高校生になったら陰キャ女子に好かれた話
わっしょい
第1話 通学路
チリリリリーン…チリリリリーン…
いつものアラームの音。
「う〜ん…もうこんな時間…」
今日から桜第一高等学校への入学式。ついに僕は高校生となる。
バシャンッ..シャカシャカ..
身支度を済ませ玄関を開けようとすると、
「いってらっしゃい…」そんな声が聞こえた。
振り返るとそこには誰もいない。
「いつもの幻聴…かな。」昔、一家全員交通事故にあった。その時に母親と父親は即死。自分の妹は気絶したまま植物人間となって今も目覚めない。だから僕の家には、意志が残っている様に幻聴や触られた感触がある。
「……行ってきます。皆。」と返し玄関の鍵を閉める。
駅のホームまで自転車で行き、改札口を通る。すると、直後に電車がやってくるアナウンスが聞こえ足早な階段を下りた。ギリギリで電車に潜り込むことに成功した。
(はぁ…間に合った。)そんな事を考えながら吊り革を掴む。だが身長が低い為、届くのにギリギリだ。
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
電車では沈黙があり続けている。
だが僕は聞き逃さなかった。ほんの微かに
「助けて…」と聞こえた。
(助けて?一体何処から?)辺りを見回すと、
何処か距離の近い女子高生と推定50代ぐらいのおびさんがいる。(何か…変だな…)と思い様子を見ていると、大きく揺れた訳でもないのにわざとらしく揺れたふうにして、手の甲を女子高生のお尻にぶつけている。(やっぱり…)
僕はそろりそろりと女子高生に近づきスマホを取り出した。スマホのメモ帳に
「今、痴漢されてますか?』と書き起こし、女子高生の真下にかざした。それに女子高生は気付き女子高生も同様にメモ帳に「はい」と書き起こした。
(よし…これで後はどうしよう?)撃退方法について迷ったが良い事を思いついた。
「うわー!痴漢だー!痴漢されたー!このおじさんに痴漢されたー!」と大声で言いそれに動揺し、おじさんは逃げようとするも、近くにいた大人が捕まえた。
(よし!)心の中でガッツポーズをしていると
女子高生が、「あの…ありがとうございます。」と、耳元で呟かれた。そして駅員が書き付け連行された。何駅か通過した後目的の駅に着いたので僕は降りた。それと同時にその女子高生も降りた。僕は何事もなく行こうとしたが、
「待って!」と、呼び止められたので僕は振り返った。「先ほどは本当にありがとうございました!もうホントに気持ち悪くて…あれ?貴方って桜第一高等学校の?」と、僕の学校を言い当てられた。「え?なんで分かるんですか?」疑問を聞くと、「私も同じ高校なんですよ!私は1つ上の先輩になります!エッヘン!」と、先輩ヅラをしている。「そ、そうなんすねー…」と、去ろうとした時に「待って!良ければ連絡先交換してくれない?」とスマホを取り出している。(まぁ…先輩に関係はあった方が良い)と、連絡先を交換した。
「はぁ…まだ始まってもないのに疲れたな…」と独り言を呟いていると、
「なんか…ごめんね?」と先ほどの先輩が後ろから聞こえる。
「え!?なんでいるんですか?!」と驚きつつ聞く。
「そりゃあ同じ学校だもん…」と至極真っ当な言葉を言われた。
「そういえばさ君の名前は?」と尋ねられる。「僕の名前は坂場或斗です。貴女は?」
「私は立花菜奈!或斗くんね!」馴れ馴れしい奴だなと思いつつ歩き続ける。立花さんは色々と話をしているが「今日はいい天気ですね」とか、「昨日のあの番組見た!?」とかあまりにも喋るのが下手だなと思いつつ会話を伸ばしていると、ようやく学校が薄く見えてきた。
「ようやく来た…」「えーもっと話したかったのにー」正直ありがたい。「では、さようなら」と足早に去った。「あっちょっと…」なんて聞こえたものの昇降口に急ぎ自分のクラスへと急ぐ。
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