最弱の烙印を押された主人公は天才達が集う学園で無双します。

パンパース

第一話 最弱の烙印

小鳥の鳴く音と共に目覚める。

目覚まし時計が30分後に鳴る所で目が覚めたか、

時刻は6時04分。

少し緊張しているだろうか、

眠たい感じが一切しない。


「石神彰人(いしがみ あきと)さま、おはようございます。

 朝食になさいますか?」


「あぁ、そうしてくれ」


慣れないな。

目の前でそう話すのはお世話係のAIロボット。

この学園の寮に住み始めて五日経つが、こう便利すぎると不気味にも思える。

プラスで見た目も人間と遜色のない姿。

今までこういう生活を送ってこなかったことも不気味と感じる要因だろうが…


「家は何時に出ますか?」


「7時には出ようと思っている」


「わかりました」


「いただきます」


朝食を取る。

この当たり前を失ったのはいつ頃だろうか。

朝食、という概念が消えていた俺にとって生活習慣を普通の人に合わせることは困難であった。

しかし五日経って生活習慣も改善してきたため、問題はないだろう。

それにAIの作る飯は美味しい。


「美味しかった、ありがとな」


「いいえ、お気に召してよかったです」


本当に人間っぽくて驚く。

棒読みではない、温かみのある声。

本当は生きているのではないかと疑いたくなるぐらいに。


「よし、」


昨夜から支度は済ませてあったため、すぐに登校の準備が出来た。


「行ってきます」


「行ってらっしゃいませ」


玄関の扉を開く。

涼しい風が舞い込んで、不思議と心が高鳴る。

これが学校生活。

これからが学校生活。

俺の初めての、人としての生活が始まる。


大きな校舎。

学校の敷地は大きな策に囲まれてるが、幅広い敷地なため気にならない。

この学園は卒業または退学するまでは一定の条件以外で出ることが出来ないという校則が存在している。

そのためここを出るのは三年後となる。

ついこの前までの環境を思い出しながら歩いていると、不穏な声が辺りをざわつかせていた。


「朝から劣等生とは話したくないんだけどなぁ」


「なんだとてめえ!!」


大きな校舎が見えてきた。

俺の想像をはるかに超える学園の大きさに圧倒されていたところ、揉みあいが聞こえる。


「そのエンブレムだよ、肩にある」


そう言って煽る男は肩に付けられているエンブレムを指す。

確かに肩には模様は真珠の様な玉が縫われてある。

そして指さすのエンブレムは金色の真珠なのに対して、指さされた男のエンブレムは白く乏しいエンブレムであった。


「これが何なんだよ!!」


スポーツ刈りの男は睨みつけて大声で笑ってくる男に歯をむき出しにする。


「知らないのか?

 このエンブレムは学生のランクを表しているのさ。

 蒼色がエリート、金色はノーマル、白色は最弱を表すんだよ。

 わかったら俺に膝づけ」


「てめえ!!」


とうとう堪忍袋の緒が切れた男は胸ぐらを掴む。


「おっと、暴力は正当防衛の範疇に入るよ」


するとスポーツ刈りの男は風に吹かれるように吹き飛んでいく。


「身の程をわきまえろ」


男とその集団はクスクスと笑いながら校舎へと向かって行く。


学校から配布されたスマホのアプリからの情報で、学生は三つのランクに

別れることは知っていた。

ダイヤランク、ゴールドランク、ホワイトランクと。

ただ、このランクに序列があることはさっきの出来事で大体わかる。

そして俺のエンブレムを見る限りホワイトランク。

つまり最弱ランクの烙印が押されている。


「最弱…か、

 おい、大丈夫か?」


「うっせえ!!」


近くに吹き飛んできた男に手を差し伸べる。

しかし伸ばした手を払われ、男は校舎へと向かって行く。

そして俺もゆっくりと後を追う様に校舎へと向かった。


集められたのは体育館。

1000人は余裕で入れるであろう大きな体育館に集められてたのは俺を含める新入生達。

ざわつく学生たちはマイクから発せられる一声で静まり返る。


「これからお前たち新入生にこの学園の根本的なルールを説明する。

 この学園のルールは学校側が配布した携帯に内蔵されているアプリから確認できる。

 これから話す内容はそのアプリ内で語られていない内容を説明させてもらう」


彰人は携帯に目を向け、小さく頷く。

配布された携帯には学校専用のアプリが内蔵されており、そこには厳重な校則やルール、掲示板などが確認できる。

実際このアプリを確認することで家に居るAIロボットの扱いを知ることが出来た。

つまり事前に公表できない大発表があると見ていい。


「お前たちには学園生活三年間、グループと共に過ごしてもらう。

 この学園はお前らが知っての通り、一部の卒業生には”世界貴族”の資格が与えら

 れる。

 その一部の者達は学年15組のグループ中3組のグループにしか与えられ

 ない資格だ。

 1グループ6人であるため、ルール上普通”世界貴族”の資格を与えられるのは 

 18人に絞られる。

 お前たちにはその座をこれからの学園生活で争ってもらう。

 そして今からそのグループ分けをお前たちに配布した携帯のアプリ

 『学園ポータル』にて掲示板に掲示する。

 今からそれを確認してくれ」


そう言い終わると、辺りの生徒は一斉に携帯を取り出す。

俺もその流れに沿って携帯を開き、学園ポータルを開く。


『1-Aクラス:加藤 豊(ブルー)荒沼 宗(ゴールド)神木 浩(ホワイト)

                  ・

                  ・

                  ・

 Nクラス:三浦 悟(ブルー)椿 由梨(ブルー)

      荒沢 真司(ゴールド)福原 有栖(ゴールド)  

      石神 彰人(ホワイト)橘 飛鳥(ホワイト)

 Oクラス:・ ・ ・                 以上 』

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