興味がないぼく
ふじにな あおい
第1話 興味がないぼく
あの頃、中学生の僕は、無気力で、何をするにも一秒で飽きてしまうくらいには何に対しても関心が薄かった。
それは僕がとても面倒くさがりだからだ。
そんなこびりついた性格を剥がせないまま生きていると、もはやすべてがどうでもよくなってくる。だから自然と周りの人ができることができなくなってしまい周りとの差が広がっていく。勉強も運動も、そして恋も。
それでも僕は劣等感や焦燥感を感じることはなかった。それすらどうでもよくなっていたからだ。
学校でもほとんどが睡眠時間、テストも当然赤点。運動もできるわけがない。普通だったら僕みたいなやつは高校に進学することはできない。が、通っている学校は中高一貫校だ。いくらでもだらけられた。
そんな僕みたいな陰キャに対して毎日話しかけてくるクラスメイトが一人いたが、正直話は適当に流していたし、興味もなかった。とにかく鬱陶しくて途中で無理矢理トイレに逃げたことも何度かあった。
以上の通り、全てをだらけて、誰とも関わろうとしなかった僕の中学校生活はただ徒らに時間だけが過ぎていった。
中学卒業間際の二月、この頃の僕は珍しくある考え事をするようになっていた。
ある日、例の話しかけてくるクラスメイトが将来の夢について語っていた。
「俺は将来、医者になりたいんだ」
「へぇ……」
将来…
「だからいい大学行って少しでも詳しく医学を学びたい」
将来か…
「そうなんだ……」
そんな思いがけない言葉が不思議と心に詰まった感じがした。ただこんな感覚今までなかったため、いつもみたいに耳から耳へ流してすぐ忘れることができなかった。
その話を聞いた夜、ずっと家でもそのことについて考えていた。
「将来……将来……」
そんなとき、ふと疑問が頭に浮かんだ。
——もしも全部面倒くさがらずにやっていたら今頃どうなっていたのかな。
そんなこと考えても過去は変わらないのだから仕様がないとすぐに忘れようとした。しかしそれが頭の中で徐々に膨らんでいき、思考が加速していった。
——もっと素直になれたら自分は変わっていただろうか
このとき、僕は初めて僕に興味を持っていたことに気が付いた。ちょっと感動もした。だって自分にこんな気持ちは無いはずだと信じていたから。
僕はこの日、どんなにだらしなくてどうしようもない人間でも、たった小さなことだけで自分の人生に大きく変化をもたらすカギになるのかもしれないと思った。
興味がないぼく ふじにな あおい @hujinina
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