ヤマトタケルが古代日本最弱の剣(つるぎ)で日本を統一しちゃった話
@michiseason
第1話 三種の神器
日本にはいろいろな名刀があるが、最も権威ある宝剣をご存知だろうか。
それは、おそらく『草薙の剣』だろう。草薙の剣は三種の神器の一つで、これがなければ天皇になれないという日本で最も権威ある宝物である。なぜかその草薙の剣は、日本一最弱の剣なのである。日本中どこを探しても、これほど弱い剣は見当らない。
三種の神器のうち観賞用である八尺勾玉、(八尺)鏡は誰も見たことがないのに実用である草薙の剣だけは実見の記録がいくつかある。
しかしそれは、豪華でもなければ畏怖するような名刀というわけでもない。見聞によれば、草薙の剣は内反りの白銅剣である。
正倉院御物に「刀子」というものがある。小型のナイフといった形状で内反りであるが、文具であったとされている。つまりは、内反りの刃物。ただ別の用途であれば、問題はない。
神倉神社の御燈祭で、松明を担いだ男たちを先導する神倉聖は斧を掲げて統括する。中には内反りの剣は、実戦では役に立たないとする意見もある。しかも古代とはいえ、すでに鉄器は弥生時代末期には日本に流入していた。
大和政権が誕生して三種の神器が出来た時代には、銅剣は時代遅れもはなはなしい武器だった。確かに戦争は武器の良し悪しだけで決するのではない。
ところが銅剣と鉄剣では、鉄砲と刀ほどの圧倒的な攻撃力、破壊力がある。鉄剣が当然の古墳時代では、銅剣はよほどのバカでももたないほどあり得ない武器だった。
古代においては、刀は権力の象徴だった。現在においても、力がなくてはどんな国家も滅びる運命なのは世界共通の常識てある。
そんな力の象徴である刀が、最弱の刀であるのはどういうわけなのか。
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