第6話

8月17日 水族館

父に送ってもらい、少し集合時間より早く着いた。僕は言ってみたかったんだよなぁ、

 /お待たせ、ごめんちょっと遅れた\

"大丈夫、僕も今きたとこだから(イケヴォ)"

誰しもきっと憧れるだろう。僕が思春期真っ只中の学生だからという可能性もなくはないけどね。

そんなこんなしてる間に彼女も着いたようだ。彼女の姿を見た時目を奪われたよ。いつものおとなしい未楽とは裏腹に、バッチリメイク(可愛い)髪のセット(くそ可愛い)しっかり女子をしていた。ほんとに神に感謝。

なんだか、この未楽の姿に見覚えがある気がする…まぁ、可愛いし今を楽しめばいいんだ!!

〜〜〜〜〜〜〜水族館入館〜〜〜〜〜〜〜〜

水族館に久しぶりに来たけど、やっぱり魚はいいね。自由気ままに泳ぐ姿が好きだという人とは違って、僕は死んだ目をしながら水の中を彷徨うあの姿が可愛らしくて好きなんだ。

しばらく歩いて、ふれあいゾーンに来た。ナマコだとか、ちいさなサメだとか、普段触れないものに触れた。ナマコを握りしめて笑う彼女はまさに鬼に金棒とでも言ったらいいのか。つまりベストマッチだね。ナマコのなんとも言えないあのフォルム、美しい彼女、カメラのシャッター音が止まらないことよ。彼女の顔は水飛沫で濡れていた、頬を垂れて服も少し濡れている、笑顔の彼女がまるで泣いているように。写真を撮る時でも、彼女はナマコを見たままだった。そんなにナマコが好きなのか…やっぱ可愛いな。

また歩き始め、チンアナゴゾーンに着いた。チンアナゴは僕が大好きな生き物だ。表の顔はあんなに可愛らしいフォルムなのに、体の全体像を見るとすっごい長いギャップまるで裏表の顔がある人間と同じようで、なんだか好きになっちゃったんだよなぁ。

『や......んだ....かわら....だね』

彼女がボソッと口走った言葉はこれくらいしか聞き取れなかった。病んだ瓦?ちょっと僕には遠い世界かもしれないな笑

その後はイルカショーでびしょびしょになったり、深海ゾーンでちょっとビビったり、いろんな表情の彼女を見れた。少しだけ、彼女と目が合うようになった気がする。距離が縮まった証かな、やったね。

お土産にはシャチとイルカのぬいぐるみを買ってあげた。僕達に似てるからってさ。そう言われたら買うしかないよねぇ、あはは…

今日は充実した休日だった。カメラの写真アルバムにでもしようかな。よし、明日コンビニ行ってくっかな。

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