メイの不倫願望

138億年から来た人間

恋愛色々

愛は、肉体的であるとすれば性欲に溺れ、精神的に考えれば感情に流される。永遠に結ばれる事はそれだけ束縛を受け続けることに他ならない。自由恋愛があるとすればそれは個人の自意識による勝手なエゴであろう。然し、愛は人間にとっての始まりであると同時に終わりなのである。


私の名前は、湊朶はただ メイ、27歳。夫と子供一人の専業主婦。

IT企業経営者の夫は、経済的には文句なし。

月一で海外旅行に行けてるし。

家庭はまあまあ上手くいってる筈…。

夫の文句は結婚7年目になっても全くなし。夫の名前は皆茨みなじ 仁樹よしき、同じく27歳。

苗字が違うのは、別姓婚を選んだから。

何故かって聞かれても困るけど、友達とか知り合いとかに気を使って話されたくないっていうか。

ずうっと同じ気持ちで付き合って欲しいじゃん。

元カレにも…。

だからって浮気してるって訳じゃぁないよ。

旦那が大好きです。

娘の湊朶 莓瑠めるはおとなしい子供で小学1年生。

ピアノのお稽古に集中していて将来ピアニストかバンドで生業をたてちゃうのかな?でも勉強が出来るかちょっと心配。

おバカな私のDNAを引き継いじゃったかな?

仁樹は男の子が欲しかったみたいだけど、理系の旦那だし、私もオーガズムを感じないセックスがほとんどだからしょうがないよね。

偉い人だとは思うけど。

最近ちょっと欲求不満気味かな?

私の方がね。


「こんにちは。宅配便です。」


「は~い。今行きま~す。」


巨袢おおはん宅配が定期購入しているサーバーの天然水を届けに来た。

いつもの男だ。


「奥さんどうしますか?」


「ごめん、また設置してください。」


一個20キロあるサーバーの水をか弱い私が持てる筈もないので、この男を手なずけ取り付けまで無料でやってもらっているのだ。

家に上がられることが嫌なので、仁樹に隣接する駐車場の一画にサーバーを置く部屋をおねだりした。

と言っても台所と二間続きになっていて、ドアを開ければ料理中でも使える。

お金持ちは楽でいいわね。


「設置終わりました。サインお願いします。」


宅配も最近はサイン要らずになってきているけど、巨袢宅配はしっかり電子サインを要求してくる。

スマホにタッチペンで書くのがちょっと面白いけどめんどくさい。


「ありがとうございましたぁ!」


この男といけない関係になることはない、良い人で終わりだ。


今気になってるひとは、莓瑠にピアノを教えてくれる講師、翔海しょううん 誠斗まこと先生。

何歳かって聞いたら30でもうおじさんですだって。

勿論イケオジ。

だけど、愁いを帯びた知識人。

頭空っぽの中身のないやつとは別物。

東大法学部卒だけど、趣味で始めたピアノで生計を立ててるちょっとロマン派の男。いけない関係になるんだったらこの人かなって思ってる私は浮気性かなぁ?


そしてもう一人、私の元カレ、ロベルト康史こうじ

日系二世の鳶職人。

まあ、所謂ヤンキーだけど超が付くほどイケメン。

私は、面食いだと認めます…。

ロベルトとは高校時代からずっと相思相愛だったけど、浮気ばかりされて、毎日喧嘩ばかりだったな。

それで私も浮気選んで、仁樹と結婚しちゃったからお互い様ね。

でも、ロベルトとたまにエッチしてることは旦那には内緒。

仁樹のように理論での関係を続けてると、元カレの生の人間との関係が本能的に恋しくなっちゃうのは、友達も一緒みたい。

親友の茂知築もちづき 冴姫さきちゃんも同意してたから、私は普通なのかなって思ってる。

言葉で迫られるのは嫌いじゃないけど。

ロベルトはすっごく激しいの。

猛獣って感じかな?


「莓瑠、早くしなさい。ピアノの練習に行くわよ。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る