第17話 『17 エド王弟と会う』

『17 エド王弟と会う』


 王都の城に入った。

 女王シルバーナとタイガー女3獣士は運んできた。

 運んだのは受付嬢ユミン。

 彼女はアイテムボックスのスキルを使えた。

 なんと4人のワータイガー族をアイテムボックスに入れて運べるらしい。

 さすがに凄いスキルだな。

 ユミンも普段は地下室にいるが、他のメンバー並みに優秀のようだ。


「シュネルは城に来たことは?」


「ないです。当たり前ですが、騎士団ではただの雑用に近い感じだったし、城に入れる機会はなかった。初めて入った」


 本当に初めての城。

 ここが王都で国王様がいる城。

 一般の人が入ることはなく、兵士や呼ばれた人だけで入れる。

 でも普通は厳重に警備がいるはずだげど、何も通行の許可もなくて入れたのは疑問だな。


「入るときに許可は必要ないの?」


 受付嬢ユミンに聞いてみる。


「ないよ。正門にはしっかりと門番がいる。私らは正門ではなくて裏門から入った。だから門番はいない」


「裏門? そんなのが城にはあるのか。盗賊とかに知られたら大変だ。誰でも入れちゃう」


「そうね、知っているのは特別な人だけですね。門番や兵士だって知りません。ごく限られた人だけです」


 俺たちは裏門から入ったらしい。

 確かに変な入り方するなあと思っていた。

 エド王弟の部屋に案内された。


「エド王弟様、ビラータです」


「入りなさい」


 中に入るとエド王弟様がいた。

 他には誰もいないので暗部団は信用されているとなる。

 とても紳士な印象。

 背はスラっと高くて、紅茶を飲んでいるようだ。

 王族の高貴さを感じさせる。


「ワータイガー族が来たらと聞きましたが」


「我々がワータイガー族を討伐しましたので、王都は安全です」


「さすがです。よくやりました」


「ワータイガー族の女王シルバーナと部下の3人のタイガー女3獣士を連れて来ています、ユミン出してくれ」


 受付嬢ユミンがアイテムボックスから女王シルバーナとタイガー女3獣士を出した。

 エド王弟の前に出る。

 意識は戻っていた。


「ここはどこだ?」


「城だ。私はエド。国王の弟だ。なぜ王都を狙ったのだ」


「負けたのか私は。あの人族の放った火魔法は強力な魔法だった。負けは認めよう。なぜ王都に来たかは理由はある。それは私の妹だ。妹がフライ国王に捕まり牢獄にいる。妹を助けたい」


「妹? 私も知らなかった。ビラータ団長は聞いていたかい?」


「初めて聞きました」


 どうやら女王シルバーナには妹がいて、この城に国王が牢獄にいれたらしい。

 妹を助けに来たのなら、攻めに来る理由になる。


「救出は無理か。残念ではあるが負けたのだからあきらめる。私も牢獄か、死刑でも好きにしろ」


 女王シルバーナは覚悟を決めている感じ。


「我らも女王シルバーナ様と同じです」


 タイガー女3獣士も女王シルバーナに続く。

 すでに死刑を覚悟していた。

 王都を攻めてきたのだから、処分は仕方ないのか。

 逃がせば危険な存在。

 世界を統率できるとも言われる女王。

 放置は無理だ。


「牢獄に入れるのがいいでしょう。危険さは証明済みです。いつでも人族を滅ぼせる力を持っています」


「わかった。女王らは牢獄とする」


 エド王弟も納得の返事をする。

 女王シルバーナは悲しそうな顔をした。

 俺はその顔を見て、これでいいのかと思う。

 そこで意見を言ってしまう。


「待ってくださいエド王弟様。牢獄に入れるのは待って欲しい」


「キミは初めて見るな?」


「エド王弟様、彼はシュネル。暗部団の新入りです」


「シュネルか、なぜ待つのだ」


「女王シルバーナに聞きたい。妹がいなければ攻めなかったのかい?」


「ええ、攻める気はなかった。妹は騎士団に捕まり助けたかっただけだ」


 それなら妹を取れば安全だろう。

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