第11話 お墓参り。
教えて欲しいのは私なのだが…、でもなんとなく断れずに、「お母さんが帰ってきて夕飯の支度をして、その頃にはお兄ちゃんは自分の時間で宿題をやったりしてました。それで夜ご飯の残りを翌日のお弁当にしたり、足りない時は冷凍食品を用意したり、あ、お母さんが買い物をして帰ってくるけど、忘れるとお兄ちゃんが買いに行ってました」と話すと、「馬鹿野郎。滅茶苦茶毎日大変じゃねえかよ。言えよ。そしたら買い物は俺が手伝って、掃除は姫宮がやってやったって」と言って本格的に泣いてしまう。
そんな中でも、泣くでもなく怖い顔で、何かを睨むような顔の蒲生葉子さんは、堀切拓実さんに「落ち着いて。今のままだと全部話す顔になってた」と注意をしていた。
お墓参り。
来たのは夏以来、1年ぶり。
春は季節の変わり目もあるし、入学前に発作になったら良くないとお父さんがやめていた。
現に雨なんかの予報で外には出られなかった。
聞くと、蒲生葉子さんも堀切拓実さんも毎年お墓参りをしてくれていた。
私が感謝を伝えると、2人とも「当然のことよ」、「俺は優斗がどう思っていても友達だからな」と言ってくれた。
ここで新田樹が「ねえ。堀切さんってねーちゃんの彼氏?」と聞くと、蒲生葉子さんは「いっくん!」と声を荒げるが、堀切拓実さんは「俺はそうなりたいけど、蒲生がまだその時になってないってさ」と言って笑う。
「それって、関谷のお兄さんの事があるからだろ?それを俺達に伝えて先に進みなよ。ねーちゃんはよくやったよ。関谷優斗さんだってそうだって言ってくれるよ」
「無責任な事言わないで!愛ちゃんに押し付けられない!」
怖い顔で怒鳴り上げる蒲生葉子さんに、新田樹は私を見て「関谷、受け取れるよな?」と聞いてきて、私が頷くと「大変なの、重すぎるのよ!」と蒲生葉子さんは言う。
新田樹はそれを蒲生葉子さんに聞き返さずに、「堀切さん、何が重いんですか?事実ですか?」と聞く。
堀切拓実は「事実も、後は怒りかな…。負の感情と言ってもいい。蒲生は本当に優斗と姫宮の最後で最高の友達として頑張ってる。だから俺の想いに応えられないって言ってるよ」と言った。
「だから言えない」と言う蒲生葉子さんを、また新田樹は無視して「関谷、どうする?聞きたいか?」と聞いてくる。
再び蒲生葉子さんの「いっくん!」が飛び出す中、私は「うん。何も知らないのは嫌。お兄ちゃんの事を聞きたいよ」と言う。
「でも重いって、辛いって、関谷には無理って言われてるよ」
「…うん。だから怖い」
「発作になるかも知れないよな。ご両親にねーちゃんまで隠すんだもんな」
突然の反転に私は「え?」と言ったが、「にひひ」と笑った新田樹は「俺が居る。俺が関谷を支えるよ」と言った。
「え?新田?なんで?」
「いっくん?」
「ほら、俺ってば保健委員だし。既に発作の関谷を助けた実績持ちだし。それに弁当くれたし。まだまだ恩返しできてねーし」
ドヤ顔で言う新田樹に呆れてしまうと、堀切拓実さんが「お前」と驚きを口にしてから、「お前みたいな奴が俺達にも居たら違っていたのにな」と言うと、「俺は賛成。話してやろうよ。それでいい加減俺と付き合ってよ蒲生」と言った。
「堀切くん!?」と聞き返す蒲生葉子さんは真っ赤で、「な?もう待ちきれないって」と言ってから「ハシゴすんぞ」と言って私達を連れて隣の区画に行く。
「まあ流石に隣り合わせは無理だったらしい。後は優斗の両親は君が居たからこっちには来れなかったんだろうな」
そう言って立ち止まった墓石には「姫宮家之墓」と書かれていた。
「ここ…?姫宮明日香さんの?」
「そうだよ。ここに姫宮ともう1人入ってる。名前を見て」
堀切拓実さんに促されて名前を見ると、横には姫宮明日香さんの名前と「優」の名前があった。
意味不明な私に堀切拓実さんは、「これが明かせない理由のひとつ、姫宮明日香は妊娠していた。そしてその命は後数ヶ月で生まれるところだったんだよ」と言った。
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