第20話 精霊石

 今回の情報の中で一番重要となってくる精霊石の説明をしなければならない。

 精霊石とは、精霊結晶と呼ばれる精霊の力を凝縮させた結晶を加工した物のことである。

 そもそも精霊の持つ力は自然物が多く、火、雷、水、風、地、光といったものは、我々人々の生活には欠かせない能力ばかり、利便性がとてもよかった。

 そこで精霊たちと話し合いながら、研究者たちが開発を進めた結果、精霊石を作り上げた。

 ただ、際限なく力を使える精霊とは違い、所詮は人が作り出したもの。力を出し過ぎると精霊石は壊れてしまい、中の力が外へ溢れ出し周囲へ暴走する危険性があった。

 これが人へ向けられたらと考えるだけで、どうなってしまうのか目に見えていた。

 そこで精霊石にはそれぞれ、力を抑える出力調整を施し、人に危害が加えられないようセーフティー装置をつけ、さらに人工島内限定でしか使用できないよう調整を行った。

 現在、指輪やネックレスといったアクセサリーに埋め込んだ物が、人工島内で販売されている。ちなみに、島外へ持ち出されて場合は精霊の力は消えただのアクセサリーになるので、結構人気の品でもあった。

 この精霊石のおかげで、人工島では水や電気はもちろん、料理には欠かせない火は全て精霊石で賄っているため無料で提供できており、近いうちに人工島以外でも精霊石が使えるよう調整をしていた――のだが、ここにきて大きな問題が出てきてしまった。

 とある闇組織が精霊石に目をつけ何と、出力調整とセーフティー装置を無効化させた違法な精霊石を、裏ルートで販売していることが発覚したのだ。

これにより、精霊石を暴走させた事件が世界中で起こり始め、一時期大混乱に陥ってしまった。

 この事態を重く見た世界各国が会談をしたことで、国際機関が動くこととなった。

 始まりの九人が結成し、もしDIFが人々へ牙を向いた時には、世界を守るために動くその組織の名前はTWG(The World of Guardian)と呼ぶ。

 現在この世界を守護する十四人のDIF集団。最高峰のDIF使いであり、全てのDIFたちが目指す頂でもある。彼ら一人一人の戦闘力は規格外。その力は島一つ消滅させることなんてわけない。実際に、彼らの戦闘の影響で地図から消滅した島や、町がいくつもある。

 今から二か月前、闇組織が活動していたとされる無人島を、竜王の二つ名を持つTWGの第六席の手で、地図から島ごと消滅をしてしまった。

 そして全人工島へ現在販売している精霊石の販売を禁止と回収。さらに、精霊石を密輸している者がいれば、即座に対処するように命じられた。

 誰もTWGに目をつけられたくないため、その命令に従っている。

 声明が出されてすぐ、ニューライトブルーシティーも調査を始めたところ、どんな手段で辺りをつけたのか分からないが、青山は千両寺冬也が裏で精霊石を密輸しているのでは、という疑惑を持ったようだ。

 そして、その証拠を掴むため、川本みなとに調査を依頼。密輸をしている証拠を見つけたのだが、千両寺冬也にバレてしまい、襲われてUSBメモリがももに渡り、今に至るというわけだ。

 ここで問題となってくるのが、千両寺冬也は一応ニューライトブルーシティーの住人であるということ。

 この情報を見る限り、千両寺冬也が違法な精霊石を密輸しているのは確実である。これを万が一逃した場合、TWGがどのような対応をしてくるのか。

 その対応如何によっては、ニューライトブルーシティーが消滅――なんてこともありえるかも。

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