第14話 夜の生活(?)


 リュアがメイド(?)になって数日。


 この数日での変化は人間形態になったリュアが毎晩俺のベッドに潜り込もうとすることと、それを阻止しようとするエリザとの間でちょっとした攻防が起きているくらいか。


 今日も今日とてエリザとリュアは俺の部屋に押しかけてきた。また今夜も騒がしくなりそうだ。


 リュアがやれやれと肩をすくめながら空中に浮かべた黒板に文字を記す。


『まぁまぁ、いいじゃないか。減るものじゃないのだし』


「減りますわ! わたくしの! 心が! 大激減ですわ! 何度も言いますがラークの身体はわたくしの身体なのですわよ!? わたくしの許可なく妙なことに使わないでくださいまし!」


『許可、ねぇ? そんなに気になるならエリザもればいいのに』


「な!? な、なな何と破廉恥な! それでも淑女ですか!? 乙女ですか!?」


『木だね』


「で、ですが、ラークが望むというのなら慈悲を与えてもいいと言いますか、やぶさかでもないと言いますか……」


『なるほどこれがツンデレというものか』


 正直、最初のうちは二人の言動に戸惑ったり照れたりしたものの、慣れてくるとこれはこれで漫才を見ているようで面白い。


 個人的には据え膳でも美人局でもいいからとにかく『経験』したいという童貞的思考もあるのだが、残念ながら身体は女なので食べようがない。何がとは言わないが大切なものがなくなってしまったからな。


 それに、本人が言うようにこれは元々エリザの身体。そういうことに使うのはマズいと思う。


 いや本人が案外乗り気っぽいのもマズいと思うが。


 そもそもの問題として、女同士でどうやるの?


 …………。


 うん、深く考えないようにしよう。


 いつもの光景だが、まかり間違って『では二人で襲いましょう』となると厄介だ。そろそろ何とかしなければ。


 と、いうわけで俺はテーブルの上にD.P.で交換した御神酒とおつまみを置いた。


「!」


『!』


 日本酒好きな二人の目の色が変わる。見た目だけならチューハイでも酔っ払いそうな美少女たちなのに……。


 ……結局、その日は夜遅くまで飲み会となり。ぐだぐだのうちに俺の部屋のベッド(無駄に大きい)で三人眠ることとなった。


 もちろん、エロい展開にはならなかったが。


 なにやら空の向こうで創造神が『このヘタレー』と馬鹿にしてきた気がするので、やはりいつかぶん殴ろうと思う。



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