の元動くことになってるからね。まあ、責任は取るから好きに動いてもいいと思うよ。君ら強いし」

 相変わらず適当なローガンさんだった。僕達は依頼の詳細を聞く。なんと漁師の海域にいる大王ダコの討伐依頼だった。探していた食材だ!これでタコ焼きが食える!

 僕がそう零すと僕たちのメンバーにやる気がみなぎる。美味しいものの気配を感じたのだろう。

「たこ焼き?何それ美味しいの?依頼終わったら絶対作ってよ」

 ローガンさんも察したらしく上機嫌で頼んでくる。任せて欲しい。

 実はマルクモアに来る時、タコが見つかったらと思って、特注で作ってもらっていたたこ焼き器をマジックバッグに入れて持ってきたのだ。英断であった。

 僕たちはたこ焼き……いや大王ダコを退治しに行くことを決めた。

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