第10話「アルテパセラン国篇04 赤い狂気」

ーーやっと行った。 

気絶した風に思わせるのも苦労する。

>>じゃら ぶちっ

*:*

 …ぁ、はぁ。

 あ’’ぁ''ッ

 うぅ''ッ

また「あれ」

押さえ付けられる様な。

締め付けられる様な。

こじ開けられる様な。

引きちぎられる様な。

重力?

圧力?

…力⁇

 はぁ、はぁ。

 はぁ''ぁ''あ''

 く''ぅ''ッ 

床を引っ掻く。

重低感が襲って来る。

でも、逃れる術を持っていない。 

…どん 

…どん

…視、界が

…狭く。

…く…。

…。


「あぁ。楽な仕事だ〜!」

村で見張りに人を集めていたからやってみたけど、この仕事はフューゲルがいいのに楽な仕事だ‼︎

「なァおい?

さっき捕まえた奴、殴り過ぎちまったかな?ピクリとも動かねぇ…ァーナム見て来てくるワ。」

そう言って、鍵を開けて確認しようとした。

次の瞬間。

!!

バシャワヮヮッ

シャマルの湧水の様に抜き出す血。

長く尖った爪に付いた血を舐めながら微笑む…。

アレは、なんだ⁈

眼が炎の様に紅く光っている…アレは⁈

う''ぁぁぁぁああ‼︎

俺は、気付いたら走り出してた。

こ、殺されるぅぅう‼︎

死にたくない‼︎

死にたくないぃ‼︎

死にたくないぃい‼︎!

階段を駈け上がって、上がって、通路を曲がって、走って、外に出る。

ッ!!

何故か浮かんでいる⁇

!?!

何⁈何⁈なんで⁈

「待て。お前どこへ行く気だ?」

「あ、先輩!?」

「ヤバいんですよッ!

アイツが首はねられて殺されて!

…しかも手足を鎖に繋がれてろくに自由が効かないはずの相手にですよ!」

先輩に首根っこ掴まれている場合じゃない‼︎

早く逃げてぇえ!

「落ち着けっ!アイツって誰だ?」

「先輩が筋が良いって言ってた、ムスハーですよっアノ!」

!!

カーン、カーン

先輩は鐘を鳴らした。

ザザッ

ザザッ

え''えぇ‼︎

戦うの⁈

無理だって‼︎

この人数じゃ‼︎

いや、何人束になってもダメだ‼︎

簡単に殺される‼︎

死にたくないぃい‼︎

ボタ

ジャラン 

ポタ

ジャラン

ポタタ タ

「トゥッ!」

シュン

シュワヮヮヮワ

キン

「むむ''ぅ。」

グサッ

ジャララ

ガシッ

「ぬぬぬ''ぅっ!」

シャン

バシュヮヮヮワァ

 ふっ。

バシャワヮヮッ

 ふふっ。

ジャラン

 ふふふっ。

爪の血舐めてニヤリ。

あぁ、アレが悪魔ってヤツなんだなぁと思った。

もうっ終わりだ‼︎

ジャラ

ジャラン

ジャララン

次々とみんな殺されていく…。

周りは気付いたら、死体だらけで血の水溜まりが出来ていた。

「ヴォ、ウオォォオオ!!」

ビュオォッ

キンッ

爪で受けた⁈

ヤァマルで1番強いと言われてる先輩のシルスをあんな簡単にっ⁈

ザグッ

「くぅ''ぅ''ぅ''ッ…。」

ブスシャワヮヮヮ

せ。

先輩。

そ、そんな…。

俺じゃまともにやっても太刀打ちできない‼︎

なんとか背後を取るしかないっ…。

「「「『ヤァァァアアー!』」」」

アイツには、悪いが今のうちだッ‼︎

ガン

「おぉ。やったぞ!死んだよな?」

「なんで首を斬らなかったんだ?」

斬ろうとしたよ‼︎

斧を思いっきり振った。

でも、斬れなかったんだ‼︎

 ゔぅ。

!!

「まだ、動く!生きてるゾ!!」

「嘘だろッ!!」

「早くっ!今の内に埋めちまおうゼッ!!」

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