第4話「乙女は盲目」

>>ばとんっ

ーー誰かが駆け込んで来た。 

「ェ''エェン!!モア''ァ助けてぇええ!」 

 ぅ''っ…!

「コリィヌ!?どうした?!ビッショビショじゃねぇか?

しかも、泣いてるし。

風邪引くぞ〜…今、あったかいティア入れてやるからコレで頭拭いとけ。」

「ぅん…グスッありがと、ソレイュ。」

ーー全身ずぶ濡れ。

どうやら、あの雨の中を走って来たらしい。

相当、恐いをして来たんだろう…。


「で、どうしたんだ?んん??」

「ぁ…あのね、アタシにはお気に入りだと言ってくれる人がたくさんいるのはソレイュも知ってるでしょ?」

「ぁあ。それがどうかしたのか?」

「きっとそのうちの1人なんだけど、付き纏われてるの!

始めは、昼で店からの帰り道だったから平気だったんだけど。

近頃、夕方の買い物まで付き纏われてる様になっちゃって…。

アタシ…恐くて、恐くて。」

「なるほどなぁ…それでモアか。

…ぁあ!モアが捕まえてやったら、いいんじゃねぇか!」

ーーまた勝手に安請け合いしやがって。

''ッ。   

…。

あぁ!そうだ‼︎

そいつで憂さ晴らししよう!


 では。明日、夕刻に夕食を。

「わ、わかったわ!」

絶対緊張するぅ‼︎

 『コリィヌ…明日は逃げる時に君が転けて、怪我してしまうのは悲しいからそのつもりでね。』

キャ!ダメ、モアの声がっっ‼︎

わぁあ‼︎急展開!

まさか、モアから誘われるなんて!

でも、これはいい機会だわ!

女装してないモアと堂々といちゃいちゃできるッ!!

こんな美味しい思いができるなら、恐い思いも捨てたもんじゃないわッ!


ソレイュが、アタシにモアと2人で食事する話をさせる。

犯 付き纏い男を釣る。

モアが捕まえる。

だって‼︎

キャァァアア‼︎

アタシ上手くモアと話せるかしら⁇


 待たせたかな?コリィヌ。  

わ、わぁあ‼︎

モアが、笑顔でお出迎えぇえ!

ぃやぁあ‼︎

胸が苦しいぃ‼︎

モアのこんな姿は初めて‼︎

 座ろうか。

モアにいざなわれて、入ってすぐの左側の席に座った。

 ブランをもらおう。

「ウィ。」

「モア!今日は、誘ってくれてありがとう!とっても嬉しかったわぁ!

「そう言えば…モアは、アタシのどこが好き?」

 ぁ…あぁ?…アクアブルーの眼は綺麗だし…。

…◎

「うん!!」

 ぇ…え、赤い髪は熟した果実の様で素敵だし…。

…◎

「うん!うん!」

 ん…ん、笑うと笑窪が出来て可愛いところかな…。

…◎

「んふふふぅ!」

あぁ、モア。

アタシ事の事をちゃんと見てくれたんだぁ‼︎

「もう!モアたっらぁ!

アタシもモアは、ヴェルだと思うぅ!

髪も眼も顔も姿が全てが美しいんだもの!!」

 そ、そう?…ありがとう。

伝わってるかしら?

いくら作戦中の会話だと言えこの思いが…。


アタシね、グリィのベルル飼ってて。

ソノ子、モアにちょっと似てるわぁ。

シャシャって言うのよ…とってもとっても可愛いの。」

名前を呼んだら返事するの。」

わぁ、ふわふわするわぁ…ちょっと飲み過ぎたっ! 

んふふっ‼︎

「可愛くご飯をおねだりするの!

こんな風にっ…。」

 そうか、それは可愛いな。

ゃだっそう言ってるモアの方がカワイィっ‼︎

 そろそろ帰ろうか。送るよ。

あっコケる!

ポスッ

 大丈夫か?コリィヌ。

ドキッ

「だ大丈夫、よ。

ぁ、ありがと、ね。モア!」

「ごちそうさまぁ、ソレイュ!」

「また、明日な!」

あ、モアがソレイュに目で合図した。

作戦の事、忘れてなかったのね。


1つのパラソンに2人で入って…モアとアタシは、距離が近くなった。

き、緊張する‼︎

ダダメ!もう何をどうすればいいかわからない‼︎

 ねぇ。その猫、他にはどんな事してくれるの?

ぐっと肩を引き寄せられた。

『後ろに来てるよ。ほら、腰に手を回して。』

耳ッ!耳元で囁かないでぇッ!!

密着度がすごいぃ。

ギュ

え? 

更に近くなった!?

 それで?シャシャは他に何をしてくれるの?

「そ、それでシャシャわね…。」

ど、どうしよう。

何話そう。

「シャシャは…。」

チュ

えぇ‼︎⁈

 来るよ。

ダッバシャッダッ

トン ペタン

走って来る音が聞こえて、モアに突き飛ばされた。

「いてッ!こいつッ!!このぉおッ!」

ボキボキッ

「うぎゃああぁ!!!」

え?すごい音したけど、骨を折った⁇

いくらなんでも、折らなくても…。

モア恐い。

「う''お''ぉぉぉ〜。」

 お前、右側の席にいただろう?これに懲りたらこんな事やめろ。コリィヌを困らせるな。

や、やっぱりあたしのロワイェェェェエエエッ!!

 帰ろう、コリィヌ。

「え、えぇ。」

どうしよう心臓が!!

 おやすみ、またね。

「おやすみなさい。」

あぁ、モア。

アタシのヴェルなロワイェエ…!

綺麗な翼の生えたシュヴァでアタシを迎えに来てくれるのっ‼︎

「ンフフフフゥ!!」

>>と とん

「ただいま!シャシャ!

あのね、今日いい事があったのよ!」

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