深夜ラジオ

@ku-ro-usagi

短編

友人が

仕事で県外からの帰り道に

推しのラジオをリアタイで聴きたくて夜の山道を

すっ飛ばして帰っていたんだって

でも家までは間に合わない

ただ

山道の途中で本当に奇跡的に電波拾えて

ガッツポーズ取りながら聴いてたら

やっぱりさすがに山の中

途中で少し聴こえにくくなってしまい

外灯もないひたすら暗い山の峠道

「仕方ないか」

と思ってたら

またぼそぼそと声が聞こえてきた

でも

それは推しの声じゃなくて

よーく耳を澄ませてみたら

ガサガサぶれた音の中から


『……ぇ……ねぇ……聞こえ……聞こえて……るんでしょ……』

『たしの……わたしの……こ……声……ね……ぇ……』


って

女の声がしてきたんだって

友人はそれを聞いた瞬間に

「はぁー!?お前何!?

せっかく入った電波ハッキングしてんのお前なの!?

どふざけんなよ!!

今すぐ推しの電波返せ!

推しの声を聴かせろ!!

でないとお前を死ぬまで呪うからな!?

お前が死んでようが構うかっ!!

毎日毎晩7代先まで呪うからな!?

地の果ては愚か地獄まで追いかけるからな!

今すぐ推しのリアタイボイスを返せぇぇぇ!!

ん゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」

って

身体仰け反らせて目ぇひん剥いて大絶叫したら

数秒で

「○○さんからのメッセージでした、ありがとうございます♪」

って推しのラジオに戻ったって

「ったくさー、あんなに怒ったの人生の1、2を争うレベルだったよ」

って

友達からしたら

どうやら怖い話カテゴリでなく

激おこなカテゴリの話だった


私はむしろ

そんな友達の方が

俄然怖かった


おわり











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