第29話 誰しも平等に生きる権利

木々の隙間に一人のエルフ?がもたれていた。


取り敢えずどっちが悪い奴なのか分かんなかったから様子見をしていたのだけど。


普通にエルフの子を殺そうとするから止めに入った。


「君、大丈夫?」


俺は一瞬で男3人を、気絶させエルフの子に問いかける。


一応殺しはしなかった。どうやらこの男達は奴隷を扱ったりしている様だ。


情報を聞き出す為に気絶させた。


「えーと貴方は?」


「あ、俺はメリーって言うんだ。ここらへんに住んでいる者何だけど…」



エルフの女の子は立ち上がり、

ドサッ。


倒れた。


「え。ちょっと?大丈夫!?」


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私は明るい場所で目を覚ました。


「あれ?ここは?」



「あ、起きたんだ。ここは俺の家だよ。」


さっきの青年?



「もしかして助けてくれたの?」 



「そりゃあまぁね。」



「どうして?」


「どうしてって言われてもな…

君がとても悲しそうな表情をしてたからかな。」


もしかしてこの人間も私を利用するつもりなのだろうか。


「取り敢えずお風呂。入ってきなよ。びしょ濡れだし寒いでしょ。」


何なんだ?この男は?


「あ、そう言えば服とか新しいの出しておくから。安心して。覗きもしないし。」


何故だろう?この男は信用できる気がした。


「あ、ありがとう。」


若干押し込まれつつ風呂場に入る。


「服とかここに置いておくからね!」


「あ、うん。」


「それじゃ!何かあったら呼んで!」






何なのだろうあの男は?


というか魔力も今は回復しきっている。

あの男が何かしたのだろうか。


「まぁ疑っても何の得にもならないかしら。」


あの男の言葉は何故かとても優しく感じる。

疲れ切った心に染み込んで来るのだ。


そんな考えを中断し、お風呂に入らせて貰うことにする。

 

「なんて広さなの…」


私はとても驚いた。

王族のお風呂より広く綺麗なお風呂場だった。


照明も綺麗で温かい。


「あれで頭を洗うのかしら?」


持ち手?の様な部分を握ると自動でお湯が流れてきた。



「な、なによこれ?」


一応彼女はエルフの国でも良い身分だったので、お風呂場やそういった建築の類についてもよく知っている。



だが、ここの風呂場は見たことが無いほど美しくそして便利だった。 


「彼は一体何者なのよ…」




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彼女もお風呂に入ったようだ。


よし、奴らも起きたかな?


様子を見に行こう。

 


「てめー!この縄を解け!」


「嫌だ。あ、そうそう。彼女の事をどうして追っていたんだい?」


「誰が言うか!」


「「そうだそうだ!」」


騒がしい奴等だな。


「はぁー。なーんだ。せっかく美味しいご飯とお風呂を用意していたのになー。」


「「「ゴクッ。」」」


全員が生唾を呑み込んだ。


なんかこいつ等お腹空いてそうだったしね。



「情報聞かせてくれるかな?」


「だ、誰が言うか。」


少し声が弱くなってきた。


「今情報を話すと…なんとお得なサービスが、ついてきます!」


「な、何だよそのサービスって。」


気になってるようだね。



「な、なんと特別にふかふかなベットで寝ることも出来ちゃいます!」


「「「…………」」」



「何が望みだ?」



どうやら話してくれるみたいだ。



「どうして彼女を追っていたのかの理由と、

君達の過去と職業とか色々かな。」



「そんなの聞いて何になるんだ?」



「なんかやむにやまれぬ事情がありそうだから。」


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俺は奴隷街で生まれた。


親は最初から居なかったから、生きるのに必死だった。  


だから必死に力を付けた。


生き残るために。

そうして俺は人を攫い奴隷稼業に手を出した。


こんな事したくなかった。でも金を稼いで生き残るためには必要だった。


そんな俺にも仲間ができた。俺なんかを慕ってくれる仲間だ。


「アニキ!」


「ボス!」


そう言い慕ってくれる彼らが嬉しかった。

コイツラのためなら俺は何処までも非情になれる。


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何となく予想は着いていた。

あ、こいつホントはいい奴だって。


本当にクズだったら多分この弟分みたいな奴等がここまで慕っていないだろう。



「あいつを攫おうとしていた理由だが…

まぁ奴隷稼業のためだ。」


俺は縄を切る。


「な、なんで…」


「おい、お前名前なんて言うんだ?」



「俺には名前なんてねえよ。」



「んじゃお前の名前はカデだ。」



「な、何だよ。いきなり。」


「いいから。黙って飯食え。そして彼女に謝れ。」


少し多くご飯を買ってきておいて良かった。



「ちょ、ちょっと待ってくれ。なんで俺等の縄を解いたんだよ?俺達はお前の敵なんだぞ!」


「カデ、お前が信用できると感じた。そんだけだよ。」


「何言ってんだよ…お、俺は人を攫って売ったりしてたんだぞ!俺はどうしようもないクズで…」


カデは泣いている。


「本当のクズは自分のことクズって言ったりしねえよ。後、お前の事慕ってるやついるだろ。

なら別に殺す気もないわ。」



「お、俺はクズで…」


「だーかーら!違えっつってんだろ!」


「……」


「お前は優しい奴だよ。ただ最初歯車が狂っちまっただけだ。

あーそうだ。お前奴隷売買の記録あるか?」



「あ、あぁあるが…」


「それよこせ。」


カデは近くに置いてあるバッグ(俺が置いといてやった)から紙を取り出す。


ナータ、「鑑定」


纒めて。


『全員の売買記録を、まとめました。買った人間の現在位置を割り出します…成功しました。

買った人間の下へ「飛行」しますか?』



「白金貨10枚置いとくからなんかご飯足りなかったりしたら買ってこい。あと服も置いてやってるから。飯食って風呂入って、彼女に謝ったら後は自由にしろ。あ、彼女が風呂から出たらな!」


「え、あぁ?」


「じゃあな!」


ズバァン!



「き、消えた?」


「あら?彼は何処へ行ったのかしら?」


「お、お前は。」



エルフの少女は警戒した姿勢を取る。


「どうしてあなた達がここにいるのかしら?」



「俺もあいつに連れてこられたんだって!

あ、そのー後そのー済まなかった!」


「スミマセンでしたでヤンス!」



「済まなかったゾ!」



一体どういうことなのか。理解できないまま状況は進んでいった。

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