グラビティ±0(プラマイゼロ)
ネコ山
#1・深化
話の内容が変わるような改変、アドリブはご遠慮下さい。
残虐描写、暴力描写があります。
内容をご確認のうえ、上演や収録の判断をお願いいたします。
<登場人物>
・ザーグ
国家魔術士一級。基本的に敬語。
重力を操る。年齢不詳。性別不問。
・アイト
ザーグと組む国家魔術士。
身体強化魔法で筋力を強化して戦う。
ザーグより歳下。口調は幼め。嗅覚過敏。
年齢不詳。性別不問。
・シェリー
小さな教会のシスター。
明るく心優しい可憐な女性。
最近体調不良が続いている。
・グラナド
教会のスポンサーをしている建築会社の社長であり地主の末裔。医療事業もしている。年齢不詳。性別不問。
----お話はここから----
アイト:ザーグ、ここみたいだ
ザーグ:ずいぶんこじんまりとした村ですね
アイト:ボク腹減った!
まずは食べ物食べ物〜っと
ザーグ:飲食店は期待しない方が良さそうですね
アイト:ええー?!
でも、飯作ってるにおいするぞ!
ザーグ:人が住んでいるのですから
ちょうど今は昼時ですし
アイト:ぐぅ(唸る)…においのせいで余計にどんどん腹減るな
ザーグ:依頼人はグラナド様
この村を含む周囲の建造物はグラナド社が手掛けたようです
アイト:依頼人の話聞いてもボクの腹は減っていく一方なんだけど
ザーグ:あなたはこれでも食べていてください(パンをアイトの口へ突っ込む)
アイト:ふが…(パンを食べる)
ザーグ:依頼人とはこの村の教会で待ち合わせをしています
では、参りましょう
-小さな教会の戸を開ける
ザーグ:失礼いたします
シェリー:…えっ?
ザーグ:私共はグラナド様より依頼を頂いた者です
私はザーグ、後ろのものはアイトと申します
シェリー:そうですか…
私はシェリー、村の皆さまからはシスターシェリーと呼ばれております
アイト:(においをかぐ)あんた、血の匂いがする…
シェリー:っ…!!
ザーグ:アイト、いきなり女性のにおいを嗅ぐのはどうかと…
シェリー:こ、困ります!
アイト:あ、シスター顔真っ赤だ
ごめん、ボク悪いことしちゃったね
シェリー:い、いえ、お気になさらず…
ザーグ:ところで私共、こちらで待ち合わせの約束がありまして…グラナド様はどちらへ?
シェリー:グラナド様はいま、この奥で村の子供たちの治療をしてくださっております
ザーグ:治療?
シェリー:ええ、グラナド様はこの辺り一帯の地主の末裔であると同時に
医療事業にも携わっておられるのですよ
アイト:奥から嫌なにおいが漂ってると思ったら…そういうことか
シェリー:あ…病院のにおいが苦手な人、多いですもんね…すみません
ザーグ:こちらこそ気遣いの出来ない無礼者を連れてきてしまい申し訳ないです
シェリー:そんな、お気になさらず…
(急に咳き込む)かはっ!…
ザーグ:…吐血?
大丈夫ですか、シスター
シェリー:大丈夫…です、(呼吸を整える)
アイト:ボク、血吐いて大丈夫な人間見たことないぞ!
-奥の部屋から人影が見え、こちらへ向かってくる
グラナド:黒い十字架に銀刺繍のローブ…
ここまでお越し頂き誠にありがとうございます
私はグラナドと申します
ザーグ:私はザーグ、こちらは助手のアイトと申します
グラナド:ザーグ様にアイト様、
よろしくお願いします
アイト:あ?…(においをかぐ)
あんたドブみてえな匂いするな
グラナド:ド、ドブ?!
失礼だな、君…
ザーグ:申し訳ございません、グラナド様
グラナド:こちらこそ…声を荒らげてしまい失礼
シェリー:(小声で)アイトさん、先ほどザーグさんに怒られたばかりじゃないですか
アイト:知らなーい、だってここ臭過ぎて、気持ち悪くなりそ…(咳き込む)
ザーグ:先ほどから騒がしいですよ、アイト
アイト:(咳き込む)にしても、酷いにおいだ…
ザーグ:(M)アイトが咳き込む程の悪臭とドブ臭いと言われたグラナド…シスターの吐血……
グラナド:そろそろ依頼の話をしても良いですか?
ザーグ:はい、お願いいたします
グラナド:依頼というのは…
この教会と奥にある医療施設を
とあるものから守って頂きたいのです
ザーグ:とあるもの…とは?
グラナド:ここ最近、魔物が毎晩ここに現れましてね
この場所を守るために何人が命を落としたか…
アイト:ボクならこんなに臭いとこ、好んで来ないね
シェリー:えーっと…アイトさん、
私たちは一旦この場から離れましょうか
アイト:ああ、その方が助かる…(咳き込む)
シェリー:外の空気を吸いましょう
-アイトとシェリーが教会の外へ出る
ザーグ:魔物は基本、自身を作った魔族や術士の命令しか聞きません
この施設が何者かに狙われている…
と、捉えて良さそうですね
グラナド:ここに医療施設が出来て治療を開始してから…
始めは2,3体ほどの魔物が施設を覗いていたと
医療スタッフから報告がありました
ザーグ:話を遮ってしまいすみません、
そのー、「治療」とは…?
何の「治療」をされているのですか?
グラナド:魔物から受けた魔障の治療です
ザーグ:(M)魔障…魔力を持たない人間が魔物から受けた怪我の総称
魔障を治療せずに放置すると大半の人間は理性を失い魔物と化す
グラナド:我が社のある街は古くから栄えていて医療施設も最新のものがあり、
街自体が整っているのですが…
市街地はここのように小さな村が多く、
十分な医療を受けられないのが現状です
ザーグ:あなたの領地の他の村に
ここと同じ医療施設はありますか?
グラナド:いえ、ここが初です
ザーグ:そうですか…
ここへ向かう途中、同行者のアイトに魔物の気配や痕跡を探させていたのですが…こんなものが出てきまして
この魔法陣が描かれた紙、ご存知ですか?
グラナド:な、なんですか、その紙は
赤…いや、血で描かれているではありませんか!
ザーグ:この魔法陣は「野良」の魔物をここへ呼び寄せるものです
グラナド:「野良」の魔物…とは?
ザーグ:魔族や術士を失った…
使役する者がいなくなった魔物を「野良」と読んでおります
グラナド:な、なんだって…
誰がそんなことを…
ザーグ:この魔法陣を描いた者を探す必要がありますね
-教会の外
アイト:んん…まだ鼻が治らない
シェリー:大丈夫ですか…?
アイト:大丈夫じゃなさそうなヤツに
大丈夫?って聞くのおかしくない?
シェリー:ま、まあ…そうですけど…
アイト:それより、シスターシェリー
あんたの吐血…いつからだ?
あと、最近魔物から傷を受けたか?
シェリー:咳き込むようになったのは先月あたり…
医療施設が教会に出来るほんの少しだけ前からかな
あんまりにも咳き込むから喉の方が傷付いたりしてるのかも
そこから傷がついて、血を吐くようになったのかもしれません
アイト:んん?
シェリー:あと、魔物は見るけど…
ケガはとくにしてないわ
アイト:そうかいそうかい、
シェリー:何?その目は…
私、嘘は言っていませんよ
アイト:……(軽く咳き込む)…っ、
喉が傷付いたらこんなに流暢に話したり出来ないでしょ
シェリー:…言われてみれば、、
私…自分のことなのに全然気づいていませんでした
なら、私の吐血の原因は一体何なの…?
アイト:ボクは医療とか全然わからないけど、吐血する時のことはわかる
傷付いた臓器が出血して胃と食道を通過して口から血が出る
…ボクたちの仕事は荒っぽいことが多いんだ
とくにボクは魔物とかと戦うからしょっちゅう吐血する
でも、一番酷いのは三半規管がやられて嘔吐するときだ
あれは本当に地獄だよ
シェリー:は…はあ……
アイト:ったく、ザーグのやつ
いつもいつもボクに無茶振りしやがって…
シェリー:魔術士さんは大変ですね…
アイト:ボクは一箇所でジーッとしてるの苦手だから、
いまの生活は退屈しなくていいや
ま、普通の人間じゃ絶対選ばない仕事だけど
シェリー:アイトさんは…正義感で魔術士になった感じはしませんね
アイト:ぐぅ(唸る)…まあ、たしかに…
人を助けたいとかそんな大層な理由で魔術士になったわけじゃない
シェリー:なんか失礼なこと言っちゃいましたね、ふふ(笑)
アイト:別に気にしなくていーよ
てかシスター、あんたからも微弱だけど魔力を感じる
シェリー:え?
アイト:ボクの鼻は特別製でさ、
魔力探知も出来るんだ
(少し動きが止まる)……教会の奥の医療施設、シスターの吐血、特別酷い匂いを放つグラナド…
シェリー:特別酷い匂いだなんて、グラナド様に失礼ですよ
アイト:グラナドって何者なの?
シェリー:グラナド様はこの地域の地主の末裔であり、都市に本社を持つ建築会社の社長さんです
最新の医療施設をこの村へ導入してくださった…とても慈悲深いお方です
アイト:慈悲深い、ねぇ…
あんなドブみたいな匂いするのに?
シェリー:その、ドブみたいな匂いって何なんですか?
私はそんな匂い、グラナド様から感じたことはありません
アイト:ボクの鼻は魔力探知以外に、人の業(ごう)の深さも分かる
業の深い人間からはとくに酷い匂いがする
シェリー:もう…っ!(咳き込む)
アイト:あんた…また……
シェリー:(呼吸を整えながら)私は…大丈夫です…よ……(気を失う)
アイト:お、おい!シスターシェリー!しっかりしろ!!
-教会
グラナド:魔物はこの教会の時計の針が0時を指した途端、襲ってきます
明日の午前0時前までに何とかなりませんか?
ザーグ:午前0時にここを襲うよう、指示されていると…ふむ、
グラナド:何故こんなことになってしまったんだ…
ザーグ:(M)魔法陣は血で描くことで
呪いの効果や攻撃力が跳ね上がります
依頼人のグラナドはこの地域の大物…
人から恨みを買っていてもおかしくないです
…何より…アイトがドブ臭いと言った、
裏で相当な事をしているのでしょう
ザーグ:グラナド様
グラナド:何でしょうか
ザーグ:懺悔することはありますか?
グラナド:ざ、懺悔…ですか?
いきなり何をおっしゃるのです?
ザーグ:私、司祭の資格も持っております…
(ロザリオを見せる)この通り
グラナド:司祭…
ザーグ:懺悔聴聞(ざんげちょうもん)も
司祭の出来ることのひとつです
グラナド:私には懺悔するような事など何も…
ザーグ:懺悔するような事など何も無い、ということですね?
グラナド:いきなり何を言い出すんですか!
あなた方には魔物からこの教会を守って欲しいと
…依頼はそれだけです
ザーグ:そう、ですか…
グラナド:0時まであまり時間がない!早くお願いしますよ
-教会の扉が開く
アイト:ザーグ!
ザーグ:どうしました?アイト
アイト:シスターシェリーの様子がおかしいんだ!!
ザーグ:これは……
アイト、シスターシェリーは助かりません
アイト:…そうか
グラナド:な、なんだと?!
シスターシェリーはどうなっているんだ、説明してくれ!
アイト:そのドブ臭い口塞げ、
魔物作って悪事働くヤツら以上の下衆が…!
グラナド:貴様…!何を根拠にそんな事を!
ザーグ:…グラナド様
いや、グラナド
あなたは人の法で裁いて頂く必要があります
グラナド:何を言い出す、私に何の罪があると言うんだ!!
アイト:…シスターシェリーを
「魔物」にしやがった…!
グラナド:…魔物、だと?
シェリー:……モウ、…ヤメテ……
グラナド:シスター、どうしたんだい?
シェリー:ワ、ワタシが……かわりになるカラ……コドモたちに…テヲ、ダサナイデ、、
アイト:この下衆が…!!
ザーグ:シスターシェリー…
シェリー:……コドモ、たちに…テヲ…ダサナイデ!!
-シスターシェリーの姿は翼を携えた異形へと化していく
ザーグ:…グラナド、懺悔することはありますか?
グラナド:こ、ここ…これは……!
報告にあった羽のある魔物か?!
アイト:おい!目の前にいるのはシスターシェリーだ!!
お前が彼女をあんな姿にしたんだ!
グラナド:な、馬鹿なことを言うな!
魔物は魔族か術士が作る…
そう言っていたじゃないか!!
ザーグ:懺悔することはありますか?
グラナド:お、おい!この魔物をどうにかしろ!!
そのために高い金を払ってお前たちを呼んだんだ!!
アイト:シスターシェリーが
「コドモにテヲダサナイデ」って言ってるのはなんだ?
あと「ワタシがかわりになるカラ」ってのもなんだ?
ザーグ:懺悔…する気は無さそうですね
アイト:おい、ザーグ!更にドブ臭くなったぞ!
こいつは久しぶりに見たなあ…
とんでもない下衆だ!
グラナド:貴様ら…!
この女が私にこの村に医療施設を作ってくれと頼んだんだ!金も持たずにな!!
この世は金で動く!金も無しに医療施設を作れ、だ?
ふざけるな!!だから金の代わりに身体で払わせた!
なんの対価も無しに、慈善事業で作れるものじゃないんだよ!
ザーグ:やっと、本性が出ましたね…
シェリー:…(すすり泣く)…ワタシが…マモらなイト…ワタシが……カワリになる、カラ…
アイト:やべぇぞ!ザーグ!!
ザーグ:アイト、あなたは奥にある医療施設から治療中の人を避難させてください!
アイト:わかった!…んぐぐっ…ったく、くせえんだよ!!ここは!!
グラナド:くっ!化け物が!!
-グラナドが銃を元シスターシェリーへ向ける
シェリー:バケ…モノ…?ワタシが……バケモノ?
グラナド:そうだ!私はこんな化け物を抱いていたのか…反吐が出る!!
ガキ共は泣き叫ぶからなあ…本当はもっと小さい…あの子が良かったんだがな…
シェリー:バケモノは……オマエ!!
グラナド:なんだと!!
ザーグ:っ!危ない!!
-シェリーの翼から斬撃が放たれる
グラナド:…クソっ…!!
ザーグ:あなたはここから離れてください
グラナド:一発でもこのバケモノにくらわせないと気がすまん!!
ザーグ:…仕方ない
グラナド:うわ!なんだ?!身体が宙に浮いて…!
ザーグ:重力創世魔法、グラビティグレース
マイナス5!
グラナド:なんだこれは!!…うぐっ!身体が地面に…ぐあ!…!!
ザーグ:プラス10!
あなたは重力10倍の結界内で
地面とお友達になっていてください
アイト:おい、ザーグ!
ザーグ:避難は終わりましたか?
アイト:避難対象がいねえんだ!
それどころか魔物の出来損ないがウヨウヨいやがる!
シェリー:……コドモ…たちハ?…
アイト:っ…もう人間じゃなくなってた…
医療施設なんて真っ赤なウソだった!
…子供を…魔物化させる……実験体にしてた…!!
シェリー:……ナニ…そんナ…ソンナノって……うわあああああ
アイト:くそ!…もう、ダメか……
ザーグ:シスターシェリー…
-無音になる(間を開ける)
シェリー:……
アイト:おい、ザーグ…匂いが変わった
ザーグ:ええ、アイトが今気付くまでずっと隠してたんですね…
シェリー:…この娘が私に捧げた供物…今やっと食べ終わったの
あなた達は魔力がある、魔術士かしら
アイト:うっ…この甘い匂いはローズ…
いや、チューベローズか…!、
ぐっ…鼻がイカれそうだ
ザーグ:チューベローズの花言葉は「危険な快楽」……
シェリー:この娘、私に全てを捧げるとか言って
魔物に助けを求めてきたのよ?
シスターシェリー、聖職者なのにね
本当におかしな話…ふふふ(笑)
ザーグ:そう仕向けたのはあなた自身でしょう
アイト:この「野良」の魔物を集める魔法陣からは
シスターシェリーの血の匂いしかしなかった…
匂いごと魔力も隠していやがったな
ボクの嗅覚から逃れられるなんて…
ザーグ、こいつ相当ヤバいよ
ザーグ:ええ、これは相当数の人間を食い殺した高位魔族かと
シェリー:私、今魔物から魔族になれたばかりで名前が無いの
この娘の名前、そのまま使わせてもらおうかしら
シェリー、響きもかわいいしね
ザーグ:…いま魔物から魔族になれたばかり、とは…?
シェリー:ええ、そうよ?
魔物と魔族の違い…人間じゃわからないかしら?
アイト:…こいつ、何言ってんだ?
シェリー:人間を食べれば食べるほど魔物は強くなる
そして、意志を持つようになる
意志を持って行動するのはもう人間と同じ
ザーグ:まさか…そんなことが…!
シェリー:そう、魔物から魔族へなるタイミングをいつにしようか…
私、じっくり待っていたの
この娘に寄生するずーっと前からね
アイト:魔力を隠していたのもお前の自身の力か?
シェリー:ええ、今ここで、全魔力を解放しましょうか?
アイト:遠慮するよ…いまのボクらに勝ち目は無いからね
シェリー:あなた意外と慎重なのね
直情型かと思ったわ
アイト:へっ、頭脳労働は苦手だが、
肉体労働は得意なんでな…
いくら頭に血が登ってても
ボクは自身の動きを制御出来る
シェリー:それにしてもいいの?
アレ、そろそろ死んじゃうんじゃない?
ザーグ:それもそうですね
-ザーグの術が解かれる
グラナド:…ぅぐ……(嘔吐する)
ザーグ:アレは人間の法で裁きます
グラナド:クソが!!…
私をこんな目に合わせて…
こっちがお前らを訴えて…
賠償金の請求をさせてもらう!!
シェリー:村の人に見せている顔とは大違いね
グラナド:…なんだ?
お前程度の小娘が私を訴えるのか?
暴行…傷害罪あたりか?
いや、児童ポルノ規制法違反か?
まあ、弁護士も検事も買収すれば良い
私にはそれが出来る金の力がある
シェリー:あはは(笑)、あなたたち
これ、人間の法では裁けないかもしれないわよ
アイト:本物の下衆だな…
ドブ臭さでマジで反吐が出そうだ…
ザーグ:あなたが殺しますか?
シェリー:いいえ、殺す価値も無いわ
だから…
-シェリーの爪が伸び、グラナドの喉元に届く寸前で止まる
グラナド:小娘…魔術士だったのか?
貴様、私に魔術士であることを隠していたのか?!
シェリー:まだ気付いてないの?
あんなに私の身体を弄んでおいて…
-シェリーの爪がグラナドの喉に突き刺さる
グラナド:ぐはっ!!(吐血する)
シェリー:魔障を受けた人間の末路はご存知よね?
ザーグ:…ええ
アイト:お前も相当な下衆だな
シェリー:ふふ(笑)だって、魔族だもの
そろそろこの教会の異変に気付いた人間が集まってくる頃かしら
…私はこの辺りでお暇(いとま)するわ
アイト:逃がすか!
ザーグ:アイト!追わないでください!
アイト:…っ!
シェリー:またね、魔術士さん
-微笑みを向け去るシェリー
アイト:「殺すより生け捕りの方が難易度が高い」…んだよな
ザーグ:はい、それに…
-ザーグ、魔障を受けたグラナドへ目線を落とす
ザーグ:この方は人間の法で必ず裁かないといけません
早急に治癒術士の元へ連行します
シスターシェリーの件以外にも余罪がたくさんありそうですしね
アイト:…どんなに下衆でも
そいつが話すことでしか分からない罪がある
だからこのまま魔物化を許す訳にはいかない…よな
ザーグ:ええ、その通りです
アイト:ボクがそいつを運ぶから
後は任せた!
ザーグ:はい、わかりました
-ザーグはロザリオの黒十字を握りしめる
ザーグ:…ゲート解放、黒き羊の帰還です
アイト:空間魔術の詠唱破棄…
やっぱザーグはすごいや
ボクは先に教団に帰るよ、また後で!
ザーグ:はい、お気をつけて
-魔力を隠し、近くでザーグとアイトを見るシェリー
シェリー:空間魔術…あの方が使うものと同じね
でも…人間の魔術士が複数の属性を扱うなんて
ザーグ…あなたもあの方と同じ特別製なのかしら
-#1・完-
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます