1章 入学編
1話 入学
「おめでとう。合格したよ」
担任の先生から言われた言葉だ。
この言葉を聞いた時、嬉しさや達成感のようなものは湧かなかった。
そりゃそうだ
合格するための努力なんてほとんどしてないし、しようとも思えなかったわけだし。
陽千高等学校
俺が受験した高校である。
公立の高校で、
農業、機械電子、総合学科と3つの学科がある
ただ、この学校はものすごく偏差値が低く
30後半だとか。
それに悪い噂が色々飛び交っており、
いわゆる底辺高校と呼ばれる高校である。
俺がそんな高校に入学しようと思ったのは
二つ理由がある。
一つ目は中学の同級生と離れることができること。
俺が通っていた中学は比較的地元でも学業の
レベルが高いとこだったみたいで偏差値が低い高校に行く奴はほぼいない。
それに中学時代、あることがきっかけで
ちょっとしたいじめのようなことをされていたのでなるべく中学の同級生と離れたかった
それに地元とかなり距離があるのも良い。
二つ目は単純明快
俺自身が勉強したくないからだ
なるべく勉強をしたくないって人は多いと思う。
多分...きっと
そんなこんなで工藤勇人の受験は
さほど苦労することもなく終わった
車からの景色を見ながら
受験が終わった時のことを思い出した
今日は4月1日、記念すべき入学の日である。
「勇人は春休み何してた?」
そう話しかけてきたのは友人の高森凌哉
中学は違うが小学校が同じで親同士も仲が良い友人である。
「まあ入学の準備とか宿題で大体潰れたかな
あとサッカー少しやったくらいか。
凌哉は?」
「俺はほぼゲームやったな。
暇やったし宿題も早めに終わらせたし」
「野球は?
もうやってないのか?」
「引退してからほぼやってない。
強いて言うなら素振りを少しするくらい」
凌哉は元々野球をしていた
小学校では近くの野球クラブに入っていたし中学も野球部に入っていたらしいのでまだ続けているもんだと思っていた。
「高校で野球はするのか?」
「悩んでる、バイトをしたいからさ」
バイトか
確かに自分の遊ぶ分を稼ぐのはいいかもな
遊びの幅が広がりそうだ。
「そっちこそサッカーはせんの?
結構うまかったって大二郎言ってたけど」
「今のところはするつもりないよ
個人的にやるくらいが俺にはちょうどいい
んだと思ってる。」
わざわざ部活に入らなくてもサッカーはできるしな。
団体スポーツだしできることは限れてきそうだけど
「もったいなくない?
あれだけ熱心にサッカーしてたのにさ」
「そうだよ〜
勇人君ならプロ行けるって!」
前から話しかけてきたのは
俺の母親である工藤絵津子と
凌哉の母親である高本明子さんである
今日は入学式ということで高本家の車で一緒に来ていた。
「流石にプロは無理っすよ」
「いやいける!そんな感じするよ!」
なんだそりゃ
どういう根拠や
「まぁ一回見てみてそれで決めようかな」
「それが良いよ。あれだけ熱中してたしね」
そんな母親の言葉を半ば流して外を見る
桜が咲いている景色に始まりの季節を感じる
そして少し見覚えのある景色が見えてきた。
「そろそろ着くよ〜お二人さん」
その言葉を聞いて凌哉と俺は少し気を引き締めた。
慣れないブレザーの制服を着て
体育館に入る。
そこにはたくさんの生徒と保護者の人が集まっていた。
「お、来たな勇人」
「おっす 久しぶりだな大二郎」
声をかけてきたのは牧田大二郎
保育園から縁があるためまぁ腐れ縁みたいなものだ。
「ブレザーやっぱ動きにくいよなぁ」
「学ランとあんま変わらんだろ」
「まぁな。でもこっちのがカッコいいしな」
こいつは背丈があるから色々様になっている
羨ましいこった。
「そういや聞いてなかったけど
勇人はサッカーすんのか?」
「今のところやる予定はない
まぁ体験とかしてみて判断するよ」
俺は一般入試で受験したが、大二郎は
スポーツ推薦でこの高校に来ている。
元々運動神経は昔から良いほうだったしな
「もったいねぇだろ。一緒にまたサッカーやろうぜ」
一緒に、ねぇ。どの口がというのは
黙っておいた。もともとこいつもサッカー部
何をするかわからない。
「そろそろ始まりそうだし、またな」
「おう」
「また帰りに話そうぜー」
そう言いながら自分の席に戻って行った
サッカーのことがなければ今でも純粋に友達でいられたんだろうな。あっちは今でもそう思っているみたいだけど。
まぁ過ぎたことを考えても仕方ないか
それからは校長先生からありがたい言葉を頂いたり、新入生代表の人が発表をしたりで
入学式は終わった
ちなみに内容は眠たくてほぼ覚えてない
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