6.この世界の魔法

 グロー歴504年4月4日



 衝撃の事実を知った翌日。今日からはリオに魔法を教えてもらうことになった。

 

 一般教養や常識は地球の時とあんまり変わらないらしい。まぁ、それなりに独特なルールとかはあるようだけど。

 

 

 さて、この世界の魔法についての説明だ。

 

 魔法はゲームと同じように魔力を使用して現象を起こす技術だ。

 

 魔力には2種類あり、ひとつはこの世界に充満している自然的なもの、もう一つは『その人の魂が持つ力』で、天然の泉みたいに常時湧き出るものらしい。


 魔法を使えば魔力量が減るが、自らの魂から湧き出る魔力と、自然的な魔力を肌や呼吸から吸収することでゆっくりと回復するのだという。


 回復量は人によって異なり、ゲームのように夜に睡眠をとれば全快とはならない人ももいるようだ。


 あと、魔力量は若い時ほど成長速度が速い。これは成長に伴って魂の器が大きくなるからだそうだ。器が大きくなれば魔力保有量も増大するようだね。また、魔力を枯渇寸前まで使用したりすると鍛えられて増えるようだ。


 ただし、リオのように魔力保有量が底をつき、さらに魂の器をを削って限界を超えて魔法を行使してしまうと、湧き出る魔力量がしばらくの間著しく減少してしまう事にもなり、ひどい場合だと行き着く先は魂の『死』なのだ。



 魔法を使用する際はイメージが大事との事だ。具体的なイメージができないと魔法は発現しないのだ。しかしイメージと簡単には言うものの、言語化したり絵に描いて表現できるものではないから、人それぞれで威力が大きく異なってしまう。


 大爆発!ってイメージしても、それがダイナマイトなのか核兵器なのかで全く違うよね?


 まさに『それはメ〇ゾーマではない。メ〇だ』といったところだね。


 

 そこで、『詠唱』があるんだ。これは昔あった軍事大国の魔法の研究者が開発したもので、詠唱する文言の中に消費魔力量・威力・効果範囲・射程・持続時間などのパラメータを指定し、形式化することで誰でも同じ威力の魔法を繰り出すことに成功したのだ。

 

 しかも体系的に編纂もされたので、使い勝手が非常に良くなった。均一した戦力は非常に脅威だから、その軍事大国は急成長して大陸の覇権を握ったらしい。

 

 おっと、話がそれた。

 

 

 魔法は大きく分けて3種類ある。

 

 ひとつは生活魔法。生活に必要な着火、水球、洗浄の魔法がこれにあたる。これは魔法名をいうだけという、とてもお手軽でかつ使用魔力量が非常に少ないことから、ほぼ全ての人が使えるそうだ。

 

 次に一般魔法。こちらはさっき紹介した詠唱を使う魔法のことだ。この魔法は詠唱してもそれなりの魔力保有量がないと使用できないため、ある程度使用できる人数が限られてくる。

 

 最後が創作魔法。魔法の原点であるイメージをより具体的にできる人が無詠唱でも使用できるので、その人独自の魔法が出来上がるのだ。

 

 ただ、最初に言った通りイメージは言語化とかできないから、せっかく開発しても継承することがほぼ不可能なので、こちらはいわゆるマニアックな領域だね。

 

 

 あと、邪法と呼ばれる魔法もあるんだ。これはいわゆる呪いみたいなものだ。一般魔法のように詠唱があるものもあり、対象の魂に効果を深く刻み込んでしまう恐ろしい魔法なのだそうだ。

 

 魂が傷つけられると性格が変わったり、魔法の制御ができなくなったり使えなくなったりしてしまうそうで、本当の名前を知られてしまうと防御ができない。

 

 だからリオはボクが名前を言った時に省略したんだね。ということは、リオも本当の名前じゃない?

 

 まぁ、それは聞ける機会があるなら聞いてみてもいいかな?

 

 

 最後に、魔法行使時の注意点がある。

 

 魔法は使用すると、使用した魔力量に応じてどうしても燃え尽きた灰のような魔力が発生してしまうんだ。これを『黒魔力』といい、多少のことなら自然に分解されて元の魔力に戻るそうなんだけど過剰な黒魔力が発生してしまうと分解しきれず、世界に悪影響を及ぼすんだ。

 

 ···なんか地球でのエネルギー使用した際の二酸化炭素と同じような気がするなぁ。

 

 黒魔力が溜まった場所に生き物がいると、魔獣化して狂暴になって人々を襲い始めたりするそうだ。

 

 先日リオと対決した大魔王ムーオも、大量の黒魔力が発生してしまう事故が発生して、そこから誕生してしまったらしい。

 

 

 っていうか、ボクがこの世界にやってくるキッカケとなった空間の亀裂も黒魔法の副作用らしいんだよね···。

 

 

 とまぁ、こんな感じだ。魔法は便利で万能だけど、その副作用もまた存在するんだ。

 

 自分で使用した魔法で悪影響を及ぼしたくはないから、気を付けないとね!

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