8.ねんがんの魔法を使用するぞー!(生活魔法編)

 グロー歴504年4月11日



 魔力を感じ取れるようになってから1週間が過ぎた。


 リオが言うには、ボクの魔力の流れはまだかなり鈍いようだ。少しずつではあるけれど、流れやすくなっているようだ。


 どうも魔力保有量が多すぎて回そうとしても慣性なのか、ゆ~っくりとしか回らないようだ。洗濯機に少量の水しか入ってないのと、満水近くまで水が入っているのとでは水流の流れが違うのと同じだね。こればっかりは練習あるのみなんだよね~。



 グロー歴504年8月20日



 さらに4ヶ月が過ぎた。とりあえず生活魔法と初級クラスの一般魔法はなんとか使えそうだとの事で、今日はついに魔法を使える訓練をすることになった。



「よーし!まずは生活魔法についてやっていくぞー」


「うん!よろしく、リオ」


「まぁ、生活魔法は簡単すぎてすぐ終わっちゃうけどなー。まずは生活魔法の3つ、着火(ティンダー)、水球(ウォーターボール)、洗浄(クリーン)だな。これは魔法名を言うだけで発現するんだけど、当然魔力の操作が必要だ。手のひらに魔力を集めてから魔法名を言ってみるんだぞー」


「うん!やってみるよ」



 この4ヶ月で魔力の循環はかなりスムーズに、そして素早くできるようになった。それでもまだ鈍いらしいけどね。まずは右手に魔力を集めてみる。初めてなので、どれぐらい集めたらいいかわからないけど、とりあえずこんなものかな?



「着火(ティンダー)」



 すると、手のひらの5cmぐらい上にテニスボール大の『青色』の火の玉を出す事に成功するが···



「わー!バカ!魔力込めすぎだー!ヤケドするぞー!」


「えっ!?アツッ!!あっちーーーー!」



 リオが慌ててウォーターボールを右手にぶつけてきた!軽く手のひらをヤケドしてしまったよ···



「しまったなぁー。最初はウォーターボールにしときゃ良かったなぁー。魔力の加減がまだわかってなかったしなー」


「ごめん、リオ。初めてだったから失敗したら嫌だし、ちょっと多めにしちゃったよ」


「まぁ、普通の人ならそれでも大丈夫なんだけど、アキは魔力保有量が多いから生活魔法でもここまで威力でちゃうんだなー」


「じゃあ、今度はもっと少な目でウォーターボールをやってみるよ」


「おう!さっきの1割ぐらいでも大丈夫だぞー」



 ···そんなに集めたつもりなかったんだけどなぁ。あれの1割かぁ。ほんとにわずかでいけるのか。じゃあ、こんなもんで!


 そうすると、今度はバレーボール5個分ぐらいの大きさの水球を生み出すことに成功した!



「やったよ、リオ!こんな感じでいいんだね?」


「おう!魔力がまだ込めすぎだけどいい線いってるぞー!」


「ありがとう。じゃあもう一度ティンダーやってみるね」



 再度着火の魔法を試してみる。今度は人差し指の上に魔力を少ーしだけ集めてみる。ボッ!と指先の直上にライターの火ぐらいの大きさで火を出すことに成功した。



「今度は大丈夫そうだなー!今の加減をよーく覚えとくんだぞー」


「うん!そうだね。続けてクリーンもやってみるよ」



 とりあえず、さっきのティンダーの魔力消費量は1としておこう。そうすると、さっきのウォーターボールは5、最初のティンダーは50以上って事になるな。···定量的に表現すると、最初はバカみたいに魔力をつぎ込んでたんだなぁ~。


 さて、洗浄の魔法は強すぎると肌荒れとかしてしまいそうだ···。でもこれで済ませてしまうのもなんか気持ち悪いんだよね。


 やっぱりお風呂に入りたいなぁ~。前の世界では温泉大好きだったんだけど、こっちの世界でも温泉あるのかな?旅に出たらぜひ探してみよう!




『ははっ!なかなか魔法を使うのって難しかったんだよなぁ。ボクの場合は特にそうだったっけ。でも、今考えてもリオの指導方法はなかなか良かったなぁ。後の旅でその指導方法が役立つとはこの時は考えもしなかったけどね』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る