赤髪ピアスで楽器をやってもボッチらしい。

入学して一ヶ月近くが経過した。


 おかしい。なんで俺は昼休みにボッチ飯を決めている。

 なんで友達ができないんだ! クラスでボッチで部活もやんわり断られ、どこで間違った俺!


「僕も昨日は深夜見て眠くてさー」


「お前もかよーやっぱリアタイで見る神作画は最高だよなー」


 斜め前の席のオタクっぽい男子二人の会話に混ざれたなら、どんなに楽だろう。だがあの二人は、ボッチになるくらいならと思って行ったアニ研でやんわり俺を断った二人。俺は一度拒絶されて、もう一度話しかけにいけるメンタルはない。


「お、おい」


「ああ」


 俺がそんな事を思いながら二人に視線を向けていると、二人は俺の視線に気付いたのか、そそくさと教室を出て行く。


 二人が教室から出て行くと、数人が俺の方をチラチラ見て、見たら必ず一緒にいる人に小声で何か話す。


 多分俺のせいで二人が出て行ったとか、ジロジロ見て気持ち悪いとか、そんなんだろ。もう慣れた。


 机に突っ伏し、寝たふりをしながら、購買に昼食を買いに出た人が戻って来るまで時間を潰す。


 俺が購買に行くと、先輩を含めたみんなが横に避けたりするため、先輩や購買のおばさんに迷惑をかけないように、少し経ってから購買に行っている。


 ある程度人が戻ってきて、そろそろ購買に行こうと、机に突っ伏した腕の隙間からクラスの様子を伺っていると、後ろから、軽く肩を二回叩かれる。


「虎夜くんおはよ。今ちょっといいかな?」


 委員長はクラスのリーダー的存在。


 委員長が「それはちょっと」と言えばその案は無くなるし、その案が不人気でも「その案いいよね〜」と言えば、急激にその案に票が集まる。一ヶ月足らずでクラスを支配した、陽キャ中の陽キャ。


「虎夜くん〜おーい」


 明るい茶髪にウェーブをかけたゆるふわヘアーに、ぱっちりした目に長いまつ毛、誰が見ても可愛い顔と、あざといながらに嫌味がない仕草。


 明るく元気で誰にでも気さくで優しい性格。頭もよく、運動もできる、しかも胸が揺れる。勘違い野郎を量産しているであろう、完全無欠正真正銘のリア充陽キャ女子。


「虎夜くん? おーい、起きてる〜」


「起きてるけど」


「お! 良かった。今時間ある?」


「全然ある」


「じゃあこのプリント書いてもらっていい? できれば今が良いんだけど、無理なら放課後までなら大丈夫だよ!」


「今すぐ書く」


「じゃあーねーこれ!」


 プリントを書いている間、委員長が俺の方をじっと見ていて落ち着かない。

「どう、書けたかなぁ?」


「名前って……」


「えー忘れちゃったの! りんだよ、凛。クラスメイトなら覚えてよね〜」


「委員長の名前は覚えてる。プリントのここって、両方名前書いた方がいいよな」


「あ、そっちか〜もー勘違いしちゃったよ」


 凛は多少オーバーなリアクションをとるが、その仕草が可愛らしく、オーバーなリアクションも不快どころか、しっかり俺に構ってくれていることを実感させて、惚れそうになる。


「両方書いてくれると嬉しいな。それにしても、虎夜くんって字の振り幅がすごく独特だよね」


「振り幅?」


「す、は、の、とか、丸があるひらがなは綺麗なのに、他の文字は綺麗じゃない。なんで?」


「俺も意識してるわけじゃないから。たまたまかも」


「そっかーでも面白いね!」


 いちいち可愛いなマジで。字が汚いじゃなくて、綺麗じゃないっていう表現すら素敵に感じるし、面白いって言葉もバカにしたような感じではなく、すごーい! みたいなニュアンスの、不快感がない面白い。


 気を抜くな、惚れたら終わりだ。


「あとそこの項目にチェックしてね」


 プリントの必要項目を全て埋め終えた事を確認してから、プリントを凛に渡す。

「書き終わった」


「じゃあ先生に渡しておきます! 寝てたのにごめんね。ありがとね」


 凛は去り際も小さく手を降りながら離れていき、女子数人が座っている席に戻ると、なぜか励まされ、女子数人が俺の方をチラッと見てはすぐに目を逸らす。


 俺は心を無にして購買に向かう。


 逃げじゃない、他の人に悪口を言わせない俺の優しさ。


 そんなわけで購買でパンを買ってから、誰もいない軽音部の部室に向かう。


 ちなみにこの学校は私立なだけあってかなりデカく、教室や体育館など、通常授業を行う本棟と、本棟ができる前まで使われていた旧棟、マイナーな部活が集められている、通称部室棟がある。


 俺の目的地である軽音部は、部室棟の一番奥。今は使われていない旧音楽室が部室代わりになっている。


 音楽室といっても、一クラスの生徒が入るかどうかくらいの大きさで、普通の音楽室の半分くらいしかない古い部屋。普通はこんなところ来ないので、今は俺が避難所として使っている。


 適当なことを考えながら、部室に着いたわけだが、中から下手なギターの音が鳴り響いている。


 俺以外のボッチが避難場所として使っているのか? 元軽音部の先輩でも来ているのか? とにかく、ドアの隙間から中の様子を覗いてみると。


「ここが難しいわね。Fから移動が」


 クラスメイトの水華みずかさんが、俺が置きっぱなしにしたギターを使って演奏している。


 赤みがかった茶髪のロングヘアーに、少し切れ目な整った顔立ち。


 あれほど可愛いという言葉が似合わず、美人という言葉が似合う人は、日本全国探してもあと数人程度だろう、と感じさせる、色々とスレンダーな美少女。


「F? 合ってる。なんで?」


 いつも色んなグループに誘われていたし、昼も何人かで一緒に食っていただろ。そんなリア充陽キャが俺の避難場所を占領しないで欲しい。


「あーもう! このギター使いづらい。一弦がなんか……あ」


 水華さんが持っているギターの一弦が見事に切れ、バン! と音を鳴らしながら、弦が地面に向かって垂れ下がる。


「ちょ!」


 俺は咄嗟にドアを開けてしまい、中にいる水華さんと目が合う。


「部員は居ないはずだし、昼休みにこんな所来るなんて、怪しい」


「千円でタバコ買ったら妙くらいの暴論だろ」


「あなた未成年なのにタバコ吸っているの? タバコは健康に悪いし、匂いも良くないから禁煙しなさい」


「別にタバコは吸ってない! というかそんなことはいい! そのギター……俺のなんだけど」


 俺のギターという言葉に、水華さんは明らかに気まずそうな表情を見せ、ゆっくりとギターを机に置いてから、綺麗なお辞儀で謝罪してくる。


「ごめんなさい。学校の備品だと思ったから、今度新しい弦を買って返すから」


 弦だけでそこまで頭を下げなくていいと思うんだが、意外と律儀な人だな。


「どうせその内張り替える予定だったし、気にしなくていい」


「そう? でもごめんなさい。何かギターに不都合が起きたら、教えて」


 言葉も丁寧だし、クールで怖そうだけど、意外といい人だな。


「じゃあ、なにかあったら水華さんに言うんで。はい」


「そうして。あと、同級生だから水華で良いわよ。さんって呼ばれ方、そこまで好きじゃないから」


 いきなり呼び捨てでいいっていわれても。でも女子を呼び捨てとかリア充陽キャ男子っぽいし、中学の時、女子のことを「お前」って言ったらすごく嫌な顔をされたから、今回は勇気を持って。


「じゃあ遠慮なく。み、水華はなんで軽音部に? 軽音部は廃部になったし、俺みたいに居づらくなったからって訳でもなさそうだし」


「居づらくなった……ああ、あなたクラスで馴染めてないものね」


 さっきまで思っていた、律儀とか、いい人と言う感想を返して欲しい口の悪さだが、事実だから否定もできず、なんともいえない気分になる。


「その事実は口に出さないで欲しかったけどな」


「その髪と目つきで態度も怖かったら、想像はできたと思うけど?」


「髪色と人相が怖くても人気な人もいるだろ」


「人気になれる人はトーク力があるとか、面白いとか、そういう特性がある人がなれるのよ。実際に金髪だけどクラスで人気の人もいるでしょ。声をかけようと数日観察していた結果、あなたは挙動不審で話しかけられても淡々と答えるだけで、冗談も言えない典型的なコミュ症だったわ」


 今日まともに話したばっかりなのに、いきなり刃渡りが鋭い言葉のナイフを俺の心に突き刺してくる。


 そういえば入学して少し経った頃、水華と女子が言い争いになって、水華がその女子を泣かせたとかでちょっとあったな。その時は相手の女子が悪かったらしいが、はっきりしていて正直。そこが一部では人気らしいが、ある程度罵倒に耐性ないとキツイな。俺の近くの席の女子が水華の悪口を言ってたこともあったけど、これが理由か。


「複数人いると極端に会話できなくなるんだよ。もちろん知り合いとかなら数人でも会話できる。だから俺はコミュ症じゃない。一人の人との会話を大切にする人」


「話しかけてもらえないなら意味がないでしょ。私の知り合いが言うには、あなたは目つきが悪いし声が低くて、怖くて近づけないって言ってた」


「見た目と声はどうしょうもできたいだろ」


「他にも入学式にギター持ってきて弾いていたのが異常。話しかけると怖い顔「え、なに?」が怖い。見た目に反して休み時間机に突っ伏しているから話しかけられない。アニメの話をしているとチラチラ見てきて気持ち悪い。あとは……」


「もういい! めっちゃ言うじゃん! 俺のメンタル壊しにきてんじゃん」


 美人の冷たい表情はめっちゃ怖い! ただでさえ美人は怖いのに、無表情はより怖い。


「あくまで知り合いが言っていたことであって、全員が言っているわけではないけど……あなただって自覚あるはずでしょ」


「自覚は……なくはないけど、初耳のものもあったんだよ。なんでクラスの連中は俺みたいに派手に髪色染めないんだよ。みんな茶色とか暗い色髪とか、毛先だけとかばっかりだし、自由なら普通染めるだろ!」


「私も少し赤に染めているけど、やっぱり最初は茶髪寄りになるのよ。金髪の人もいるけど、いきなりそんな真っ赤に染めているあなたは異常」


「もう少し暗く染め直した方がいいのか。髪のせいでクラスで浮いてるし」


「だから髪のせいだけじゃなくて」


「あーメンタルしんどい」


 これ以上は俺のメンタルが持たない。ギター持って早く教室に戻ろう。


 素早くギターを片付けて、水華に軽く会釈してから逃げるように軽音部をあとにしようとすると、水華が俺を呼び止める。


「流石にメンタルが」


「そうじゃなくて、今日軽音部に来たのはあなたに話があるからなの」


「話?」


 呼び止められた以上逃げることはできないし、腹を括って話を聞く。少し長くなりそうなので、俺は一度ギターを置いてから近くの椅子に座ると、水華もさっき座っていた椅子に座り直す。


「それで話っていうのは? 貧乏ではないけど裕福ではないので。お金の話は」


「お金には困っていない。話っていうのは、ギターのこと。あなたギター弾けるわよね、しかもそれなりに上手い」


「それなりは余計だけど一応弾ける。俺がギターを弾けるかの確認?」


「そうじゃなくて。話というよりお願いに近いことだけど……」


 水華は言葉に詰まり、少し言いにくいような、緊張しているような表情を浮かべ、浅い深呼吸をしてから、俺の顔をジッと見つめる。


「私にギターを教えて欲しいの!」


 俺は速攻拒否したい気分だったが、メンタルが弱っている今、断って暴言吐かれたら死ぬ。


「えーと、それは文化祭で弾きたいとかそういう系のことか? 俺は軽音部を復活させたいから、入ってくるとかなら歓迎だけど」


「入るのは……そうね。ちゃんと教えてくれるなら入部してもいいわよ。それに私の目標が果たされたら、クラスであなたの誤解を解くのを協力してあげる」


 誤解を解く、その言葉に俺の感情が込み上げる。


 水華はクラスのリーダーではないし、どちらかというと女子校で人気があるクール系美少女って感じだが、それでもクラス内でのカーストはかなり高い。それすなわち俺がリア充になれる可能性が上がるってことだ。


「それでどうかしら、私にギター教えてくれるの?」


 リア充に慣れる可能性がある……だか絶対めんどくさいことになりそうだ。だがリア充になれるかもしれない。三年間ボッチで過ごすのか、楽しいリア充学園生活を送るか。俺は、俺は……。


「分かった。ギターを教える」


 俺はモテたい! 誘惑に負けてもモテに走った。


 俺の言葉を聞いて、水華は嬉しそうに微笑む。


 水華が微笑んだその表情に、俺は心打たれそうになる。美人の微笑み、しかも厳しい表情から一転。まるで雨が多い地域での突然の快晴。さっきまでの冷たい表情や罵倒も、この微笑みの前振りだったんじゃないかとまで感じてしまう。それほどまでの攻撃力。おっと危ない。ここで揺れたら終わりだ。


「練習はいつにする? 俺は基本空いてるけど」


「あなたいつもすぐに帰ってしまうけど、何かご予定とか?」


「予定がないから早く帰っているんだよ」


「なら明日の放課後にこの部室集合でどうかしら?」


「いいけど、水華の方はいいのか? 友達とかと一緒に帰ったり」


「基本的に車で送ってもらっているから、一緒には帰らないわ。そのこと知っているからか、あまり学校外での遊びに誘われないし」


 学校外ではボッチか、なるほど。なぜだろう、急に親近感が湧いてきた。お金持ちならではの孤独感。水華も寂しい休日を過ごしているのか、かわいそうに。


「その微笑みやめてくれる。別に学校帰りに誘われないだけで、休日のショッピングには一緒に行っているから」


 カースト上位が! 俺は友達登録もしてないのにたまにスマホ見て、通知が来たら広告だってわかっていてもすぐにスマホをチェックしているのに!


「なら練習は平日の方がいいですね。休日はお友達と! 一緒でお忙しいですもんね!」


「そうね。休日は家の用も多いし……少し確認するわ」


 水華は俺がわざと強調して言った「お友達」の部分には触れず、嫌味を無視してスマホでスケジュールを確認し始める。


「平日は夜遅くならなければ大丈夫。休日に関しては……今月は無理ね。家のパーティーや挨拶があるから。来月なら調整するけど」


「分かった。なら練習は基本平日の放課後。休日は練習したい日を教えてくれ。こっちで調整する」


「分かった。休日は好きな時連絡すればいいのね」


「調整するって言っただろ。俺だって月に一回くらいは予定が埋まる時がある!」

「日程の調整に必要だから、連絡先を教えてくれる? インスト……はやっている訳ないわよね。LIMNでいい?」


 俺の話は無視して、水華はスマホでLIMNという、スマホを持っている現代人の大半がいれているトークアプリを開き、連絡先交換用のQRコードを表示する。


 ちなみにインストとは、インスタントグラム。の略。不特定多数の人が見ることができ、写真や短い動画を投稿できる、陽キャが八割を占めている。


 残り二割はその陽キャ女子の水着とかを見たい普通、または陰キャが入れているらしい。


 世の中的には、LIMNはある程度の仲の人用。インストは知り合ってすぐ、フランクな連絡先交換用として使われるらしい。俺は入れてない。


「決めつけは良くないって教わらなかったのか」


「やっているの?」


「やってないけど」


「なら早くLIMNで読み込んで」


 スマホでLIMNを開き、水華が表示しているQRコードを読み込む。


 水華。コメントはなし。アイコンはどこかの遊園地のマスコットの写真。のアカウントを登録した。


「連絡先も交換したし、当面は平日の放課後ってことでいいよな」


「ええ。何か持ってくる物はある?」


「基本はあるから、持ってるならギター」


「持っているわよ。家では音が出せないから、アンプに繋いだことはないけど」


「持って来られるなら持ってきてくれ」


「他は?」


「あとは大体あるから……特には」


「じゃあ今日はこんなところね」


「だな。じゃ明日ってことで」


「ええ。また教室で」


 俺は適当に返事を返し、ギターを背負ってそそくさと教室に戻り、掃除ロッカー横

にギターを置いて、便所飯を決めてから教室に戻った。


 正直簡単に決めすぎたかなと思ったが、リア充女子の頼みという点で断れるならボッチしてないし、めんどくさいが見た目は美人な水華と一緒なのは悪い気はしない。


次の日、クラスで水華と顔を合わせたが、お互い特に干渉することもなく、いつも通りボッチで授業を受け、放課後を迎える。


 俺は弦を張り直したギターを背負って軽音部の部室に向かった。


 部室に着くと、まだ水華は来ていなかったので、取り敢えずアンプなどの用意をして待っていると、ギターを背負った水華が「早いわね」と言って部室に入ってくる。


「クラスで話す人もいないからな。じゃあ早速始めよう」


 挨拶もそこそこに、練習を始める。


「水華はギターについて、どこまで知ってる?」


「多少のコードとピックの基礎練習ってとこかしら」


「曲は?」


「簡単なものなら」


「ならそれを弾いてくれ」


 水華の実力を知るために、簡単な曲を弾いてもらった。


「どうかしら? 家で音は出さずに少しだけ練習していた曲だから、少しは弾けているはずよ」


 ピックの扱いと弾く感じはかなり上手いが、弾く弦があっているかを毎回確認して、次の動作がもたつき、結果的にテンポが遅れている。


 正直なところ上手くない。完璧に弾こうとしていて、逆に不自然な感じになっている。


「まあ少しは弾けているな。他に弾ける曲は?」


「今のところこれだけ。他は弾けないコードがあるから」


「じゃあ当分は基礎練だな。めんどくさいけど、曲が弾けてもコードを理解して弾けないと、あとの練習がめんどくさい。だから一通りコードを確認して、そしたら曲の練習に移行しよう。それでいいか?」


「私が教えてもらっている訳だし、基本あなたの方針に従う」


「ならそれで。あとは……目標だな。どの曲が弾きたいとか、文化祭に出たいとか。あった方がモチベが保てる」


「目標、ねぇ……」

 水華は黙って考えているようだが、俺がリア充になるためになるべく簡単な目標で頼む。と祈ったのが不味かったのか、水華はとても軽い話をする表情ではない、とても真剣な表情で俺と視線を合わせてくる。


「私の目標はある人を見返したい。そのためにギターを上手くなりたいの」


 水華の目標に内心重いと思いながら、見返したい人が誰なのか聞きたいという好奇心が俺の中から湧き上がる。知り合って数日で聞いていいものなのか? とりあえずその人については聞かず、見返すために具体的な目標を聞いてみる。


「それは……決めてないわね」


 見返したいなら決めとけよ。まあモテたいから楽器を始めた俺が言えたことじゃない。


「じゃあ文化祭で見せるとかはどうだ? バンド組んでも良いし、ギターソロでも良い」


「バンドって二人で?」


「流石に一人か二人入れるつもり。人数が多ければミスも目立たないからな」


「ミスする前提なのはどうかと思うけど、見てもらえるという意味では最適な場所ね…………うん。文化祭を目標にしてみる」


「なら急いで練習だ。正直時間がないからな」


 あと半年ちょっとでどのくらい上手くなるかわからないが、当面は文化祭を目指して練習をすることになった。と同時に、俺がクラスで馴染めるかもしれない時期は、文化祭後ということが決定した。リア充青春ライフは遠いらしい…………はぁ。


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