掌編「わらのいえ」
「よし、おれはわらの家を作るよ」
「兄さんは……どうしてわらの家なの? もっと頑丈な家を作ればいいのに……ほら、ぼくが持ってるような、レンガで作れば――」
「一番手がレンガで家を作ったりなんかしたら、後が大変じゃないか。大オチはどうする。レンガを作ってしまえば木もわらも使えないぞ? 使えるとすれば石かコンクリートか? それを用意する力があるのか?」
前振りが重要なのだ。
これから「こぶた」たちを襲ってくるだろう「おおかみ」には、レンガで苦戦してもらわないといけない。
初手からレンガでは、なんとかレンガを攻略しても石とコンクリートの家には太刀打ちできないだろう……。
最終的にはオートロックの鉄筋コンクリートのマンションまでグレードアップしてしまえば、おおかみがやってきた時点で警報機が鳴り響き、二度とおおかみはやってこなくなる。
そうなってしまえば、罰を与えることなく犯罪者は野放しだ。
ある意味、被害者はいないと言えるが……。
「こらしめてやらないと、後々大失敗をするのはおおかみだからな――彼の人生の浮き沈みなんて知ったことじゃないと言えばそうだけどさ……」
そんな不良でも、救済措置くらいはあってもいいのではないか?
…了
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