竜宮城伝説
tamaちゃん
第1話 淳と彩
♪昔 昔 浦島は
助けた亀に連れられて
龍宮城へ来て見れば
絵にもかけない美しさ♬
🏯これは浦島太郎」の歌詞の一文🐢
🏯🐢
2月某日のある日高校生のカップルが、通い慣れた道を歩いていると、何とも摩訶不思議な出来事が起こった。
「一体どういう事よ?」
この日を堺に…竜宮城のような得も言われぬ美しい幻想世界に、引きずり込まれる事になる。
「ワァワァ~~~~~~~~!」
「キャ————————————ッ!」
🌀🌀🌀
淳と彩は現在高校3年生だが、付き合い出して1年が経っていた。
淳は2年間ピッチャーとして活躍した野球部のエ-スだったが、3年生という事もあって8月にすでに引退していた。一方の絵を描く事が大好きな彩は美術部を9月某日にあった文化祭を最後に、引退していた。
そして…2人は共に同じ大学を目指して受験の追い込みに入っている。
今日も学校の帰り道2人は、英語の単語を出し合いながら家路を急いでいた。
するとその時目の前に仲良さそうな同年代のカップルが通り過ぎた。
「ねえあの2人お似合いのカップルだったよね」
「本当にそうだね!僕達と一緒だね💛」
「大好きよ淳💛一緒の大学に合格できたらいいね」
だが、淳と彩は通り過ぎた美男美女のカップルに不思議な違和感を感じた。制服は同じ高校の制服だったのだが、あれだけの美男美女だったら絶対知らない筈が無いのに……。
更に、まるで蠟人形の様な……到底血が通った人間とは思えない無表情な、そこはかとなく冷たい凍り付くような表情だったからだ。
「彩今のカップル俺らと同じ高校の制服だったよなぁ?あの2人知っている?」
「そうなのよね?私もあの2人全く知らないわ」
「それでも…全校生徒が1000人だから分からなくても当然よ」
そう言いながら余りにもお似合いのカップルだったので、もう一度振り返ってカップルを見た。
だが、2人の姿はどこにも無く、振り向いた世界は今までの通い慣れた道ではなく、海の孤島に浮かぶ荘厳な古神殿が目の前に”ドッカ—ン”と現れた。
それは…何と竜宮城のような建物で、その厳かな赤い門を潜り抜けると延々と長い階段が海まで伸びている。
またその海の美しい事、透き通るような真っ青な海の中には、煌びやかでカラフルな魚たちが回遊してまさに竜宮城そのもの。
海底の中では彩りあふれる海の生きものたちが、美しい舞いを披露しながらゆらゆら回遊している。
サンゴの仲間で、美しい赤、ピンク、黄、オレンジ、緑のソフトコーラル畑が、色鮮やかだ。更には、青い海中に咲く満開の花のような、実に華々しいこれもやはりサンゴの仲間でイソバナは、海に咲く花や蝶のような美しさを誇り、ユリの花のように美しいウミシダもそれは…それは…美しい。
また海の側にある緑の泉には太陽の光が射し込んで、光のカーテンが湖面に降り注ぎまさしく海底の楽園。
その時カラフルなサンゴや熱帯魚の形の花火が空一面に打ちあがった。余りの美しさに度肝を抜かれた2人だったが、一体ここはどこなのか?
余りにも現実とかけ離れた世界に、美しいを通り越して気味悪くなってしまった淳と彩は、慌ててきびすを返して前方へ向かって走った。
「ハァ ハァ ハァあの楽園は一体何?余りにも現実とかけ離れて気味が悪いね。でも……もういいかも知れないね?」
「本当ね、結構走ったからね」
そう言いながらまた後ろを振り向いた。すると…荘厳な古神殿は消え、美しい碧を称えた海も消えて、元のいつもの帰り道になっていた。
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