わたしを殺した者たちへ

やぁみ

前日譚 終わり。

「ハルティア、お前は俺の恋人であるアリアリスを醜い嫉妬で殺そうとした。お前のような心の醜いものは王子妃にふさわしくない。よって、第二王子ガルーダとの婚約を破棄する」


うるさく騒ぐ第二王子ガルーダを見る。

そして、ガルーダ王子にエスコートされているアリアリス伯爵令嬢を。


不意に、彼女と視線が合う。

次の瞬間、アリアリス伯爵令嬢が怯えた様子でガルーダ王子に身を寄せた。


「大丈夫だ。俺が守るから」


アリアリス伯爵令嬢を守るように抱きしめ、わたしを睨むガルーダ王子。

そんな二人に、笑みが浮かぶ。


ばかばかしい、本当に単純で愚か者。


「ハルティア、お前は反省もできないのか!」


反省?

なぜ、そんなことをしなければならない?

冤罪なのに。


「わたしは、アリアリス伯爵令嬢に何もしていません」


届くことのない言葉。

言うだけ空しくなる。


「嘘をつくな!」


あぁ、面倒くさい。

もう、今回はここまでにしよう。


「ガルーダ王子。わたしは、大丈夫です。きっとーー」


アリアリス伯爵令嬢が話している間に、隠していたナイフを取り出す。

そして、勢いよく首の肉を切り裂いた。


「えっ? どうして今ここで死ぬの?」


どこからか、唖然とした声が聞こえた。

きっと彼女だろう。


残念だったわね。

もうわたしは、あなたたちに殺されるなんてお断りなの。

だから、勝手に終わらせてもらうわ。


床に広がっていく自分の血が視界に入る。


あぁ、今回もつまらない人生だったわ。

次は……あなたたちの番よ。


楽しみに待っていて。

わたしを殺したすべての者たちよ。

そして、わたしを裏切った者たちも。


わたしは、絶対にあなたたちを許さない。


あぁ、もう終わりね。

今回の人生もつまらなかった。

でも、それなりに意味のあるものだったわ。

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